Hey! Say! JUMP知念侑李、『坂道のアポロン』原作者からの手紙に感涙「ホッとしました」

映画『坂道のアポロン』公開御礼イベントが19日、都内・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われ、キャストの知念侑李(Hey! Say! JUMP)、中川大志、小松菜奈、監督の三木孝浩が登壇した。

坂道のアポロン

登壇者にはサプライズで、原作者の小玉ユキからの手紙が代読された。各々が涙を流す中、「坂道のアポロンという物語を描いてよかった。そして知念さんと薫が出会ってくれてよかった、と心から思います。一生ものの素晴らしい映画を、ありがとうございました」との言葉が。

坂道のアポロン

知念は、大粒の涙を流しながら「いやぁ…恥ずかしい!小玉先生に、1番喜んでいただけたのが本当に嬉しいです。ホッとしました」と感涙。「人前で泣かないって決めていたのに(笑)ちょっと恥ずかしいです」と涙を拭いていた。

坂道のアポロン

原作者・小玉ユキ 手紙全文


知念侑李さんへ

眼鏡をかけた七三分けの秀才で、ちょっとひねくれた60年代の高校生。

そんな役に、普段は輝かしい舞台で歌って踊るお仕事をされている知念さんが、こんなにぴったりとはまるとは思っていませんでした。知念さんは謙遜して衣装とヘアメイクのおかげと仰るけれど、そんなことはありません。薫というキャラクターを理解し、演じながら、内側から薫に共鳴してくださっていたのだと思います。そうでなければ、あんなに細かい演技の隅々までに薫を感じることはないと思います。いろんな目の表情、メガネを外して涙を拭く動き、袖のまくり方、話し方、歩き方…そしてピアノを楽しそうに弾く姿。すべてに薫が宿っていて、メガネを外した時の顔の美しさとともに、実写になった喜びを感じさせてもらえる演技でした。

ピアノについては、スタッフさんから知念くんの上達ぶりすごいです、すごいです、と言われるばかりでなかなか弾く姿を拝見できなかったので、撮影現場で初めて演奏を見たときは本当に感動しました。あのジャズの即興的で複雑なアレンジを、必死な感じではなく、楽しそうに、千太郎と目を合わせながら弾いている姿を見て、これは大変な映画になるぞ、と思いました。

映画で見る演奏シーンは本当に素晴らしく、何度見ても鳥肌が立ち、拍手を送りたくなります。

初めての主演映画ということで緊張されていた、と聞いたのはクランクアップの報告を受けた時が初めてでした。現場でお会いした知念さんは常に何かのリズムを刻んでいたり、ぼそっと面白いことを言ったり、変な踊りを踊ったり、撮影の合間に映画に出てこない曲を覚えてきたと言ってさらさらと弾いて見せたりと、いつもリラックスした雰囲気だったので、クランクアップのときに感極まって泣いたと伺ったときは驚いてしまいました。

大分の撮影の時にスタッフさんから聞いた話では、撮影中に苦難が訪れたときにも、知念さんは周りを気遣い、ユーモアをもって場を明るくしていたと伺いました。この映画の主演として、座長として、プレッシャーと闘いながらこの映画を引っ張っていってくださったことに心から感謝します。

坂道のアポロンという物語を描いてよかった。

そして知念さんと薫が出会ってくれてよかった、と心から思います。

一生ものの素晴らしい映画を、ありがとうございました。

中川大志さんへ

千太郎は坂道のアポロンにおけるもう一人の主人公と言えるくらい重要なキャラクターです。実写化のお話が来る前から、アポロンをもし実写化したとしても千太郎を演じられる俳優さんってそうそういないよね、という話をアシスタントさん達としていました。

海外の血が入っているけど日本人寄りの絶妙な顔立ち、身長は薫より頭一個分高く、ケンカが強そうな体、方言、そしてジャズドラムが叩ける。

今こうして羅列しただけで目眩がしますが、その全部を持って現れてくれたのが中川さんでした。ただ、顔立ちと身長は元々として、この役のために髪型を変え筋肉をつけ、方言もジャズドラムも習得して、川淵千太郎として九州の地に降り立ってくれました。

一度体育館でドラムの練習を見学させていただいたときには、複雑なジャズのリズムを(ちょっと照れながら)笑顔で叩く姿に、練習したからってこんなに出来るものか?と自分の目を疑いました。

いくつかのインタビューの中で、千太郎が降りてきた瞬間があった、とおっしゃっていましたが、外から見ても確かに撮影現場でお会いした中川さんは間違いなく川淵千太郎そのものでした。映画のなかで豪快に、太陽のように輝き、ときに繊細でほの暗い影の部分を見せる、両面性をもつ演技が素晴らしく、そして光でも影でもない、ぼけっと気の抜けた表情までが本当に千太郎で、なんていい役者さんに巡り会えたんだろうと感激しました。

