現代最高のフィルムメーカー、スティーヴン・スピルバーグ【監督・俳優のすすめ Vol.8】

“監督で観る” “俳優で観る”映画の楽しみ方。今注目の人やこれから注目すべき映画監督・俳優について紹介する【監督・俳優のすすめ】。Vol.8は現代最高のフィルムメーカー、スティーヴン・スピルバーグ。

Keyword 1:One & Only ~若い頃から突出していた才能

初期の作品から今に至るまで、誰にも真似のできないイマジネーションとオリジナリティを駆使して数々の名作やヒット作を誕生させてきたスティーヴン・スピルバーグ。幼いときから映画が大好きだった彼は、12歳で8mm映画を作り、16歳のときには16mmで140分もの大作を作り上げるなど映画少年の域を超えた才能の片鱗を見せて、周囲を驚かせた。また同じ16歳の頃、何喰わぬ顔をしてユニバーサル撮影所に潜り込み、重役を装って映画作りのノウハウを取得してしまったという驚きの逸話もある。そして、カリフォルニア州立大学に通っていた頃に撮った短編映画『Amblin』がユニバーサル映画の副社長の目に止まり、テレビ界に進出。史上最年少でハリウッドメジャースタジオと正式契約を結ぶという快挙を達成した。そのシャープな感性は早くも「刑事コロンボ/構想の死角」(71)などで発揮され、異例のスピードで頭角を現していった。

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Keyword 2:フィルモグラフィー ~エンターテイメントの常識を変えた、輝かしき作品群

24歳で監督したTVムービー『激突!』(71)はアメリカ以外では劇場公開され、アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭で見事グランプリを受賞。3年後、『続・激突! カージャック』(74)で鮮烈な劇場映画監督デビューを飾った。その1年後、人喰いザメの恐怖をショッキングに描いた『JAWS/ジョーズ』(75)が全世界で大ヒットを記録。その後も、『未知との遭遇』(77)『E.T.』(82)『インディ・ジョーンズ』シリーズ、『ジュラシック・パーク』シリーズなど、夢とファンタジーあふれる傑作の数々を生み出す。一方で、『カラーパープル』(85)をはじめとする人間ドラマにも意欲を見せ、その頂点ともいえる『シンドラーのリスト』(93)では歴史に埋もれた実話をベースに戦争の残酷さを描き、アカデミー賞作品賞、監督賞を手にした。また、ノルマンディー上陸作戦のリアルな描写が話題を呼んだ『プライベート・ライアン』(98)で2度目のアカデミー賞監督賞を受賞。『マイノリティ・リポート』(02)『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(02)『ミュンヘン』(05)『戦火の馬』(11)など多彩なジャンルでさらなる進化を遂げ、近年は、偉大な指導者の素顔を壮大なスケールで描いた『リンカーン』(12)で巨匠としての力量を再認識させた。

 

Keyword 3:テーマ ~いつまでも失わない少年のハートと飽くなき冒険心

スピルバーグが描くファンタジーの数々には、純粋無垢な少年の心が下敷きになった作品が少なくない。『E.T.』や『未知との遭遇』の背景には、7歳のときに父とともに見た夜空の流星群の記憶がある。主人公がシングルマザーの家庭であることがスピルバーグ自身と繋がるなど、彼の個人的背景も映画作りに大きく影響している。映画少年の夢を現代に具現化したものとして、ジョージ・ルーカス製作総指揮&スピルバーグ監督による『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81)『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(84)といったエンターテイメント・シリーズも忘れられない。最新SFXを駆使してハリウッド往年の冒険活劇の興奮を甦らせたこれらの大作では、カッコいいヒーロー、インディが大活躍。巨大な針が天井と床から迫ってくる密室やらジェットコースター式トロッコの大チェイスなど手に汗握るアクションの見せ場が満載で、世界中の映画ファンを釘付けにした(『5』が作られるというウワサもあるが、果たして実現するのか)。 さらに、子供の頃から恐竜好きだったスピルバーグの夢を実現させたのが、『ジュラシック・パーク』(93)である。

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Keyword 4:スピルバーグマジックは終わらない!最新作『ジュラシック・ワールド』

ティラノザウルスからヴェロキラプトルまで古代の恐竜たちを驚異の映像マジックで甦らせた『ジュラシック・パーク』。この映画は、ストップモーションが主流だった恐竜映画の常識を一変させ、映画史に新世紀を開く画期的作品となった。4年後に『ロスト・ワールド』、2001年には『ジュラシック・パークⅢ』が生まれ、どれも記録的な大ヒットを記録。そして今年、14年ぶりに『ジュラシック・ワールド』が登場した。前作と同様、スピルバーグは製作総指揮を担当し、監督に新鋭コリン・トレボロウを起用。クリス・プラット、オマール・シー、ブライス・ダラス・ハワードら個性豊かな俳優陣にも注目。今回の目玉は、遺伝子操作で新たに創り出されるハイブリッド恐竜インドミナス・レックスだ。今までにない破壊力で暴れ回る新恐竜と人間との戦いを描く本作は、より進化した映像とストーリーで、まさに全編がスピルバーグマジックの宝庫。公開後史上最速で10億ドルを突破したこの夏いちばんの期待作が、ついに日本上陸を果たした。現在、列島は熱いムーブメントに燃えている。

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40年以上のキャリアを誇るスピルバーグだが、映画作りの夢はまだまだ終わることなく、今後も製作予定作品が目白押し。一体、次はどんな作品で私たちを驚かせてくれるのだろうか。


スティーヴン・スピルバーグ
1947年、アメリカ・オハイオ州生まれ。幼い頃から映画やテレビが大好きで、父が持っていた8ミリカメラを手にしたときが彼の映画作りの始まりだった。21歳のときに監督した短編映画『Amblin』で認められ、テレビ界に進出。この映画のタイトルはその後、彼自身のプロダクション名となる。『シンドラーのリスト』『プライベート・ライアン』で2度のアカデミー賞監督賞を受賞した他、映画史に残る幾多の名作・ヒット作を生み出し、170を超える映画賞に輝く。1994年、ドリームワークスを設立。プロデューサーとしても数々の話題作を世に送り出している、名実共にハリウッドNo.1フィルムメーカー。

『ジュラシック・ワールド』
8月7日(金)より公開中
公式サイト:http://www.jurassicworld.jp
【製作総指揮】スティーヴン・スピルバーグ
【監督】コリン・トレボロウ
【原案】マイケル・クライトン
【出演】クリス・プラット(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』)、ブライス・ダラス・ハワード(『ターミネーター4』、『お気に召すまま』)、タイ・シンプキンズ、ニック・ロビンソン
(2015/アメリカ/スコープサイズ/カラー/125分)

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© UNIVERSAL STUDIOS & AMBLIN ENTERTAINMENT, INC.

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