イスラエル生まれのカナダの写真家/コンセプチュアル・アーティストとして活動しているディナ・ゴールドスタインによる、“ディズニープリンセス”のその後を予想して描いたパロディ写真。彼女は、女の子が憧れるプリンセスたちですら迎えるかもしれない将来の姿を写真に収めた「Fallen Princesses」シリーズを発表しており、ガンやアルコール依存症、財政難、不幸な結婚、子育て、高齢化、整形、肥満などに悩む現代の“リアル”なプリンセスたちの姿を映し出している。映画の中では様々な困難に見舞われつつもも最後はみんなハッピーエンドを迎えるディズニープリンセスといえど、幸せは長くは続かない……?
失敗した夢 安酒場で寂しく酒を飲むシンデレラ
育児放棄 育児不参加の王子に不満を抱きながらも子どもたちに手を焼く白雪姫
肥満 ジャンクフード中毒で肥満の赤ずきん
ガン 自慢の美しく長い髪が抜け落ちた坊主頭のラプンツェル
戦争 中東の戦場にかり出される「アラジン」のジャスミン姫
永遠の若さこそが美であるとする誤信 整形手術依存症の「美女と野獣」ベル姫
王子が老人になっても眠りから覚めなかった「眠れる森の美女」オーロラ姫
海洋環境の悪化 水族館に居を移すことになった「リトル・マーメイド」アリエル
環境汚染 「エンドウ豆の上に寝たお姫さま」
孤独 数十匹の猫に囲まれる中、暗い部屋で一人でテレビを見るポカホンタス
おとぎ話が終わったハッピーエンドのその後、夢が果てた世界で笑顔をなくしたプリンセスたちの姿はリアルで痛々しくショッキングだが、シニカルな視点の中に現実の社会問題への強いメッセージが見て取れる作品だ。