斎藤工「食は国境や文化を超える最大の言語」、監督エリック・クーと『家族のレシピ』舞台挨拶に登場

第31回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門で上映された映画『家族のレシピ』の舞台挨拶・Q&Aに、主演の斎藤工と監督のエリック・クーが出席。コメントが到着した。

家族のレシピ

斎藤工が主演を務めるシンガポール・日本・フランス3ヶ国合作映画『ラーメン・テー(Ramen Teh)』が、『家族のレシピ』の邦題で2019年3月9日(土)に公開される。

シンガポールを代表する巨匠エリック・クーが監督を務める本作は、シンガポールと日本の外交関係樹立50周年(2016年)をきっかけに製作された、ラーメンとバクテー(肉骨茶)、両国ソウルフードの「美味しい」がつなぐ家族愛を描いた感動作。斎藤工演じる主人公が、父親の死をきっかけに幼い時に亡くした母の地元・シンガポールに旅立ち、一度はバラバラになってしまった家族の絆を取り戻すために奔走する。

エリック・クー監督 コメント


私は日本で映画を撮影することが夢でした。日本の人々、国、食に魅せられてきました。この映画の制作が決まった時、日本とシンガポールの私の愛する「食」をテーマにしようと決めたのです。そのアイデアに、斎藤工さんや松田聖子さんなど、素晴らしい方々が参加してくれました。聖子さんについては、私が10代の頃に大ファンだったのです。この映画のプロデューサーが彼女を知っていると聞いた瞬間、どうやったら聖子さんに会えるかと(笑)脚本をぜひ読んでもらいたい、美樹の役をやってもらえないかと思うようになりました。

私にとっての「家族のレシピ」は私の母の作ってくれたチキンカレーです。映画の中での家族の食卓シーンにもチキンカレーが登場します。私の母はもう他界していますが、この味はいつになっても忘れられない、家族の味です。食には癒やしの力があり、人々を繋げる力があると感じています。今日は日本の観客の皆さんと一緒に映画を共有できて、とても嬉しいです。

斎藤工 コメント


この作品は、俳優として今まで経験した事のない進行形の自分が映っています。俳優業の真髄、新しい扉を開いた体験でした。そしてエリック・クー監督は、フィルムメーカーとしての僕の未来も導いてくれたのです。『TATSUMI マンガに革命を起こした男』を拝見して、エリック監督の大ファンになりました。この映画のキャストを探していることを聞いて、通行人でもいいから出たいと思い、スカイプオーデションに臨んだのです。撮影中、一番印象に残ったエピソードは、最終日にエリックがチキンスープを作ってきてくれたこと。自分の作品の撮影中で、手が何本あっても足りないくらいなのに、手間のかかる煮込みスープを作ってくれた。それがめちゃめちゃ美味しくて、彼がスープを仕込むために使った見えない時間や気持ちがグッときて、涙が流れました。あのスープの味は忘れられません。

僕自身の「家族のレシピ」。印象深いのは、辛党一家のうちの父が作る麻婆豆腐。山椒が日に日に加算されていって、麻酔銃を口に撃たれた位にしびれたこともありました(笑)山椒と胡椒の上に豆腐がやや載っているくらいの割合ですね。そんな危機的な家族のレシピがありました。

この映画はフランス・パリのオペラ座の近くの映画館で上映しているのですが、そこは僕が20年前にバックパッカーでパリに住んでいた頃、なけなしのお金でチケットを買って通っていた劇場だったんです。そこで自分の主演作が上映しているという事、想像すらできなかった未来を、エリックに出会うことで味わう事が出来ました。昨日福山雅治さんから写メが届いて、劇場の外からの写真を撮って「すごい、上映してる!」って送ってきてくれました。こんな奇跡のような出来事も、全部エリックのおかげだと思っています。

食の力は言語を超えるものです。美味しいものを自分だけで留めるのでなく、人と共有する。食は国境や文化を超える最大の言語だと思います。

映画『家族のレシピ』は2019年3月9日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次公開

(C)Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

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