映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』岩田剛典×杉咲花インタビュー
漫画家・有賀リエの原作「パーフェクトワールド」を岩田剛典×杉咲花のW主演で実写映画化した本作は、“障がいのある恋”をテーマに描いた純愛ラブストーリー。突然の事故で下半身に障がいを持ち、車イス生活になってしまった建築士の主人公・鮎川樹を岩田剛典が演じ、初恋の先輩である樹を一途に想い、悩み、もがきながらも一緒に前を向いて生きていこうとするOL・川奈つぐみ役に杉咲花が扮する。監督を『流れ星が消えないうちに』などで知られる柴山健次が務める。
映画ランドNEWSでは、W主演を務めた岩田剛典×杉咲花の2人に、お互いの印象や可愛らしい一面、撮影時のエピソード・作品の魅力などを伺った。
──現場でのディスカッションが多く「現場で役を作り上げていった」とのことですが、印象に残っている出来事や思い出のシーンはありますか?
岩田:たくさんあったなー。監督がまず段取りを役者にやらせて、それを活かす監督だったので、“こう動いて、こうして…ここで決めて”っていうのは無かったんです。段取りをやってみて、カット割りを決めてやっていくんですけど、「ん?このセリフってやっぱこっちの方がいいなー」ってアイディアが出た時とか、「さっき段取りやってみたけど、あの時の空気感2人(岩田・杉咲)の中でお互い違うと思ってやっていたよね」とか。そんなことがあると、「すみません、監督ちょっと良いですか?」って来てもらって、監督と3人で話したりして。本当にディスカッションの多い現場でした。
杉咲:ここまで話し合いをした現場は初めてでしたね。監督が話を聞いてくださる方だったので、もちろん「こうしてほしい」っていうのはあるのですが、私の話を全部聞いてくださいました。不安要素を全部取り除いて、やっと「はじめよう!」という現場でした。雨の中、猫を探しているシーンとか、段取りに1時間くらいかけました。初めてなことばかりでした。
──そういう意味では、気を張り続けなくてはいけないような良い緊張感のある現場だったのでは?モチベーション的にも大変だったのではないでしょうか。
岩田:大変でしたね。“チームで作っている”感覚はものすごく味わえました。それも含めて良い経験でした。
──その中でも、特にこだわりのあるシーンはありますか?
岩田:デートシーンのところは、ほとんど“アドリブ”なんです。そういうシーンはサクサク撮っていった感じがしました。
杉咲:クランクインした最初のシーンが美術館でのデートシーンで。本当に1番最初のカットで「アドリブで」と言われて(笑)。あの時、結構緊張しました。
──撮影初日からピッタリ役にハマっていたようですね。
岩田:そう思っていただけると本望です(笑)。
杉咲:(笑)。
──今回が初共演となりましたが、お互いの印象はどうですか?撮影を経て印象が変わっていった部分はありますか?
杉咲:ドラマとかでお見掛けすることもありましたけど、やっぱり一番は踊ってる力強いイメージがあったのですが、初めてお会いした時は正直どんな方なのか想像がつかなかったんです。そんな一面もありつつ、細かな気配りもされているという印象でしたね。とにかくたくさん話しかけてくださって、「怖い話とかしてたな」と思い出しました(笑)。
岩田:(笑)。
──どんな話ですか?(笑)。
杉咲:おばけの話とか・・・(笑)。作品は結構切ない話でもあるのですが、撮影していないときは盛り上がっていたというか、楽しかったです。怖い話もそうですけど、似顔絵描き合ったりとか(笑)。あと、遊園地のシーンで日が暮れるまで時間があったんですけど、その時に岩田さんがずーっと“ガチャガチャ”をしていて(笑)。おでんの食品サンプルのガチャガチャなんですけど、ある食材が出るまでずーっとやってるっていうお茶目な一面も見れました(笑)。
岩田:(笑)。
──どの食材か気になりますが(笑)。岩田さんが感じた杉咲さんの印象は?
岩田:花ちゃんの会う前の印象は、ドラマやCM、映画などでたくさん見る機会があったので、すごく正統派の清潔感のある女優さんという印象でしたね。お会いしてからは、本読みの時に「とても可愛らしい声をしてるな」と思いましたね。素敵な声質じゃないですか。
──透る素敵な声ですよね。
岩田:イメージとのギャップっていう意味だと、大きくは無かったですよね。やっぱりいろんな作品を見させていただいていたので。お芝居してるときは、ご自身が持たれているやわらかい雰囲気や品の良さもあって、ものすごくハマるけど、真剣な表情になった時の凛とした強さみたいなのもすごく伝わってきたので、その振り幅が素晴らしいなって思いましたね。花ちゃんが“つぐみ”じゃないと、自分も“樹”になれなかったと思います。現場もすごくいい空気感の中で進んでいったので、それがスクリーンに滲み出てるんじゃないですかね。
──演じたキャラクターとご自身の“似ているところ”はありますか?
岩田:“仕事に生きているところ”に共感出来ました。「このチャンス1回きりで、逃したらもう次が無いんだ」っていうセリフとか。すべて自分次第で、自分の先が決まっていくんだって思っているところ。近しいことを自分も思うので「わかるなー」と。そういうセリフは、すんなりと出てくる感じもありました。
──杉咲さんから見て、岩田さんご自身と“樹”が似ていると感じた部分はありましたか?
