ジブリ『レッドタートル』完成披露、 鈴木敏夫&高畑勲がオランダ人監督を讃える「10年間よく頑張ってくれた」

映画『レッドタートル ある島の物語』完成披露舞台挨拶が9月1日、都内・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われ、監督のマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットが来日。スタジオジブリ・プロデューサーの鈴木敏夫、アーティスティック・プロデューサーの高畑勲とともに登壇した。

レッドタートル
(左から)鈴木敏夫、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット、高畑勲

短編『岸辺のふたり』でアカデミー短編アニメーション賞を受賞したマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットが8年の歳月をかけて完成させた自身初となる長編アニメーション作品。荒れ狂う海に放りだされた男が無人島に漂着し、脱出を試みるが、見えない力によって何度も島に引き戻される。そんな中、彼が出会った1人の女との交流を描く。アーティスティック・プロデューサーに『火垂るの墓』『かぐや姫の物語』監督の高畑勲、プロデューサーをスタジオジブリの鈴木敏夫が務める。

レッドタートル

鈴木は「本当にちょっとした出来心で、彼の短編を観て『この人が長編を作ったらどうなるか』。あれから(構想から)10年、こんな大事になりました。自分でもびっくりしています」と日仏合作アニメ誕生のきっかけを明かし、アーティスティック・プロデューサーを務めた高畑は「自分が監督ではない作品にこのような形で関わるのが初めての経験で、ある意味面白いが不安な部分もありました」と吐露。「でも出来上がった時には大変嬉しかったし、安心しました。非常に優れた作品ができたのではないかと思っています」と手応えを感じている様子だった。

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構想10年・制作期間8年の力作が完成したことに、マイケル監督は「この映画に誇りを持っています。やはり長編映画はチームワークであり、多くのスタッフが作品を形にしてくれた。私は基を考え、彼らが一枚一枚絵を描いてくれた。ヨーロッパのスタッフばかりで日本のスタッフはいなかったが、私の中での想いは、鈴木さんや高畑さん、日本の皆さんのことを考えるばかりの日々でした。ここ10年、20年を振り返ってみると、当時意識しなかったぐらい皆さんの存在が大きなインスピレーションの源として存在していました」と真摯に語った。

初めて長編映画に挑戦するにあたって、マイケル監督は「高畑さんの経験から学んだことが多かった」と語る。「技術的な詳細を含め、複雑であり繊細な物語を生み出す経験、長編映画を作るために非常に多くの才能が必要になる。それをまとめながら構成していくことに、高畑さん、鈴木さんのご意見を是非いただきたいと思っていた」と振り返った。

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そんなマイケル監督に鈴木は「想像以上にあっという間の期間でした。創作はジブリ、実際の作業はフランスで行ったんです。スタッフや予算などいろいろクリアする中で、今年の3月が完成の日だった。それを考えると、長く長く10年の歳月をかけて彼は最後まで頑張ってくれた」と称賛。「30年以上付き合いのある僕としては嬉しく思います。こないだマイケルがジブリに来た時に、宮崎監督(宮崎駿)も『10年間、くじけないで、最後までよく頑張った。それに対して敬意を払う』と、非常に彼らしい言葉を贈っていた」と労っていた。また、初の国境のない作品に鈴木は「まだ前例がないのでわからないですが、まずは『レッドタートル』の成功を祈っています」と明かした。

映画『レッドタートル ある島の物語』は9月17日より全国公開

【CREDIT】
原作・脚本・監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
脚本:パスカル・フェラン アーティスティック・プロデューサー:高畑勲
音楽:ローラン・ペレズ・デル・マール
製作:スタジオジブリ ワイルドバンチ
アーティスティック・プロデューサー:高畑勲

プロデューサー:鈴木敏夫 ヴァンサン・マラヴァル

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