【訃報】『エルム街の悪夢』ウェス・クレイヴン監督が死去 “ホラー・マエストロ”と称された

『エルム街の悪夢』や『スクリーム』など数々のホラー映画を生み出し、“ホラー・マエストロ”と称えられた巨匠ウェス・クレイヴン監督が、現地時間2015年8月30日、脳腫瘍のためロサンゼルスの自宅で亡くなった。76歳だった。

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クレイヴン監督は近年、脳腫瘍で闘病生活を送っていたが、8月30日の午後1時に永眠したことを遺族が発表した。

1939年、米クリーブランド生まれで、心理学の教師だったクレイヴンは、知人の紹介で映画界へ入ると、1972年に『鮮血の美学』で監督デビュー。イングマール・ベルイマンの『処女の泉』(1960)をベースとした『鮮血の美学』は、現在でも「レイプ・リベンジ・ムービー」というジャンルの古典として知られる。

最初に世界中のホラー・ファンの間で名を轟かせる契機となった作品が、『エルム街の悪夢』(1984)。夢の中に現れて人々を襲う殺人鬼フレディ・クルーガーを生み出した本作は、シリーズ化され(番外編を含め)7作目まで作られ、2010年にはリメイクもされた。ほか『サランドラ』『デッドリー・フレンド』『ショッカー』などを監督し、ジョージ・A・ロメロ(『ゾンビ』)やジョン・カーペンター(『ハロウィン』)、トビー・フーパー(『悪魔のいけにえ』)らとともに1980年代のアメリカのホラー映画全盛期を牽引した。

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さらに、1990年代半ばには、スプラッター映画のお約束を逆手に取ったケヴィン・ウィリアムソンのユニークな脚本を映画化した『スクリーム』(1996)が世界中で大ヒット。興行的に低迷する時期が続いていた自身のキャリアの復活となっただけでなく、当時、衰退していたホラー映画というジャンル全体を再び活気づかせた。シリーズ全4作でメガホンをとり、70歳で監督した最終章『スクリーム4:ネクスト・ジェネレーション』(2011年)が遺作となった。

脚本家、プロデューサーとしても活動したほか、『ミュージック・オブ・ハート』や『パニック・フライト』、そしてアンソロジー映画『パリ、ジュテーム』の一編を監督するなど、ホラー映画だけに留まらず意欲的に創作活動に取り組んだ。

同時期から活躍したジョン・カーペンター(67歳)監督は、自身のSNSで「親愛なる友人ウェスが、あまりにも早く私たちの元から去って行ってしまった。彼は、真にオールド・スクールな監督だった。私は彼と素晴らしい時間を過ごした。彼がいなくなって本当に寂しい」「訃報を聞いてただただ途方に暮れた。ウェスは素晴らしい友人で、優れた監督で、よい人だった。あまりにも早すぎる、大きな喪失だ」と吐露し、盟友の死を悼んだ。

代表作『スクリーム』を現代を舞台に新たにリメイクし、製作総指揮として名を連ねているTVシリーズは、米MTVで6月にスタートしシーズン2の製作も決定。“ホラー・マエストロ”の影響力は現在でも衰えることなく、脳裏にこべりつく恐怖とその革新性で数多くのホラー・ファンに敬愛された。

via:http://deadline.com/2015/08/wes-craven-dies-director-of-scream-nightmare-on-elm-street-was-76-1201510529/

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