『バーニング 劇場版』イ・チャンドン監督が来日、吉田羊を「どんな性格の役柄でも消化できる感性をお持ち」と絶賛

『バーニング 劇場版』来日記者会見が12日、都内にて行われ、イ・チャンドン監督と吉田羊が出席した。

カンヌ国際映画祭・ヴェネチア国際映画祭などで高く評価されるイ・チャンドン監督が、世界的ベストセラー作家・村上春樹の小説「納屋を焼く」を原作にした韓国映画『バーニング 劇場版』(2019年2月1日公開)のPRのために来日。さらに韓国映画ファンで、村上春樹原作の映画『ハナレイ・ベイ』に主演した女優の吉田羊が花束ゲストとして登場した。

巨匠イ・チャンドン監督の約8年ぶりの新作は、小説家を目指しアルバイトを転々として生きる主人公ジョンスが、幼馴染のヘミから正体不明の男ベンを紹介されたことによって巻き起こるミステリー。村上春樹の「納屋を焼く」の設定を借りつつ、大胆なアレンジを施して映画化した。8年ぶりの新作で、3年ぶりに来日したチャンドン監督は「このように来日会見ができて嬉しい反面、緊張しています」と照れつつ、本作製作の意図を聞かれると「最近の映画はシンプルな作りが多く、観客もそれを求めて慣れているような気がします」と映画作家としての持論を述べる。

「しかし私は今作で、その流行に逆行したいと思いました。この映画を通して観客に対して、生きるとは何か?世界とは何か?を問いかけたかった。観客にはこの映画を通して新しい経験をしてもらい、世界のミステリーを感じてほしかった」と新たな映画体験を予告した。

韓国では 1990 年代から“新たな文学”として村上春樹の作品が受け入れられているそうで「韓国では“ハルキ”と呼ばれており、それは愛称を超えて現象になっています。ハルキ文学は洗礼された人生、クールな人生を象徴するもの。今までの文学とは違う新たな文学」とリスペクトしきり。その魅力については「表向きは洗礼されて自由な世界を描いているけれど、複雑になった世界に対するための必然的な文学という側面もある」と分析し、「今回の作品は、村上春樹さんが短編小説で描いた世界を、映画的に置き換えたつもり」と話した。

そんな中、チャンドン監督の2002年の映画『オアシス』の大ファンという吉田が、花束を持って登場。「昨夜は興奮で眠れませんでした!」と巨匠との初対面に恐縮も「私は『オアシス』が大好きで、観るたびに色々な感情をくれて、新鮮に楽しませてくれる」と作品愛を告白。

『ハナレイ・ベイ』を鑑賞したチャンドン監督からは「映画での姿を拝見し、吉田さんの感情の深みや振れ幅にハマりました。素晴らしい女優さんで色々な姿を持っていると思うので、どんな性格の役柄でも消化できる感性をお持ちだと思う」との返礼があり、吉田は「身に余る光栄です!」と肩をすぼめていた。

『バーニング 劇場版』について吉田は「スリリングで、ミステリアスで、見えない糸が終始張り詰めているような緊張感を楽しみながら拝見しました」と感想を述べ、「大胆な解釈が施されていますが、これが村上春樹さんにとっての正解なのではないか?という説得力があった。それは監督の演出力と俳優陣の生々しい芝居のたまもの」と大絶賛。

チャンドン監督が「私が現場で演出する姿をみたらガッカリするかも。なぜなら特別な演出を施しているわけではないからです。俳優をキャラクターに当てはめるのではなく、シナリオの中の人物を現実から探してくるというスタイルなので、俳優と話はするけれど、現場では俳優さんにお任せが多い」と自らの意外な映画術を打ち明けると、吉田は「今の話を聞くと怖い!俳優自身に力がないとあのような形にはならないんだ…」と驚いていた。

最後に吉田は「ミステリアスな作品で、原作の世界観はそのままにチャンドン監督の大胆なアレンジによって、村上春樹ファンはもとより、映画ファンすべてに楽しんでもらえる」と PR。チャンドン監督も「村上春樹さんの原作の世界を受け継ぎながら、映画的に拡大したのが『バーニング 劇場版』です。観客に新鮮な経験をしてほしいと願って作ったので、ぜひ映画館で体感してほしい」と願いを込めた。

『バーニング 劇場版』は2019年2月1日(金)より全国公開

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