『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』
千葉雄大×成田凌インタビュー
2018年に公開され大きな話題となった『スマホを落としただけなのに』の続編が2月21日(金)より公開。主演を務めるのは、前作で連続殺人事件を解決に導いた刑事・加賀谷を演じた千葉雄大。加賀谷が逮捕した獄中の殺人鬼・浦野を成田凌が続投する。千葉雄大×成田凌の2人に、今作の撮影秘話やお互いの印象について、さらにプライベートで一緒に行きたい場所などを聞いた(取材・文:奥村百恵/撮影:山越めぐみ)。
──前作や今作の役作りで参考にした映画やドラマはありますか?
千葉:中田秀夫監督が“こういう雰囲気で”と参考文献のようなものを提示してくださったので、イメージの共有はできていたように思います。ただ、それを読み漁ったり研究したりというよりは、加賀谷という役をしっかりと自分の中で掘り下げることを大事にしながら演じるようにしていました。
成田:僕は前作の時に参考資料としてアルフレッド・ヒッチコック監督の『サイコ』のDVDを監督からいただいたんです。それで今回は『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクター博士をイメージして欲しいと監督がおっしゃって、『羊たちの沈黙』も以前観たことがあったので、クランクイン前から監督としっかりとイメージの共有ができていました。ただ、レクターと浦野はテンションが全く違うので、僕も千葉くんと同じで浦野という役を突き詰めて考えながら演じるようにしていました。
──前作と同じ役を演じるにあたり、少し変化をつけるなど意識したことがあれば教えていただけますか。
千葉:前作の加賀谷は割と含みを持たせたキャラクターだったので、“途中まで加賀谷が犯人だと思っていた”という感想も結構いただいたんです。でも今回は加賀谷の家族や恋人との関係性が描かれているので、彼のパーソナルな部分を意識するようにしました。あと、浦野との対峙シーンが多かったんですけど、そこに関してはまとめて撮っていたんですね。加賀谷は浦野との面会でヒントを得て色んな場所へ行って捜査をしては浦野の元に戻ってくる。それを何度も繰り返すので、彼の顔を見てイラッとすることもあれば、ちょっとホッとするみたいな感覚も加賀谷にはあったんじゃないかと。浦野と会っている時は加賀谷が色んな顔を見せるので、そのさじ加減やバランスをシーンごとに忘れないように気をつけながら演じていました。
成田:浦野はずっと特別留置所にいるので、なるべく単調な動きにならないように監督と相談しながら演じていました。キャラクターがブレないように気をつけながらも、前作とは違う浦野を表現するためにできることはたくさんあったので、細かく色んな部分で変化した浦野を楽しんでいただけるのではないかなと思います。
──特別留置所のシーンはとても緊張感がありましたが、休憩時間や待ち時間はお互いに距離を置くなどあまり話さないようにしていたのでしょうか?
成田:千葉くんは距離を置こうとしていました。例えば、椅子が横並びに二つ置かれていても、L字の形になるようにひとつの椅子を動かしてから座ったり(笑)。あと、スマホのアプリでコッソリ彼を撮って変な顔にして遊んでいたんですけど、途中でバレるっていう(笑)。そのあと結局一緒になって遊んでくれるんですよ。緊張感のあるシーンしかないのに優しいですよね。
千葉:いやいや、でも逆にありがたかったです。緊張感のあるシーンだと集中し過ぎて狭い視野でしか物事を見れなくなってしまうので、それは悪い癖だから直したいと思っていたんです。そんな中で成田くんが雑念…というか(笑)。
成田:雑念って(笑)。
千葉:狭まった視野をバッとこじ開けてくれたおかげで“もういいや!”と解放されて。その時にすごく楽になれたと感じたので、彼には本当に助けられました。
──お2人は前作が初共演でしたよね?
