英国が誇る俳優ベネディクト・カンバーバッチ【監督・俳優のすすめ Vol.19】

イギリスBBC製作のTVドラマ「SHERLOCK/シャーロック」で注目を浴び、『裏切りのサーカス』『戦火の馬』『8月の家族たち』『ホビット』シリーズなど次々と話題の映画に出演。2014年、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』でアカデミー賞に初ノミネート。最新作『ブラック・スキャンダル』でジョニー・デップの弟役を演じ、出世作「SHERLOCK/シャーロック」の特別編が2月より劇場公開决定。さらに主人公を演じるマーベル映画『Doctor Strange』を撮影中など人気、実力ともにトップクラスの俳優ベネディクト・カンバーバッチ魅力に迫る。

英国俳優から一躍世界の人気スターに

ベネディクト・カンバーバッチの名前が日本でも広く知られるようになったのは、2010年のTVドラマ「SHERLOCK/シャーロック」のシャーロック・ホームズ役がきっかけ。現代のロンドンを舞台に、スマートフォンやブログを駆使するという設定の面白さと作品のクオリティもさることながら、天才だけど変人・狂人という特殊な役で怒涛の早口長台詞も難なく演じきり、相棒ワトソン役のマーティン・フリーマンと共に一躍人気俳優に。シーズン4が2017年に本国イギリスにて放送予定で、今最も放映が待たれるドラマのひとつと言える。

キャリアのスタートは演劇で、2001年頃からシェイクスピアの「恋の骨折り損」「夏の夜の夢」「ロミオとジュリエット」などに出演。2005年はリチャード・エアー演出による「ヘッダ・ガーブレル」でゼオジ・テスマン役を演じた。2011年にはダニー・ボイル演出による「フランケンシュタイン」で、ジョニー・リー・ミラーとダブルキャストにより博士とクリーチャーの2役を交代で演じ、ローレンス・オリヴィエ賞を受賞するなど、演劇においてもその演技力を高く評価されている。

活躍の場はテレビ・映画にも広がり、2003年『クロムウェル~英国王への挑戦~』で映画初出演を果たし、2004年BBC製作のTVムービー『ホーキング』で若き日のスティーヴン・ホーキングを演じて注目を浴びた。その後『アメイジング・グレイス』『つぐない』『ブーリン家の姉妹』『僕が星になるまえに』などの映画に出演。『戦火の馬』では監督のスティーブン・スピルバーグから演技を絶賛された。『8月の家族たち』での親戚にからかわれてしまう頼りない息子役から、“世紀の悪役”と評された『スター・トレック イントゥ・ダークネス』での冷酷なハリソン役まで、演じる役の幅広さからも人気ぶりと評価の高さがうかがえる。待機作には発明家エジソンを演じる『The Current War』、ゲイリー・オールドマン監督『Flying Horse』、カルト的人気を誇る『ズーランダー』の続編『Zoolander 2』、マーベル映画『Doctor Strange』など盛りだくさんで、今後も様々な役を観客に見せてくれそう。

英国が誇る俳優ベネディクト・カンバーバッチ【監督・俳優のすすめVol.19】

 

ベネディクト・カンバーバッチの魅力にハマる傑作映画を厳選!

『僕が星になるまえに』(2010)

ベネディクト・カンバーバッチの映画初主演作。29歳の誕生日を迎えた青年ジェームズは、末期ガンを患いわずかな余命の中で、3人の親友と“世界で一番好きな場所”にキャンプ旅行に出かけることに。しかし、ジェームズの体力はみるみる衰えていき……。

親友たちとの旅を楽しむ姿と、病気の苦しさと戦いながらも死を受け入れる姿とで、その時々の心情が伝わってくる演技に観る人は釘付けになるはず。人気絶頂になる少し前のベネディクト・カンバーバッチを堪能する1本。

僕が星になるまえに

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2013)

1939年、英国政府のためにドイツ軍の暗号エニグマの解読に挑んだ実在の天才数学者アラン・チューリングの人生を描いた伝記ドラマ。他人と関わることを避けるアラン・チューリングは、チーム内で孤立。暗号解読も一向に進まず、次第にメンバー間との溝が深まっていき……。

入念なリサーチと徹底した役作りにより臨んだという本作では、アラン・チューリングは決して高慢な人間なのではなく、誰に対しても対等な立場で接し、温かい内面を持っていたということを表現している。アカデミー賞にもノミネートされ、“史上最高の演技”とも評された演技は必見。

イミテーション・ゲーム

ベネディクト・カンバーバッチの最新映画をご紹介!

