ライアン・ゴズリング×デイミアン・チャゼル監督が2年連続で来日、新作『ファースト・マン』の魅力語る

映画『ファースト・マン』来日記念イベントが3日、都内・マンダリン オリエンタル 東京にて行われ、ライアン・ゴズリング(ニール・アームストロング役)、デイミアン・チャゼル監督が出席した。

ファースト・マン

昨年に引き続き、2年連続の来日を果たした2人。ライアンは「再びこの地に招いてくれてありがとう!日本に来るのは大好きだからとっても興奮しているよ。何よりチャゼルとこの最新作のために来れたことがなにより嬉しく感じているよ」、チャゼル監督は「ライアンが言っていることと全く同じで、日本に戻ってこれてとてもワクワクしているよ。僕は昨年初めて来日した時に早く戻りたいと思っていたから、この作品を携えてこれたことが嬉しいな。みんながこの作品を気に入ってくれることを祈っているよ」と明かした。

世界的な大ヒットを記録した『ラ・ラ・ランド』よりも前に企画していたという本作。本作を撮ろうとしたきっかけについて問われると、チャゼル監督は「ジェイムス・R・ハンセンの原作を読んだときに、『セッション』を撮ったころから掲げていた“ゴールを追求するために、人はどのくらいの代償を払うのか”という目標が、月面着陸程の大きなキャンバスを持つ本作なら、さらに深く掘り下げられると思ったんだ。でもライアンと作品を準備していくなかで、そのゴールよりもニールが何故このミッションを達成できたのかということに注目がいった。それには彼の人生における悲しみと喪失の出来事が大きく関わっていることを知って、最終的には彼とジャネットの関係性や、彼の家族の物語を描きたいという目標に変わっていったんだ」と熱くコメントした。

一方、実在した宇宙飛行士のニール・アームストロングを演じるオファーが来たときの心境について問われたライアンは、「こうした歴史的な偉業を残した人物を演じることを光栄に感じると同時にプレッシャーも感じた。僕はハンセンによる原作本を読んでから、ニールと家族の関係、そしてミッションを成し遂げるまであれだけ多大な犠牲があったことや、彼の背後に大きな悲しみや喪失感があったことをやっと知ることが出来た。それを背負ったうえで、月面着陸の象徴的な人物を演じることは重くも感じたけれど、とても刺激的な経験だったよ」と振り返る。

役作りについて問われると「僕にとってラッキーだったのは、ニールの当時の妻のジャネットと亡くなる前に対面できたこと。彼が産まれた生家も残っていて、そこで妹や、息子兄弟にも会えたし、彼を知る友人や一緒に働いていた同僚に実際の彼の話を聞くことが出来た。いろんな人が親切にも惜しみなく話を聞かせてくれたんだ」と明かした。

ファースト・マン

ここで、2010年4月にケネディ宇宙センターからスペースシャトル「ディスカバリー号」に登場して飛び立ち、国際宇宙ステーションにてSTS-131ミッションを遂行。15日と2時間47分間の宇宙の旅を遂行した経験のある宇宙飛行士の山崎直子が登場。

山崎は「この場に呼んでいただきましてありがとうございます。ライアンさん、チャゼルさん、日本へ来てくださってとても嬉しいです。この映画を観た時、上映している2時間21分間の映像すべてがリアリティたっぷりに作られていて、まるでドキュメンタリーをみているような感動を覚えました!」と登場するなり、本作を大絶賛。

続けて、MCにこの映画の最もリアルだったところについて問われると「アポロ時代の宇宙船の古めかしい機械の感覚や、危険と隣り合わせの過酷な訓練の日々、そして何より日常生活の一コマ一コマといった当たり前な日常との対比の描き方がとてもリアルだなと感じました。また国家の想いや、仲間の死、家族にプレッシャーを与えている状況だったりと、いろんなことを乗り越えていく、彼の心理描写にもとても共感が出来ました」と語った。