とくにセッションシーンでも、千太郎らしいドラムの叩き方、薫を煽るような挑戦的な目つき、心から音楽を楽しんでいる笑顔は、私が漫画で描きたかった千太郎の姿そのままで、その姿を見ているだけで涙が溢れました。

もうあの時の生身の千太郎には会えませんが、会いたくなったら映画を観ます。

そこに生きている千太郎がいるから。映画って素晴らしいですね。

最高の千太郎をありがとうございました。

小松菜奈さんへ

律子の役を小松さんにお願いすると聞いたときは、原作での律子の田舎娘ぶりから考えて、あまりにも美しすぎる、ミスキャストなのではないか、と思っていました。

が、それは全くの杞憂でした。おさげにして、制服や60年代のかわいい服に身を包んだ小松さんの姿を初めて拝見したとき、律子だ!と声を上げてしまいました。表情や動きからは律子の優しさや素朴な可愛らしさ、そしてちょっとお転婆な性格が滲み出していて、役者さんってすごいな、と思うと同時に、小松さんご本人の生来の可愛らしさにキュンとしてしまいました。そして60年代の服が似合うこと!ミスキャストだなんて思ってごめんなさい、大正解です。

律子は恋に揺れながらも、薫の千太郎の友情を見守る立場です。

映画では原作よりも律子の目線に重きを置いていて、観客の気持ちを誘導する役割を律子が担っていたように思います。私も、律子が微笑めば表情が緩み、律子が涙を流せば一緒に泣いていました。それも、全てが演技ではなく、実際に嬉しくなって笑ったり、セッションに感動して本当の涙を流していることが…私は撮影現場で見たのでますますそれがわかるのですが…、伝わってきて、胸が熱くなりました。

律子をより魅力的なキャラクターにしてくださってありがとうございます。

実写版の律子にすっかり惚れてしまいました。大好きです。

三木孝浩監督へ

実写映画化の企画が立ち上がった当初は、正直に言うとあまり期待していませんでした。漫画と映画は別物だから、と線を引かれ、違うものになってしまうことも覚悟していました。

でも監督にお会いしてみたらそんな心配は吹き飛びました。監督の発言ひとつひとつが原作への愛に溢れていて、私がなにも言わなくても世界観やキャラクターを理解してくださっていることがわかりました。

撮影現場を見学した時には、目の前にある光景がイメージ通りすぎて、「監督は私の頭の中を直接覗いたんだろうか…」と、怖くなるくらいでした。

その時に初めて、撮影した映像をモニターで見せていただいた時の興奮をよく覚えています。憧れていた映画のスクリーンの比率の中に、連載時に思い描いていた風景が美しい空気感と色彩で現れて、監督の作り出す映像の世界に鳥肌が立ちました。

また、キャラクターひとりひとりの気持ちに寄り添い、理解し、役者さんを通してキャラクターを実写の世界に立ち上がらせてくれました。実写ならではの細かい演出や、生きている人の気持ちが入った演技に心打たれました。

そしてなんといっても演奏シーンの素晴らしさ!

JAZZという音楽の魅力、セッションで会話する楽しさ、その楽しさが波のように押し寄せる様子が映像になっていて、音、構図、光、カット割り、など、すべてに最高!と言いたくなります。

坂道のアポロンの実写化を、三木監督にお願いして良かったと心から思っています。

これ以上ない、最高の実写化であり、一本の映画として素晴らしいものにして下さいました。本当にありがとうございました。


本作は、長崎県・佐世保市を舞台に、父を亡くし周囲に心を閉ざしてきた高校1年生の西見薫が、初めてできた親友、初めての片思い、そして“ジャズ”との出会いによって成長していくさまを描く青春ラブストーリー。都会から引っ越してきた転校生で、周囲に心を閉ざしがちな主人公・西見薫を、映画単独初主演となる知念侑李が演じる。

共演に、学校一の荒くれ者で“札付きの不良”と恐れられるクラスメイト・川渕千太郎役に中川大志、千太郎の幼馴染で薫が想いを寄せる心優しい女の子・迎律子役に小松菜奈が扮するほか、ディーン・フジオカ、真野恵里菜、中村梅雀らが名を連ねる。監督を『先生!』『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』『僕等がいた(前篇・後篇)』『陽だまりの彼女』『ホットロード』などで知られる三木孝浩が務める。

映画『坂道のアポロン』は全国公開中

(C) 2018 小玉ユキ・小学館/映画『坂道のアポロン』製作委員会

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で