『きみの鳥はうたえる』染谷将太インタビュー|新鋭・三宅唱監督への絶大な信頼、柄本佑×石橋静河との撮影秘話も

染谷将太
『きみの鳥はうたえる』染谷将太

『海炭市叙景』(2010)『そこのみにて光輝く』(2014)『オーバー・フェンス』(2016)に続き、佐藤泰志の小説の映画化4作目となる『きみの鳥はうたえる』。『Playback』(2012)や『THE COCKPIT』(2015)などの新鋭・三宅唱が監督を務め、函館郊外の書店で働く「僕」を柄本佑、「僕」と⼀緒に暮らす失業中の友人・静雄を染谷将太が演じている。今年は『空海−KU-KAI− 美しき王妃の謎』、『パンク侍、斬られて候』、『泣き虫しょったんの奇跡』など出演映画の公開が続く染谷に、今作の撮影秘話を語ってもらった。

──三宅監督とはもともとお知り合いだったそうですね?

染谷:三宅監督とは以前から友達で、これまでの作品も大好きでしたし、今回声をかけて頂けて嬉しかったです。一番最初に頂いた台本は割と原作に近いもので凄く面白かったんですけど、月日が経つとともにどんどん監督らしさの詰まった台本に形を変えていったのも印象深かったなと。オファーを頂いた静雄という役はとても魅力的だったので撮影が楽しみでした。

──静雄くんはあまり多くを語らない大人しいタイプですが、周りの人への優しさや気遣いを凄く感じさせるようなところが素敵だなと思いました。染谷さんはどんな風に捉えてこの役を演じられたのでしょうか?

染谷将太
『きみの鳥はうたえる』染谷将太

染谷:確かに静雄はあまり多くを語らない人ですが、そのぶんとても感受性の強い人だと思います。自分が今いる状況から常に何かを感じとっているような人にしたいなと、台本を読んで漠然と思ったのでなるべくそこは意識して演じていました。

──監督から“今日のテーマはこれでいこう”という演出があったそうですが、例えばどんなテーマだったのでしょうか?

染谷:撮影前に“このシーンはみんなお腹を抱えて笑って、最終的に立てなくなるぐらいの馬鹿笑いになるまで撮ってみよう”とか、“このシーンは「僕」と佐知子(石橋静河)で静雄をちゃんと見守ってね”といったことを監督が話してくれて、それがその場面のテーマになったりすることもありました。

──テーマがあることでみなさんの中に共通認識が生まれて、とても演じやすかったのではありませんか?

染谷:そうですね。監督が何かひとことテーマを言うだけでそのシーンの温度感をみんなで共有しやすかったですし、僕だけじゃなく(柄本)佑さんも石橋さんももともと監督と知り合いなので、監督の言いたいことがすぐに理解できたというか。スタッフさんもずっと三宅組に参加されてきた方達ばかりだったので、全員が監督の表現したいことをしっかりと受け止めて、どうすれば具現化できるかを考えていました。みんなが意見を言える現場でしたし、その空間の中で僕ら役者は自分の役をどう体現していくかを考えていたので、とても建設的で想像力豊かな時間を過ごさせて頂いたと思います。

──「僕」と静雄、佐知子の3人でお酒を飲むシーンが多く出てきますが、実際にお酒を飲んで撮影に挑まれたシーンもあったとか?

染谷:全部ではないですけど、実際にお酒を飲んで撮影したシーンもありました。監督とは普段飲みに行ったりするので酔っぱらった僕や佑さんを見ていますから(笑)、きっとそういうのもあってシーンによっては実際にお酒を少し飲んでやってみようという提案をされたんだと思います。

──他に撮影方法で印象的だったことがあれば教えて頂けますか。

染谷将太
『きみの鳥はうたえる』染谷将太

染谷:クラブのシーンは実際のクラブを借りて、エキストラの方に実際にお酒を飲んでもらって、プロのDJの方も入れて撮影したんです。営業中のクラブに僕ら3人(「僕」、静雄、佐知子)で入っていってゲリラ撮影のようにカメラを回しているような状態でした(笑)。撮影の合間に監督が僕らに対して演出している最中も音楽を止めなかったので、ワイワイガヤガヤとエキストラさん達は楽しそうにしていて(笑)。そういう経験は今まで無かったので凄く面白かったです。

──演出中も音を止めなかったことで気持ちも途切れずに撮影できたのではありませんか?

