10年後の社会・人間を描く国際共同プロジェクト「十年 Ten Years International Project 」の日本版、『十年 Ten Years Japan』の公開日が11月3日(土)に決定した。
本作は、香港で社会現象となったオムニバス映画『十年』を元に、日本、タイ、台湾それぞれで、自国の現在・未来への多様な問題意識を出発点に、各国約5名の新鋭映像作家が独自の目線で10年後の社会、人間を描く国際共同プロジェクト「十年 Ten Years International Project 」の日本版。
日本版のエグゼクティブプロデューサーは、映画『万引き家族』で第71回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した是枝裕和監督。若手監督の育成を日頃より実践している是枝監督だが、オムニバス映画の総合監修を務めるのは自身初の試みとなる。各作品の主演に杉咲花、國村隼、太賀、川⼝覚、池脇千鶴が名を連ねる。
本オムニバスのラストを飾る石川慶監督の『美しい国』で描かれるのが、徴兵制が施行された日本。主人公・渡邊(太賀)は、徴兵制を公示するポスターを手掛ける広告代理店の社員。デザインを一新するという防衛省の意向を、大物デザイナーの天達(木野花)に伝えるという大役を先輩社員に振られてしまう。
平和である今の日本において、“徴兵制”という言葉は遠いものと感じる。だが、70数年前の日本には徴兵制があり、第二次世界大戦終盤には、学徒出陣の名のもとに大学生さえも戦地に出征していたのも事実である。
日本が再び、そのような事態となったら。石川監督が、10年後の会社員の日常の仕事のなかに徴兵制を描いたのは、なぜか。コメントを寄せてもらった。
石川慶監督 コメント
十年後、83歳以下の人は誰も戦争を知らない時代がやってきます。実質、戦争を覚えている人が社会からほとんどいなくなると言っても過言ではないのでしょう。話を聞きたくても、意見を仰ぎたくても、もうその人たちはいないのです。そう思うと、僕らはけっこう重要な転換期に生きている気がするし、たぶんとても重要な責任を負っているんだと感じます。でも僕は、次の世代に渡すべきバトンを何も持っていないことにただ愕然としてしまいます。“もう遅い / まだ間に合う”という香港版のキャッチコピーを重く受け止めつつ、“まだ間に合う”という思いを込めてこの短編を撮りました。
映画『十年 Ten Years Japan』は11月3日(土)よりテアトル新宿ほか全国順次公開
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