杉咲:“仕事に対してストイックなところ”はとても似ているというか。本番がはじまった時の、1つのシーンを撮ってるときの“集中力”がすごくて。観覧車のシーンのときとか、中が本当に狭かったので、スタッフさんも限られた人数しか入れない中でいろんなカットを撮らなければならないので、本当に「何周したか!」というくらい観覧車に乗り続けて(笑)。でも、すごく大事なシーンでした。私はすぐ集中力が切れてしまう方なのですが、岩田さんは“樹”としてそこに居てくださいました。ご自身が映ってないときも、本番と同じ熱量で私に向き合ってくださいました。それにはすごく助けていただきましたし、尊敬するところでもあります。
岩田:あれは・・・キツかったですね(笑)。もうやりたくないよね、あれは(笑)。
──岩田さんは普段から集中力ある方なんですか?
岩田:自分ではあんま思わないですけど・・・でも、あのシーンは長回しで一連でワンカット・ワンカット抑えていて。あと、回想シーンなのでひたすら喋るんですよね。ずーっと喋り続ける中で、感情の起伏もある。あの撮影の日は、(現場に)来るのもすごく緊張していたので、集中はしてたかも。でも正直、何周もするんで、どこかで集中力は切れてますよね(笑)。
杉咲:他にも、美姫先輩(雪村美姫役:大政絢)の結婚式を見るシーンがあるのですが、あのシーンも実は違う方向を見なきゃいけなくて。だから、何でもないところを見てリアクションしなきゃいけなくて。
岩田:“木”とか見てたよね(笑)。
杉咲:先輩(岩田)の目には美姫先輩が居るようにしか見えなくて「すごいなー」と思ってました。
岩田:それは別に僕がすごいわけではないと思う(笑)。
──岩田さんから見て、杉咲さんと“つぐみ”が似ていると思った部分はありますか?
岩田:真っ直ぐな女性なので、そのピュアな感じとかがハマってたと思います。スタッフさんとかに対しての“やさしい気遣い”とかも素晴らしいんですよね。そういう細かなところまで気付ける人間性とか、優しさとか。“川奈”(つぐみ)も“樹”のために、裏で無理をして自分のことを追い込んじゃうみたいなところとか、その真っ直ぐさみたいなところですかね。自分(杉咲)が大変なスケジュールの現場の中で、しっかりスタッフさんのケアもしていて。
杉咲:ありがとうございます。
岩田:ただ、年齢のことを最初すごく気にされていたんですけど、社会人の役がはじめてで、「こんなに年が離れてる社会人の役はじめてだ」って。でも、そんなこと全然感じなかったですね。
──大人っぽい感じが出てましたよね。
杉咲:ほんとですか?(笑)。
岩田:でも、撮ってるときより今の方が全然大人っぽくなりましたよ!撮影から1年以上経ってるのもありますけど、女性はこれくらいの年が変わるんですね。いま撮ったらまた違うよ。
──撮影&スタッフのほとんどが『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』と同じチームだったようですね。
岩田:そうですね。百戦錬磨のスタッフチーム、ものすごい安心感がありました。この映画を観た時、もちろんストーリー性とか2人の恋愛模様とかもあるんだけど、シンプルに“画のキレイさ”、光の入れ方とか素晴らしいなって思いました。「本当に素晴らしいスタッフさんが揃ってくださったんだなー」って改めて感じましたし、もう誰も喋らなくても「2時間持つんじゃない?」ってくらいキレイな、目に焼き付くような画が印象的でしたね。
杉咲:照明とかも本当にキレイだったので、“つぐみ”が実家に帰って自分の描いた桜の絵を押し入れから出すシーンとか、演じていて照明さんの光が「絶対キレイだな」と思ったりしてました。(スタッフの)皆さん仲が良かったので、安心感がとてもありましたね。スタッフさん同士が初対面という現場も結構あるので、今回は撮影前からチームが出来上がっている感じがあって楽しかったです。
──また、岩田さんの様々な笑顔が印象的でした。本当に笑っている顔と、切ないような笑顔と、何か抱えているけれど無理しているのでは?と思うような笑顔と。そういう表情や仕草で意識されていたところはありましたか?
岩田:その時の感情で出る表情なので、そう受け取っていただけていたら良かったなって思います。そんなに「こうやろう!」と思って演じていたわけではなかったです。
──杉咲さんは、そんな岩田さんの笑顔をどう捉えていましたか?
杉咲:私は、ちょっと苦しい時とか、笑ってしまう時があるんです。だから、すごく先輩(樹)の気持ちがわかるというか。だからこそ見ていて切なくもなりますし、共感できましたね。
──今作では、恋愛・障がい・仕事・家族など、さまざまな壁や試練にぶつかるシーンがありましたが、お2人は壁や試練にぶつかった時、どう乗り越えていきますか?
岩田:相談できる相手がいたら、相談しますね。でも、最終的には自分に自信をつけることしか無いかなって思うんです。結局、相談してもそのアドバイスから“より自分に自信を持てるまで”にしていかなきゃいけない。自分で考えていても、何か行動を起こしたとしても、何かしらそこに向かうまでには、ある程度「行ける!」って自信が1ミリでも無いと。僕は“行けないタイプ”なので。僕の乗り越え方は“自信をつけること”ですね。
──杉咲さんはいかがですか?
杉咲:母親とかに相談します。でも、“自分の直感を信じること”もあります。結構そういう直感を“信じたい”と思っています。
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映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』は10月5日(金)より全国公開
(C)2018「パーフェクトワールド」製作委員会 (C)有賀リエ/講談社
取材:矢部紗耶香/写真:ナカムラヨシノーブ