近日ベネディクト・カンバーバッチの出演作が2作、劇場公開される。
1本目はアメリカ史上最も冷酷残忍なギャングと言われた男を主人公に、FBI史上最悪の汚職事件を描く『ブラック・スキャンダル』。あらゆる凶悪犯罪に手を染めた犯罪王ジェームズ・"ホワイティ"・バルジャー役にジョニー・デップ、バルジャーの弟で政治家のビリー役にベネディクト・カンバーバッチ、マフィア浄化に取り組むFBI捜査官コノリー役にジョエル・エドガートンのほか、ダコタ・ジョンソン、ピーター・サースガード、ケビン・ベーコンら豪華キャストが集結。ベネディクト・カンバーバッチ演じるビリーは、ウサマ・ビン・ラディンに次ぐ最重要指名手配者を兄に持ちながら、自身は政界へ進出。兄との絆を切ることは決してないが、政治家という立場でもあるという葛藤を抱えた人物を演じている。

英国が誇る俳優ベネディクト・カンバーバッチ【監督・俳優のすすめVol.19】
英国が誇る俳優ベネディクト・カンバーバッチ【監督・俳優のすすめVol.19】

 

2本目は劇場公開されることになった人気ドラマの特別編『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』。蒸気機関車が走り、馬車が闊歩するベーカー街に、フロックコートに身を包んだ「世界一有名なコンサルタント探偵とその親友」が住んでいたら──? 21世紀が舞台だったドラマ版から一変して、特別編では舞台を1895年ヴィクトリア時代のロンドンに移して描かれる。ベネディクト・カンバーバッチ演じるシャーロック・ホームズを劇場の大スクリーンで観られるだけでなく、特典映像として「脚本家スティーブン・モファットと巡るベーカー街221Bの旅」(5分)、「シャーロック製作の裏側 主要キャスト・スタッフとともに」(15分)も同時上映される、まさに特別版は見逃せない。

英国が誇る俳優ベネディクト・カンバーバッチ【監督・俳優のすすめVol.19】
英国が誇る俳優ベネディクト・カンバーバッチ【監督・俳優のすすめVol.19】

PROFILE
ベネディクト・カンバーバッチ(Benedict Cumberbatch)
1976年生まれ、イギリス・ロンドン出身。父ティモシー・カールトン、母ワンダ・ベンサムはともに俳優で、「SHERLOCK/シャーロック 3」ではシャーロック・ホームズの両親役で出演し、実の親子がドラマの中でも親子を演じた。2015年6月、妻で舞台監督・女優のソフィー・ハンターとの間に第1子となる男児が誕生。2015年11月には、舞台芸術と慈善活動への貢献を認められ、英エリザベス女王より大英勲章第三位(CBE:Commander of the Order of the British Empire)を受勲した。

映画情報
『ブラック・スキャンダル』
1月30日(土)公開
公式サイト:https://warnerbros.co.jp/c/movies/blackmass/
【監督】スコット・クーパー
【原作】「ブラック・スキャンダル」(角川文庫刊/ディック・レイア ジェラード・オニール 訳・古賀弥生)
【出演】ジョニー・デップ、ジョエル・エドガートン、ベネディクト・カンバーバッチ、ロリー・コクレイン、ジェシー・プレモンス、デイビッド・ハーバー、ダコタ・ジョンソン、ジュリアンヌ・ニコルソン、ケビン・ベーコン、コリー・ストール、ピーター・サースガード、アダム・スコット、ジュノー・テンプル
(2015/アメリカ・イギリス/カラー)

『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』
2月19日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国公開
公式サイト:http://sherlock-sp.jp
【監督】ダグラス・マッキノン
【エクゼクティブ・プロデューサー・共同製作・脚本】スティーヴン・モファット、マーク・ゲイティス
【出演】ベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン、アマンダ・アビントン、ルイーズ・ブリーリー、ユーナ・スタッブス、ルパート・グレイヴス
(2016/イギリス/カラー)

© 2015 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved. ©2015 Hartswood Films Ltd. A Hartswood Films production for BBC Wales co-produced by Masterpiece. Distributed by BBC Worldwide Ltd.

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