スティーブ・ジョブズの波乱の人生を描いた映画『スティーブ・ジョブズ』が2月12日(金)に公開を控えている英国監督、ダニー・ボイル。『シャロウ・グレイブ』(94)で監督デビューを飾り、ブラックユーモアに溢れるスタイリッシュな映像が話題を呼ぶ。いまや『スター・ウォーズ』シリーズをはじめ、数々の映画で圧倒的存在感を放つユアン・マクレガーの出世作『トレインスポッティング』(96)は、イギリス映画史に残るメガヒットを記録、ダニー・ボイルの名を一気に轟かせた。そして代表作『スラムドッグ$ミリオネア』(08)では、世界中の批評家や観客から高い支持を集めて、第81回アカデミー賞で監督賞を含む8部門受賞の快挙を達成した。【監督・俳優のすすめVol.20】では、人間の心理描写を独自の感性で描く“匠”ダニー・ボイルの魅力に迫る。
◆あの『スター・ウォーズ』シリーズのオビ=ワン・ケノービ役、ユアン・マクレガーの恩師!?
3人のルームメイトが一つの死体と大金を巡り、親しい仲から徐々に疑心暗鬼に陥ってゆく姿をブラックユーモア溢れるスタイリッシュな映像で描き、話題をさらったユアン・マクレガー主演の映画『シャロウ・グレイブ』で94年に監督デビュー。96年には、映画『トレインスポッティング』で、90年代のユース・カルチャーを背景にスコットランドに住むハチャメチャな若者達の日々を、スタイリッシュな映像かつポップな感性で活写。公開当時のイギリス映画史上最高の興行収入を記録するなど、90年代の英国映画界最大の衝撃とも言える傑作となった。また、ドラッグ中毒という難役を見事に演じ切った主演のユアン・マクレガーの出世作となり、99年より公開された『スター・ウォーズ エピソード1/ファントムメナス』『エピソード2/クローンの攻撃』『エピソード3/シスの復讐』でオビ=ワン・ケノービ役に抜擢されるなど、世界で有名な実力派俳優の仲間入りに。
◆人間の心理描写を独自の感性で描く“匠”
ダニー・ボイルの名を世界に轟かせたのが、2008年公開の映画『スラムドッグ$ミリオネア』。第33回トロント国際映画祭観客賞、第66回ゴールデングローブ賞作品賞(ドラマ部門)をはじめ、世界各国の賞レースを総なめ。第81回アカデミー賞では、監督賞を含む8部門受賞という歴史的快挙を達成している。インドを舞台に、世界的人気番組『クイズ$ミリオネア』で、一夜にして億万長者のチャンスを掴んだ少年の波瀾万丈な半生を描く感動のヒューマンドラマ。インド社会にある「スラム」や「ストリートチルドレン」といった悲惨な実態をありのままに表現し、観客の心に手厳しく訴えかけていく。また、リアリティーを追求したドラマはもちろん、アクションやミュージカルといったボリウッド映画を彷彿とさせる演出など、類を見ないエンターテインメント超大作を作り上げた。
2010年には、実在の登山家アーロン・ラルストンの遭難体験を映画化したジェームズ・ブランコ主演作『127時間』を手掛ける。4年間にわたってラルストンの遭難映画を作りたがっていたというダニー・ボイルは、前作『スラムドッグ$ミリオネア』の製作チームを集めて「ドキュメンタリー映画」ではなく「動かないアクション映画」として監督・脚本・製作すべてを担当。ロッククライミング中に落石で右腕を挟まれてしまい、身動きが取れない状況での127時間。ダニー・ボイルは渓谷の美しさの中で、観る者に苦痛を共有させ、極限状態に置かれた主人公の孤独感や究極の選択を迫られる重い心境を、生々しくかつ繊細に描き出している。
◆『スティーブ・ジョブズ』はこれまでの伝記映画とは一線を画す仕上がり
ダニー・ボイルが最新作で描くのは、アップル社の共同設立者であり、デジタルテクノロジーの常識を変えた世界で最も有名なカリスマ、スティーブ・ジョブズの生き様だ。『ソーシャル・ネットワーク』の脚本を手掛けたアーロン・ソーキンとタッグを組み、本年度の第88回アカデミー賞で主演男優賞にノミネートしている名優マイケル・ファスベンダーがジョブズを熱演している。
ジョブズが人々の心をわし摑みにした“伝説のプレゼンテーション”直前40分の舞台裏や、娘・リサとの確執と和解というプライベートな部分にも真正面から切り込む。ただ単に人生を追う伝記映画ではなく、成功に隠された裏側をよりドラマチックかつスタイリッシュに、音響、映像すべてにおいて一線を画す仕上がりとなっている。
映画『スティーブ・ジョブズ』は2月12日(金)より全国ロードショー
【CREDIT】
監督:ダニー・ボイル
脚本:アーロン・ソーキン
出演:マイケル・ファスベンダー/ケイト・ウィンスレット/セス・ローゲン/ジェフ・ダニエルズ 他
配給:東宝東和
公式サイト:stevejobsmovie.jp
©2015 Universal Studios