『少女』湊かなえ、 三島有紀子による映画化に万感の想い「幸せものだよ、この作品は」

映画『少女』学生限定試写会が2日、都内にて行われ、原作者の湊かなえ、監督の三島有紀子が出席。司会をハリー杉山が務めた。

湊かなえの累計100万部突破のベストセラー小説を映画化した本作は、“死”にまつわる禁断の世界を描いた長編ミステリー。同級生のある“告白”から「人が死ぬ瞬間を見てみたい」という願望にとらわれた、2人の女子高生の衝撃的な夏休みを描く。小児科病棟でボランティアをはじめ、余命わずかな少年たちと仲良くなって自らの欲望を満たそうとする由紀を本田翼が、陰湿ないじめに遭い、「誰かの死を見れば生きる勇気を取り戻せる」と考え始める敦子を山本美月がそれぞれ演じる。監督を『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』で知られる三島有紀子が務める。

少女

映画化にあたって湊は「すごくよくって、脚本を読んで、撮影見学にも行ったりして、頭の中で想像はしていたんですけど、そこに及ばないものを見せてもらったなという感じです。感動して泣きたいんだけど、今(こうして)話さなくちゃいけないので我慢しています。幸せな作品にしていただけたな、と嬉しく思っています」と語り、「映像化に関しては、全部お任せしていて、どんな風にしていただけるかは、田舎のお母さんみたいな感じ。子どもを送り出して『東京の偉い先生によくしてもらうんだよ』という感じでいたのが、本当に大切に大切に扱っていただいて、『こんなに立派になって…』と感謝の気持ちしかないくらい、嬉しいです」と子供を想う母のように喜びを明かした。 

また、三島監督は「いつか湊かなえ先生の小説を、自分がやってみたい、映像にしてみたい、映画にしてみたいという想いが、元々あったのと、(湊先生の本の中で)書かれています通り、17歳という年齢の少女が非常に自分勝手で、まだ自我が確立していないのに、自我が肥大化していて、そういう時代のものをやってみたいと思った」と制作に至った経緯を語り、「湊かなえ先生の原作は、天才的な構造になっているので、それをどうやって映像化するのかというのが、本当に難しいんです。セリフでモノローグで起こして、イメージ映像でくっつけていくのはできるんですが、それを1つドラマとして最後に主人公の感情のうねりを作ってもっていくのが、非常に難しい。というのは、色んなフタを開けていく、という風に(原作の構造が)できているんです。その(色んなフタを開けて出てくる)新しい情報が見えてくるという作業をしながら、主人公の感情に寄り添って、お客さんが見てくれるように見せていくのが難しいんです。だから、そこに頑張って挑んでみよう、という感じでした」と胸中を明かした。

最後に湊は「この映画はハッピーエンドかバッドエンドかと聞かれて迷うんじゃないか、と思います。ではなぜ迷うのか、それをなぜか説明したらネタバレになるし、主人公のハッピーエンドが、全ての人のハッピーエンドではなくて、それぞれに物語があり、そして、何かハッピーエンドにしたいから、悪い事した人も最後に笑って終わるのではなく、きちんと、こういうことだたのかと返ってきてるのを見せてもらった。なかなかこういう後味の映画はないと思います」と本作を絶賛し、「幸せものだよ、この作品は」とこぼし、イベントを締めくくった。

映画『少女』は10月8日より全国公開

【CREDIT】
原作:湊かなえ『少女』(双葉文庫)
監督:三島有紀子
出演:本田翼、山本美月、真剣佑 / 稲垣吾郎
配給・宣伝:東映 公式サイト:http://www.shoujo.jp

(C)2016「少女」製作委員会

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