6月1日(土)公開の映画『誰もがそれを知っている』より、アスガー・ファルハディ監督が本作について語るインタビューが解禁となった。
2010年代で2度のアカデミー賞に輝く名匠アスガー・ファルハディ監督。15年前のスペイン旅行で目にした行方不明の子供の張り紙に着想を得て以来、構想を練り上げてきたという最新作は、国際的スター俳優夫婦であるペネロペ・クルスとハビエル・バルデムとの念願のタッグが実現!緊迫感溢れる語り口で人間社会の裏に潜むテーマを鋭く描き出し、すでに揺るぎない評価を確立している名匠が、それに甘んじることなく初めてのオール・スペインロケに挑み、新境地を切り開いた会心の一作。既に試写会で作品を鑑賞した観客からは、「家族間に流れる不穏感を描かせたら超一流の、アスガー・ファルハディ監督の手腕を今回も堪能。」「ファルハディ監督の真骨頂たるサスペンスだがドラマチックなストーリー展開が心地よい」「ファルハディ監督の映画は初見だが、こんなに本格的ミステリーだったとは!ミステリー好きにはたまらない」と名匠のワザに圧巻の声が続出中だ。
『別離』『セールスマン』ではイランの首都テヘラン、『ある過去の行方』ではパリと都会を舞台にした作風から一転、本作ではスペインの村を舞台にしたことについて、ファルハディ監督は「この物語の舞台は村でなくてはいけなかった。彼らの人間関係は、都市で暮らす人たちとは違う。僕は長いこと小さい村で、自然の真ん中で、都会やその喧噪から離れた場所を舞台にした物語を描きたいと思っていたんだ。本作の映画のキャラクターたちは、複雑な状況に置かれるが、彼らは皆純粋だ。村を舞台にすることで、この純粋さが強調されている。」と語る。
役者への演出については「まずはハビエルとペネロペとのリハーサルから始め、他の役者たちは後から加わった。キャラクターたちの歩き方、話し方、手を使った表現の仕方や彼らの見た目など話し合うことがたくさんあった。彼らに村人としての説得力を持たせることが狙いだった。彼らが本当の家族であるかのような家族関係を作ることを心がけた。」と、徹底したリアリティの追求ぶりを覗かせる。
そして「僕は最初に主要なキャラクターを作るのではなく、個々のキャラクターに影響を与える物語の構成要素に重きを置くようにしている。人間は多面的な面があるからこそ、誰が善人であり、悪人であるかといった、一面的な描き方をすることはしないんだ。僕は観客たちにキャラクターの人間性を感じ取って欲しいんだ。」と真実味のあるキャラクターと物語を生み出す上で重視している点を語った。
最後にファルハディ監督が、自身の映画で伝えたいことについて「僕の中で一番大事にしていることは共感だ。いつも意図的にそのメッセージを映画の中で伝えているわけではない。国や文化や言語が異なる人たち、様々な背景を持つ人たちが僕の映画のキャラクターたちに共感し、自分も物語の中にいるかのように感じられたなら、僕の目的は達成したことになる。僕はどの映画でもこのことを強調する。自分にとっても、今日の世界にとっても必要なのは、国や文化を超えて映画の中の誰かに共感できることなんだ。」と最後に締めくくる。
すでにSNSなどで「胃がキリキリするような心理描写を観せながら、切ない気持ちや色々な感情が込み上げてくる」「スペインだけなく、どこの国でも起こる話」と本作で描かれている“村社会”を舞台にした普遍的な人間関係のドラマに数々の共感の声があがっている。自然に囲まれた村を舞台にしたことで、村社会の閉鎖的な人間関係の模様が際立ち、よりキャラクターの内面の部分にフォーカスされ、極限まで追い詰められたキャストたちの感情をリアルに描いている本作に期待が高まる。
映画『誰もがそれを知っている』は6月1日(土)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
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