染谷:それはありましたね。ただ、そのぶん気を抜けないんです。常に遠くでカメラが回っていたので、静雄としてずっとクラブにいるということはある種試されているような感覚になるというか(笑)。とても緊張感のある刺激的な空間で4時間カメラを回しっぱなしだったんですけど、使っているのはそのうちのほんのわずかなカットで。あとで聞いたら監督はその映像をお酒のつまみにしてロケ先のホテルで飲んでいたそうです(笑)。

──贅沢なおつまみですね(笑)。

染谷:ですよね(笑)。

──ちなみにその4時間はアドリブで動いたところもあったのでしょうか?

染谷:ザックリとした動きの指示はあったんですけど、自分でも“あそこに行ってみようかな”とか“「僕」と佐知子にお酒を持って行ってみようかな”とか考えながら動いていました。そういうのは遊び心が溢れているような感じがして楽しかったです。あ、あと“佐知子の肩に静雄が手をかける”と台本に書かれていたので、そこはうまくタイミングを見てやってみたり。そんな風に静雄として色々と考えながら動くのは面白かったです。

──クラブの中で静雄くんが佐知子ちゃんの肩にさりげなく手をかけたシーンはドキッとしました。佐知子ちゃんに対して静雄くんは最初から好意を持っていたと思いますか?

染谷:静雄と佐知子が初めて顔を合わせるシーンがあるんですけど、そこが凄く劇的だなと完成を観たときに感じたんです。最初は互いの気持ちに気付こうとしてないけど、一緒に時間を過ごすうちに気付かざるを得ない距離感になってくるというか。それは静雄と「僕」に関してもそうで、向き合った人と人の中で何かがちょっと動いているような空気というのを三宅監督が作ってくれたおかげで、3人の微妙な距離感が見事に表現されていたように思います。

──その微妙な距離感を保ちながら、佐知子ちゃんが着ているシャツを静雄くんが“それ凄くいいね”と褒めるシーンがありますよね。あのシーンも凄く良いなと思いました。

染谷将太
『きみの鳥はうたえる』染谷将太

染谷:あれ良い台詞ですよね(笑)。確かあれは最初台本には書いてなくて、監督が突然“佐知子のシャツを触ってから「このシャツいいよね」と言って欲しい”とおっしゃったんです。監督のそういうセンスが凄く好きで、あのシーンで静雄が佐知子の服を褒めるというのはストーリーを語る上ではあまり必要ないものとも言えますけど、あの微妙な空気感の中で洋服を褒めるという提案をされたときに“三宅監督、やっぱりセンス光ってるな〜”と実感しました(笑)。別に友達だから言うわけじゃないですよ(笑)。

──ちなみに染谷さんは人の洋服を褒めたりすることはありますか?

染谷:僕ですか(笑)? 実は人のことを褒めるのも自分が褒められるのも苦手で…(苦笑)。

──それを聞くと余計にあのシーンにドキッとしますね(笑)。観終わったあとにふと思い出してしまうような素敵なシーンでした。

染谷:そう言って頂けると嬉しいです。たまには人の服を褒めてみようかな(笑)。

──最後の質問になりますが、染谷さんは大作エンタメ作品から単館系まで幅広く出演されています。どのように出演作を選んでらっしゃるのでしょうか?

染谷:役者は出演のオファーを頂けないと選びようがないので(笑)お話を頂けるものはタイミング合えば是非という感じです。国内外問わず自分が全うできると思えるものならどんな作品でも。ただ、役者はお話を頂かないとできないお仕事ですが、僕は監督として『シミラー バット ディファレント』(2013年)と『清澄』(2015年)、そして山口情報芸術センターの映画制作プロジェクト「YCAM Film Factory」で制作した最新作の『ブランク』の3作品を撮っています。『ブランク』は去年の夏に山口県でしか上映できていないので、いま東京でも上映できるように動いている最中で。是非こちらも楽しみにして頂けたら嬉しいです。

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染谷将太
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映画『きみの鳥はうたえる』は9月1日(土)より新宿武蔵野館、渋谷ユーロスペースほか公開/以降全国順次公開

(C) HAKODATE CINEMA IRIS

取材:奥村百恵/写真:小宮駿貴

スタイリスト:小橋淳子(こばし・じゅんこ)
ヘアメイク:AMANO

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作品情報

きみの鳥はうたえる

きみの鳥はうたえる

4.2
2018/09/01 公開
出演
柄本佑/石橋静河/染谷将太/足立智充/山本亜依/柴田貴哉/水間ロン/OMSB Hi'Spec/渡辺真起子/萩原聖人 ほか
監督
監督:三宅唱/原作:佐藤泰志