独特の存在感を放つ若手トップ女優ミア・ワシコウスカ【監督・俳優のすすめ Vol.7】

“監督で観る” “俳優で観る”映画の楽しみ方。今注目の人やこれから注目すべき映画監督・俳優について紹介する【監督・俳優のすすめ】。Vol.7は若手トップ女優の一人ミア・ワシコウスカ。

Keyword 1: 映画界の巨匠たちに愛される女優

1989年生まれ、今年の10月で26歳。ミア・ワシコウスカの映画出演作は、17歳の時に出演した映画デビュー作から数えて21本にものぼり、そのうち8本の映画で主演を務めている(製作中を含む)。世界的に名前が知られるようになったのは、ティム・バートン監督の『アリス・イン・ワンダーランド』。日本でもジョニー・デップがマッドハッターを演じたことで話題となった本作で、主人公のアリス役に大抜擢された。このハリウッド大作で脚光を浴びた後、キャリー・ジョージ・フクナガ監督『ジェーン・エア』、ガス・ヴァン・サント監督『永遠の僕たち』、パク・チャヌク監督『イノセント・ガーデン』、ジム・ジャームッシュ監督『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』、デヴィッド・クローネンバーグ『マップ・トゥ・ザ・スターズ』、ギレルモ・デル・トロ監督『Crimson Peak(原題)』など、名だたる監督たちの映画に次々と主演・出演していることが、彼女の人気ぶりや実力を兼ね備えた女優であるという何よりの証と言える。

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Keyword 2: スクリーンに惹きつける存在感

透明感。儚げ。凛々しさ。ミステリアス。可憐。天真爛漫。アンニュイ。少女。大人。
作品によって様々な表情を見せ、明るく屈託のない可愛い笑顔や、それとは正反対の眉間にシワを寄せた不機嫌顔もミア・ワシコウスカならではの魅力。年齢よりも少し幼く見える顔立ちでありながら、時に憂いをおびた表情でどこか陰のある内面をうかがわせる。一言では言い表せないような雰囲気を持つミア・ワシコウスカは、スクリーンで独特の存在感を放ち、その個性が光れば光るほど惹きつけられる。

これまで演じてきたのは、実年齢に近い等身大の少女(『キッズ・オールライト』『永遠の僕たち』)、過酷な環境でも自尊心を持って強く生きる女性(『ジェーン・エア』)、登場シーンは少ないながらも強烈な印象を残した、吸血鬼の姉とそのパートナーの平穏をかき乱す破天荒な妹(『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』)、重大な秘密を抱えた顔に火傷のあとを持つ謎の女性(『マップ・トゥ・ザ・スターズ』)など、ミア・ワシコウスカの個性と魅力あふれる役ばかり。

中でもミア・ワシコウスカの魅力が最大限に発揮されているのが、同じオーストラリア出身のニコール・キッドマンと共演した『イノセント・ガーデン』。本作でハリウッド・デビューを飾ったパク・チャヌク監督の映像美もさることながら、不穏な空気が漂うミステリーである本作の雰囲気に絶妙にはまっているミア・ワシコウスカ。最愛の父を亡くし自分の殻に閉じこもっていた彼女が、ラストシーンではまるで別人に。純粋な少女から狂気を孕んだ大人への変化を、持ち前の繊細さとミステリアスな雰囲気に加え、憂いのある表情と鋭い眼差しで見事に演じきっている。

Keyword 3: 唯一無二の魅力で躍進し続ける女優

個性的な役が多いミア・ワシコウスカが等身大の24歳の女性を演じる『奇跡の2000マイル』が現在公開中。ミア・ワシコウスカ演じる主人公ロビンは、日常に居場所を見失い、自分を変えるためにオーストラリア砂漠横断という過酷な旅にたった一人で挑む。この旅の記録を綴った伝説的ノンフィクションを、アカデミー賞を受賞した『英国王のスピーチ』の製作陣が映画化。

映画の舞台となるオーストラリアはミア・ワシコウスカの母国でもあり、撮影もオーストラリアで行われた。これまで「家はオーストラリア、仕事はどこか別の場所」と考えていたミア・ワシコウスカにとって、母国オーストラリアでの撮影はとても重要なものだったという。この特別な経験の中で生まれたミア・ワシコウスカの演技にぜひ注目したい。

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また、日本でも公開が待たれる『Crimson Peak(原題)』は、監督が『ヘルボーイ』『パンズ・ラビリンス』『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロと、またもや楽しみな組み合わせが実現。本作でミア・ワシコウスカは、新婚の夫の見かけとは違う人物像に気づく若き女性作家を演じる。共演にトム・ヒドルストン、ジェシカ・チャスティン、チャーリー・ハナムと旬なキャストが勢揃い。

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他に、出世作でもある『アリス・イン・ワンダーランド』の続編で再びアリス役を演じる『Alice Through the Looking Glass(原題)』なども製作中で、ミア・ワシコウスカの新たな魅力をスクリーンで堪能できる新作の公開が待ち遠しい。


ミア・ワシコウスカ
1989年10月14日生まれ、オーストラリアのキャンベラ出身。子供の頃からプロを目指してバレエに励んでいたが14歳で断念。15歳で本格的に演技に興味を持ち、エージェントにコンタクトを取る。2004年にオーストラリアのTVシリーズ「All Saints」の2エピソードに出演しキャリアをスタート。2006年のオーストラリア映画『Suburban Mayhem』のリリヤ役でオーストラリア映画協会賞新人女優賞にノミネート。その後、いくつかのオーストラリア映画やアメリカのTVシリーズ「In Treatment」などの出演を経て、2008年以降は、エドワード・ズウィック監督『ディファイアンス』やヒラリー・スワンク主演『アメリア 永遠の翼』といったハリウッド作品に出演。2010年『アリス・イン・ワンダーランド』のアリス役でブレイクした。2012年には「Miu Miu」の春夏キャンペーンのイメージモデルにも起用された。

『奇跡の2000マイル』
7月18日(土)より公開中
公式サイト:http://www.kisekino2000mile.com
【監督】ジョン・カラン(『ストーン』)
【製作】イアン・カニング&エミール・シャーマン(『英国王のスピーチ』『SHAME-シェイム-』)
【出演】ミア・ワシコウスカ、アダム・ドライバー
(2013/オーストラリア/シネマスコープ/カラー/112分)

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