『予兆 散歩する侵略者 劇場版』の初日舞台挨拶が11日、都内・新宿ピカデリーにて行われ、夏帆、染谷将太、東出昌大、黒沢清監督が登壇した。
満席の会場に現れた面々、東出は自身が演じた侵略者にちなんで「(観客の)概念を奪うようなことはしないので、安心して楽しんでください」と挨拶し、笑いを誘った。黒澤監督は「『散歩する侵略者』から、たった2ヶ月でまたこの舞台に立てることを嬉しく思います。長いキャリアの中で立て続いて2作品を皆さんにお見せ出来るのは初めてです。携わっていただいた方々のおかげです。感無量です」と素直な気持ちを明かした。
ドラマとして撮影された本作が、念願叶っての劇場公開ということで夏帆は「私自身も映画館という環境で見てみたいと思っていたので、すごく嬉しいです」と話し、染谷も同調した。MCが「東出さんはさっきの上映中、後ろでこっそり見ていましたよね?」と問うと、東出は思わず笑顔で「はい!」と認めた。その様子に染谷が「誘ってよ」と言い、会場から笑いが起きた。
また撮影当時を振り返った東出は、「この3人マイペースだと思うんですよ」と告白し、続けて「仲はいいんですよ。本当に。でも昼食の時に割と共演者同士って『あっちで食べよう』とか『一緒に食べよう』とか、やるんですけど、あれ、そめちゃんもう食べてる。みたいな(笑)」と裏話明かした。
どういう風にマイペースなのか聞かれた東出は、撮影中の過ごし方について「僕はずっとうろうろしてましたね(笑)どの現場もうろうろしがちです」と話し、夏帆は「私は、何してたっけ」と呟くと染谷が「ずっと座ってたね、僕は、多分ずっと珈琲飲んでました」と語って微笑み合い、3人の距離感が伺えた。
そんな撮影現場での思い出を聞かれた夏帆は、染谷との共演シーンのエピソードを披露。「家での長回しのシーンで(長回し中に)一瞬、染谷くんが素に戻るんですよ。長いお芝居のあとに(染谷が)持っている包丁を光らせないといけないところがあって」と話すと、染谷が引き継ぎ「角度があったんですよ、包丁の。長回しで、結構、自分もわっと切迫した、激しい芝居をしていて、その途中に包丁を光らせないといけなくて、その角度が難しんですよ。だから、一瞬だけ映らなくなる部分で、その時に、すごい角度調整して(笑)またカメラが戻ってきたらわ!って(笑)」と当時を再現し、会場を盛り上げた。
また染谷が、印象に残っている撮影として披露したのは東出との場面。「そうですね、まあ、東出くんを思いっきしスコップで引っ叩くのは気持ちよかったですね」と清々しく告白すると、東出も「全然嫌じゃなかったですよ。あ、やべ叩かれたって(笑)思いながら演技してました」と笑顔を見せた。
最後に、東出は「黒澤さんの作品が大好きで、勿論お客さんも大好きだと思います。そんな監督の映画に出れたことは誇らしいですし、新しい黒澤清監督の作品が生まれた時に立ち会えたことが嬉しいです。今後とも映画好きな方、ますます映画館に通ってください。予兆が面白かった方、2回3回と見てください」と話した。
続けて黒澤監督は「ほぼ3人だけのキャストで2時間以上の長さのある作品ですけども、この3人の俳優すごくないですか?日本映画は俳優のすごさで保っているんだな。とつくづく実感しました。久しぶりに、本当に、ただ面白い映画を作ろうというごくシンプルな意図で作った映画です。見終わった後は、感想を言葉にしづらいと思いますが、俳優がとにかく凄いという事を伝えていただければそれで、十分この映画の価値は伝わってると思います。どうぞよろしくお願い致します」と締めくくり舞台挨拶は幕を下ろした。
【CREDIT】
出演:夏帆、染谷将太、東出昌大
原作:前川知大「散歩する侵略者」
監督:黒沢清
脚本:高橋洋、黒沢清
配給:ポニーキャニオン
公式サイト:http://yocho-movie.jp/
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