『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』
小坂菜緒(日向坂46)インタビュー
1998年長野五輪、日本中が歓喜に沸いたスキージャンプ団体、大逆転の金メダル。この栄光を陰で支えた25人のテストジャンパーたちの知られざる感動秘話を、田中圭、、土屋太鳳、山田裕貴、眞栄田郷敦らを主要キャストに迎えて描いた映画『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』が、6月18日(金)からいよいよ全国公開される。唯一の女子高校生テストジャンパー・小林賀子役を演じた小坂菜緒(日向坂46)に、撮影の舞台裏や、今回の映画の現場を経験して新たに得たこと、小坂自身が「ソウルとパッション」を注ぎ込んでいる対象について、たっぷり語ってもらった。(取材・文:渡邊玲子/撮影:金山寛毅)。
──本作への出演が決まり、どのような思いで撮影に臨まれましたか?
小坂:実話に基づいた映画だからこそ、責任をもってしっかりとストーリーを伝えていかなければ、という思いがありました。実在の人物を演じる上でのプレッシャーもありましたが、「長野オリンピック」を実際に体験された方たちが完成した映画をご覧になって、「当時を思い出して感動した」とおっしゃってくださることも多くて、この作品に携わることができて光栄に思っています。今までに経験したことがないことばかりで、とても新鮮な現場でした。
──まだ女子スキージャンプがオリンピック種目になかった当時、「テストジャンパーとしてでも長野オリンピックに参加したい!」という熱い想いを持った実在の選手・吉泉(旧姓:葛西)賀子さんをモデルにした、唯一の女子高生テストジャンパー役を演じるにあたり、具体的にどのような準備をされたのでしょうか?
小坂:撮影前に賀子役のモデルとなった吉泉さんにお会いして「当時どのような心境だったんですか?」とお話を伺ったら、「若いから何も考えずに飛べた」とおっしゃっていて。私も「そうか、あまり頭で考えすぎずに勢いで飛べばいいんだ!」と、覚悟を決めました。もちろん私自身は実際には飛んではいないのですが、命綱を付けた状態でジャンプ台の上にあるスタンディングバーに座ってのお芝居や、着地してからスキーで滑るシーンなどは、実際にチャレンジさせていただきました。「空サッツ」といって、陸上でジャンプ台から飛び出す姿勢とタイミングを掴むためのトレーニングがあるのですが、空中での体勢はもちろんのこと、支えてくださる方との呼吸の合わせ方がすごく難しいんです。筋肉痛と闘いながら、皆で頑張りました。私は中学時代にバレーボールで鍛えたこともあってジャンプ力には結構自信があったので、「そこに関してはちょっと活かせたかな?」って、密かに思っていました(笑)。
──ジャンプ台からの眺めはいかがでした?
小坂:いや、もう本当に高くて!実は私、高いところがそれほど得意じゃないんですよ。
──ちなみに、小坂さんはかつてテレビのバラエティー番組の企画でバンジージャンプにも挑戦されたこともあると思いますが、どちらが怖かったですか?
小坂:いやぁ~どっちだろう(笑)?やっぱり実際に飛んだことを考えるとバンジージャンプかもしれないですが、ジャンプ台のスタンディングバーは想像以上に細くて、長いスキーの板を付けた状態でバランスを取るのが本当に難しいんです。ちょっと風が吹いただけでも落ちてしまいそうで、同じ姿勢を保つだけでも大変で……。でも実際にあの場所に座ったからこそ、リアルな緊張感が生み出せた部分もあるんじゃないかなと思っています。そもそもスキー自体、12歳の時に一度経験して以来まったくやっていなかったのですが、「初心者にしては、割とよく滑れた方なんじゃないかな?」って、自分では思っています(笑)。
──「男性陣の中に女子が一人」という環境でお芝居されてみていかがでしたか?
小坂:テストジャンパーの中に女子が一人しかいないという環境は、撮影時の私自身が実際に置かれている状況とまさに同じだったからこそ、「賀子を演じるからには、私も負けていられないぞ!」という強い気持ちを撮影中ずっと保つことができたのかもしれません。撮影中、悪化した天候が回復するのを待ちながら、みんなで雑談をする機会があったのですが、田中さんや山田さんから質問攻めに合いました(笑)。普段は女子ばかりの環境で活動していることもあって、話す内容も本当に全然違いますし、あまり聞かれたことがないようなことを沢山お話しすることができて、私としてもすごく新鮮で!私はほとんど「聞く専門」なので、みんなが話しているのを聞いていることの方が多いんです(笑)。
──1994年のリレハンメルオリンピックスキージャンプ団体戦で“日の丸飛行隊”のメンバーとして日本代表を牽引するも、エース原田雅彦のジャンプ失敗で金メダルを逃し、長野オリンピックでの雪辱を誓い日々練習に励み、代表候補として有力視されていながら、惜しくも落選。日本代表選手たちを裏方として支えたテストジャンパー、西方仁也役を演じられた田中圭さんから、小坂さんはどのようなことを学びましたか?
