『沈黙-サイレンス-』封切り、窪塚洋介「今この時代にこそ必要な映画」「より良い明日が来ると信じている」

映画『沈黙-サイレンス-』初日舞台挨拶が21日、都内・TOHOシネマズ スカラ座にて行われ、窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈らが登壇した。

沈黙

本作は、17世紀江戸初期に、激しいキリシタン弾圧の中で棄教したとされる師の真実を確かめるために日本を訪れた宣教師が、人間にとって本当に大切なものとは何かを模索していく歴史大作。ポルトガル人の若き宣教師ロドリゴを演じる『アメイジング・スパイダーマン』シリーズのアンドリュー・ガーフィールドをはじめ、リーアム・ニーソン、アダム・ドライバー、日本から窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシら実力派俳優陣が参戦する。

沈黙-サイレンス-

作品の満足度を感じさせる盛大な拍手で迎えられたキャスト陣。物語の鍵を握るキチジローを演じた窪塚は「監督は僕の中にキチジローを感じてくれていた。どんな演技をしても“ワンダフル、アメージング”と毎回褒め、うまく手のひらの上で踊らせてくれた。そしてもう一回やろうと言われた」と、何度もテイクを重ねた撮影を振り返った。

浅野は「実はオーディションで一度落ちている」と告白し、「でも、この監督と絶対に一緒に仕事をしなくてはならないと必死でしがみついて、この役を掴みました。とても充実した時間で、多くの事を学びました。嬉しい気持ちで一杯」と笑顔。役作りについては、「通訳として人と人の間に立ち、自分の意見を言わないという役を演じるのは初めてで、必死で台本を読み込んだ」と述懐した。

「窪塚さんとご一緒するシーンはなかったのですが、映画を観るともうキチジローが本当に良いと思います」と浅野が述べると、窪塚は「浅野さんのローボイスで“転ぶ”と言ったりしています」と場内から笑いを誘っていた。

沈黙-サイレンス-

老獪な奉行の演技が高く評価されるイッセー尾形は「映画を初めて観たときは、言葉にならなった。生まれて初めて“言葉にならない感動”というものを経験した」と語り、「台詞が英語なので、アンドリューに届いたかが掴めなくて苦労した。結局はクソ度胸とハッタリですね。悔いが残らないよう全力でやりました」と苦労をのぞかせた。

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溢れんばかりスコセッシ愛でモキチを演じた塚本は「長かった。オーディションから8年、ずっとこの作品に関わり続けてきた。まだ終わったことが信じられなくて、まだアフレコあるよと声をかけられるのではとちょっとソワソワしています。でもその心配もなくなるんですね。ほっとしたような、さびしいような気がします。ここからは、皆さんに作品を育ててもらうのだなと思っています」と喜びをあらわに。

沈黙-サイレンス-

本作でハリウッドデビューを飾った小松は「ビデオオーディションが初めてだったので、最初から苦労しました。海外の現場は日本とは全く違い、たくましくなったと思います。撮影時は19歳、たくさん学んで、得るものが多かった。皆さんの“生の芝居”の中で演じることができたことに感動しました」と笑顔をのぞかせた。

また、本作が問いかけるメッセージについて問われると、浅野は「映画を観た時にその静かな音に心惹かれました。映画は虫の声で始まり、自然に物語に入っていくことができる。映画の中では物語が進行しますが、その周りを取り囲む静かな音こそが、もしかしたら重要なんじゃないかな、と。映画には強いメッセージが込められていますが、それと同時に流れている“あたたかな時間”というものがきっと誰のもとにも届いている」と言及。

塚本は自身の監督作を引用し、「僕が作った『野火』とテーマが似ている。原作を読んでも、その考えは当たっていた。遠藤周作さんは『沈黙』という小説で、権力によって信仰が押しつぶされる様を描いています。他にも『女の一生』という作品では1部は宗教弾圧、2部は戦争によって自由が押しつぶされるところを描いています。歴史を見ると人々の自由を権力が押しつぶすということを、いつも繰り返している事がわかります。今、日本は70年戦争を行っていない。喜ばしいことではありますが、ウカウカしていられない警告のようなものを感じていただきたい」と表情を引き締めた。

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小松は「同世代の若い人々に見てもらいたい。このような考えさせられる映画を観て何かを感じたらそれを聞かせてもらいたい。感想を言うのはすごく難しいですが、言葉にできないけれど、感じることはあると思います。劇場でそれを体感してもらえたら嬉しい」とメッセージ。

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最後に窪塚は「2011年3月11日、大震災でたくさんの“弱者”が生まれました。その後もたくさんの弱者が生まれています。この映画を通して皆さんが自分の答えを見つけて、自分の人生を全うするのはとても大切なことだと思います。今この時代にこそ必要な映画です。この映画を通して、皆さんのもとにきっとより良い明日が来ると信じています」と真摯に語り、イベントを締めくくった。

映画『沈黙-サイレンス-』は全国公開中

【CREDIT】
原作:遠藤周作「沈黙」(新潮文庫)
監督:マーティン・スコセッシ
出演:アンドリュー・ガーフィールド リーアム・ニーソン アダム・ドライバー 窪塚洋介 浅野忠信 イッセー尾形 塚本晋也 小松菜奈 加瀬亮 笈田ヨシ
配給:KADOKAWA
公式サイト:http://chinmoku.jp/

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