映画『Vision』完成披露イベントが18日、都内・丸の内ピカデリーにて行われ、永瀬正敏、夏木マリ、岩田剛典、美波、森山未來、河瀬直美監督が登壇した。
吉野の山を守る山守として猟犬コウと静かに暮らす智(トモ)・永瀬が「本日はご来場いただき、ありがとうございます。感想は後で聞かせてください」と笑顔で語り、鋭い感覚を持つ女性アキ・夏木は「奈良の山奥に千年生きておりました」と笑いを交えつつ、演じた役を紹介。
山に迷い込んだ謎の青年の鈴(リン)を演じる岩田は「本当に感動しました。観ている方が森の中にいるような錯覚に陥る、神秘的で美しい映画です。今日はみなさんにお披露目できるので嬉しく思います」と笑顔を見せた。山守とは違う形ながらも山を守る猟師の岳(ガク)役の森山も「2〜3日という撮影期間で、どういう話になるのかわからないまま撮影に臨んだのですが、映画を観させていただいて、吉野に生きる人間たちがいるのに、神話のような作品だと思いました。ステキな読後感のある映画でした。この作品に関われてうれしく思います」と作品への思いを語った。
今作で劇映画10本目となる河瀬監督は「やっと皆さんに観て頂けるので、ドキドキワクワクしております。この作品を通して皆さんに何かしらの光が差し込んだらいいなと思っております」とやっと迎えることができた初お披露目の日に感慨深げにしていた。
続けて、「神話やファンジーと言われる方も多いですが、主演の永瀬くんにも何が響いてくるのか分からない映画。でも必ず旅の途中で何かが変化し得られる作品だと思いますし、旅の後に、違う自分がいると思います。みなさんの変化を楽しみたいと思います」と語り、永瀬も「本当に驚いた、この作品を観たときに監督は異次元から来られているんじゃないかと思いました。作品が未来から来ている」と絶賛した。
岩田剛典、転職するなら「山守になりたい」
岩田は「特殊伐採というものを生業としている人物だったんですけど、撮影前に実際に吹替を使わずやりたいなと思っていたので、練習させていただき、それが意外と馴染みました。もし転職するなら山守になりたいなと思います」と撮影中のエピソードを語った。
美波は河瀬作品のフランスでの評判を聞かれ、「河瀨監督作品に出演すると言ったら、周りの反響は本当にすごくて、ワオ、ナオミカワセの映画に出るのかいって。監督の作品は非常に評判が良くて本来なら、日本人にしか理解できないようわびさびの部分が、フランス人にとっては美しかったり、悲しかったりと伝わっているんだと思います」と評した。
初めての河瀬組となった森山は「たくさんありますけど、3日間の撮影で、後半って書いてある台本を渡されて、とりあえず吉野の森に来てと。最初役名などなくて、監督にお会いしたら、じゃあ岳ね、と言われてました。吉野の森の密度が非常に高い印象で、猟師でもあり山守も兼任している役だったので、森に入ると妖気がにじみ出ていて、監督の演出は、没入していくような、呪術師のような感じでした。たった3日間だったのですが、催眠術にかけられたような不思議な体験でした」と撮影を振り返っていた。
イベントでは、奈良の吉野を舞台に人生の回帰を描いた大切な人に会いたくなる愛と絆を描く本作にちなみ、、キャストの人生でもう一度会いたい大切な人を発表。中でも岩田は「お祖父さんですね、僕が生まれたときには亡くなっていたので、会ったことはないのですけど、僕のお祖父さんなら会ってみたかったです」と明かしていた。
そして本作の完成を祝し、また大ヒットを祈願して鏡開きを敢行。最後に河瀬監督は「吉野の森で起こった不思議な物語。でもみんなはリアルに生きていました。是非みんなに会いに来てください」と作品への思いを語り、イベントは終了した。
映画『Vision』は6月8日(金)より全国公開
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