小坂:田中さんのお芝居に対する熱量を、間近で感じることができました。ご自身がもっとも納得がいくお芝居をするために、テストごとにあらゆるパターンを試されるんです。たとえば、田中さん演じる西方さんがイラつきを表現するシーンでは、大きな声を出して怒鳴るのか、ボソっと吐き捨てるのかによって、当然ながら周りにいる私たちの反応も変わってくるんです。田中さんは現場の空気を作り上げるのが本当にお上手な方なので、私たちもその波に乗って必死で食らいついていった感じでした。
──完成した映画をご覧になって、小坂さんご自身はどう感じましたか?
小坂:台本も読んでストーリーは全部知っているはずなのに、選手一人ひとりに感情移入しながら観ることができて、思わずウルっとなるシーンが沢山ありました。まさに「この映画には人の心を動かす力が込められている!」と感じましたね。自分が出ている場面を目にしたときも「あぁ、あの時、現場でこんなことを思っていたなぁ」と、懐かしく思い出しながら観ることができました。
──当時、オリンピック競技になる保証など何もない中で頑張る賀子の姿に、演じた小坂さんご自身も共感する部分もありましたか?
小坂:確かにもしあの時、女子高生テストジャンパーがいなかったとしたら、後のオリンピックのスキージャンプに、女子競技は誕生していなかったかもしれません。「いま自分が諦めてしまったら、可能性すら閉ざされてしまうかもしれない。だから私が頑張らなければ!」という使命感のようなものを、賀子が既にあの若さで持っていたというのは本当にかっこいいなと思います。実は本作の撮影中に、スケジュールの都合でライブを欠席することになり、当時センターを任せて頂いていたのに、私が出られなくなったことで直前に立ち位置の変更が生じて、メンバーに本当に迷惑をかけてしまったことがあるんです。でも、私が不安にならないように「私たちに任せて!」「ここは皆で頑張るから、菜緒は撮影をしっかり頑張ってきて!」ってメンバーが言ってくれて。そのお陰で、私も安心して撮影に集中することができました。
──賀子にとってのスキージャンプのように、小坂さんにとって「ソウルとパッション」を注ぎ込める対象は?
小坂:やっぱり日向坂46の活動に対する「ソウルとパッション」というのが、私にとって何より一番大きいと思います。去年コロナの状況になってファンの皆さんと直接お会いできなかったり、直接歓声を聞けない状況になってしまったからこそ、より一層ファンの皆さんに楽しんでいただきたいと思うことが増えたんです。自分から夢に向かって突き進まない限り、決して夢は叶わない。そういった意味では、人見知りだった私が「どうしても入りたくてオーディションに応募する」というチャレンジをしたことは、どこか賀子の想いと一致する部分もありました。映画のなかで賀子が「オリンピックで飛ぶのはわたしの夢です。わたしの生きる支えなんです」というセリフを発する場面では、自分の発言が全体に及ぼす意味や影響力についてもしっかりと理解しながら撮影を進めていったのですが、撮影を機に私自身も日向坂46の活動を通じ、自らの行動や発言がもたらす影響力の大きさが身に染みるようになったんです。私がブログで発信するメッセージや、テレビやステージを通じて発言した言葉も、誰かの心を支えたり、誰かの背中を押したりすることもできるかもしれない。だから私も「もっと頑張ろう!」と思えるんです。
──では改めて、映画を楽しみにされている方に向けて、メッセージをお願いします!
小坂:テストジャンパーたちは、それぞれがいろいろな葛藤を乗り超えてきたメンバーの集まりなんです。だからこそ「自分もあの人と同じような場面を経験したことがあるな」って、自分と重なるキャラクターが一人は出てくると思うので、もしいま何か壁にぶつかって悩んでいる人でも「あぁ、この人たちはこんな風に乗り越えたんだ!」って、きっと勇気をもらえるのではないかと思います。実話ベースだからこそ複雑な人間の感情がリアルに表現されていて、決してきれいごとだけではない、すごく人間味のある映画になっていると思います。誰もが、自分自身の中で日々いろいろな感情を消化しながら過ごしていること。自分ひとりではできないことでも、仲間の存在があればできること。そして、周りの誰かを頼ることの大切さに、私自身この映画を通じて改めて気づかされました。『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』の現場で学んだことを、今後のグループの活動にもぜひ還元していけたらいいなと思っています。私のように「長野オリンピック」を知らない若い世代の方々にも、ぜひ観ていただきたいです。
──素敵なお話をありがとうございました!
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映画『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』は6月18日(金)より全国公開
(C)2021映画「ヒノマルソウル」製作委員会