実際に宇宙に行った山崎からのコメントを受けて、演出でこだわった点について問われたチャゼル監督は「まずは山崎さん今日はここへ来てくれてありがとう!宇宙飛行士の方に会うことができただけでとてもワクワクするのに、映画を観てリアルだと感じてもらうことができて、さらにエキサイティングな気分だよ。この作品を“リアル”に描くことはとても重要な部分だった。僕らは宇宙飛行士ではないし、宇宙に行ったこともなければ、60年代にも生きていない。だからこの物語を描くことに距離を感じていて、プレッシャーもあったけど、ライアンも先ほど言っていたように、妻のジャネットや息子兄弟、同僚たちからたくさんを話を聞くことを重ねることで、その距離を埋められると思ったんだ。彼らは5分だけでもお話を聞きたいと言えば、撮影セットにもきてくれたし、映像をみてアドバイスをくれた。山崎さんのような宇宙飛行士の方がそんな感想を持ってくれるのは、当時を知る彼らの厚い協力があったからだと僕は思っているよ」と、本作を制作するうえで協力的だった関係者に感謝の気持ちを述べた。

ここで、さらなるゲストとして、民間人初となる月周回へ、それも世界的なアーティストを招待し、月を見て作品を創作してもらおうという、まさに宇宙規模の壮大なアート・プロジェクト #dearMoonを発表している前澤友作(株式会社ZOZO代表取締役社長)が登場。

前澤は「前澤友作です。今日はお呼びいただきありがとうございます。映画『ファースト・マン』を観ましたが、これは本当におすすめです。この数年で観た映画の中でダントツのナンバーワンの映画になりました!」と、ライアンとチャゼルに熱く訴えかけるようにコメント。

実際にこれから宇宙へいくことを計画している前澤は、宇宙体験がリアルに描かれている本作を観ての心境について問われ、「この映画に限らず、これまで宇宙を題材にした様々がありましたが、『ファースト・マン』は極めてドキュメンタリータッチに近い作品だなと感じました。宇宙船のボタンを押す音だったり、地面に着陸したハッチが開く瞬間の音、いままで伝えられなかった細やかな情報が、最新の映像技術で新たに、さらにリアルな形で描かれていますね。劇中ではトラブルや事故も現実の通りに描かれていたので、一緒に映画を観た僕の周りのスタッフは、この映画を観て、僕が宇宙に行くことを“不安だ”と言っています(笑)。僕はそのようなことも覚悟のもとでこの映画を観たので、怖いというよりもむしろワクワクしています!」と目を輝かせながら明かした。

打ち上げが成功すると、月周回を果たした最初の民間人、“ファースト・マン”になれる前澤。山崎は「とにかく楽しんでいただきたいです!前澤さんが旅立たれる発射台は、私が旅立った発射台でもあり、ニールが旅立った発射台でもあります。わたしたちのように宇宙を背負って、ぜひ次の世代へと繋げっていってほしいと思います」と熱いエールを送った。

前澤の新たな挑戦を受け、“もし、月に行けるとしたら行ってみたいか?”と問われたチャゼル監督は「正直いうとわかんないな(笑)子どものときは宇宙飛行士の栄光であったり、楽しい部分しか知らなかったけど、この作品を作ることで、その裏にはたくさんの努力や汗と涙があることを知ったんだ。だから昔よりも宇宙に行くことに躊躇する気持ちが大きくなったと思うね。ライアンとともに月面で活動することを再現できたことは楽しかったけど、本物の月のシュールでユニークな風景を見ることが出来る前澤さんには嫉妬するよ(笑)」と明かし、ライアンは「この映画の撮影では本当に実際の宇宙服を着たり、そして精巧に作られた宇宙船に乗ったりしていて、心から楽しんだんだ。でもチャゼル監督にカットって言われて、宇宙船から足を下した時が一番心がほっとした(笑)僕は山崎さんや前澤さんの勇気に感服するよ。僕にはそんな勇気はないから、みんなを影ながら応援しているね(笑)」と正直な想いを明かし、会場からは笑いが起きた。

映画『ファースト・マン』は2019年2月8日(金)より全国公開

(C)Universal Pictures (C)2018 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

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作品情報

ファースト・マン

ファースト・マン

4.0
2019/2/08(金) 公開
出演
ライアン・ゴズリング/クレア・フォイ/カイル・チャンドラー ほか
監督
監督:デイミアン・チャゼル/原作:ジェイムズ・R・ハンセン