千葉:そうですね。ただ、前作の時は一緒のシーンがほとんどなくて、軽く雑談をすることはあってもお芝居の話まではできなかったんです。そのあと『人間失格 太宰治と3人の女たち』でご一緒して、次が今作の撮影だったので、クランクイン前に2人で一度お話しましょうという話になって。
──どんなことをお話されたんですか?
千葉:“この作品はこう演じないと多分ブレるよね”という考えがお互いに似ていたので、そういった共通認識となるような話を主にしていました。と言っても真面目な話をしたのは最初の30分ぐらいで、あとは普通に飲んじゃったよね(笑)。
成田:飲んじゃったね(笑)。小さめの樽に入った焼酎を注文したんですけど、すっごく美味しかったので2人で全部飲み干しました。途中から「テラスハウス」の話で盛り上がったね(笑)。
千葉:「テラスハウス」の話したね〜(笑)。
成田:酔う前に大事な話をしたほうがいいじゃないですか。だから最初にお芝居の話をして、あとはひたすら飲んでました(笑)。
──(笑)。作品に対する共通認識を持てたことで、お芝居にどのような影響がありましたか?
成田:ちょっとしたことがひっかかって、自分の中で“なんかムカついてきた〜!”みたいな気持ちになるんです。浦野は自らふっかけておきながら、加賀谷と対峙することで最終的に自分がダメージをくらってしまう場面が結構あって。きっとそれはお互いに共通認識を持ってやったからこそ生まれたものではないかなと思います。ただ、実際に演じてみないとわからないもんだなぁと感じることも多かったです。
千葉:台本を読んだ時はひっかからなかったことが、いざ2人でお芝居してみて“ん?ここひっかかるな”と感じることも結構ありました。共通認識はお互いにあるけれど、2人の対峙シーンは現場で生まれたものも多かったんじゃないかなと思います。
──話は変わりますが、タイトルのスマホにかけまして、空き時間や移動中などスマホでよく見る動画を教えていただけますか。
千葉:今作の撮影期間中は“無”になりたい時間があったので、家に帰ってからNetflixの「リラックマとカオルさん」を観て癒されてました(笑)。ものすごく“無”になれるし、感動したりもするんですよ。
成田:“すごくいいよ”ってオススメしてくれたの覚えてる!撮影期間中に面白いドラマや映画、よく聴く音楽の話をしていたんですけど、その時に突然“僕、最近リラックマを見てて…”と言い出すから“え?”って(笑)。
千葉:一回も見てないでしょ?
成田:見てない(笑)。でも“無”になりたかった気持ちはすごくわかるよ。今作のような作品の撮影期間中は難しい映画よりも癒されるアニメのほうがホッとできるよね。
千葉:でも見てくれないんですよ(苦笑)。
──(笑)。プライベートで一緒に行ってみたい場所はありますか?
成田:箱根とか良さそう。
千葉:なんで?
成田:連れて行きたいところが箱根にあるから。どこかはここでは言えないけど。
千葉:言えないんだ(笑)。僕は台湾に行きたい。行ったことある?
成田:ない。なんで台湾なの?
千葉:去年番組の企画で台湾に行ったんだけど、どの料理もすごく美味しくてめちゃくちゃ良かったからまた行きたいなと思って。
成田:食事が美味しいのはいいよね。
千葉:じゃあ箱根と台湾にいつか行こう!
──最後の質問になりますが、次にお仕事でご一緒するとしたらどういう間柄の役でどういうジャンルの作品を希望されますか?
成田:兄弟役とか面白そう。
千葉:じゃあ僕が弟役かな。
成田:え?なんで?(笑)。千葉くんのほうが年上なのに?でもいいや、僕がお兄ちゃんで(笑)。で、ジャンルとしてはただただ兄弟がダラダラしゃべってるだけのホッコリしたやつがいいかな。時々ちっちゃいことで揉めたりして(笑)。
千葉:「THE3名様」みたいなドラマ?
成田:そうそう(笑)。
千葉:僕は2人で舞台をやってみたい。どうかな?
成田:いいよ!
千葉:言ったからって実現する話ではないけどね(笑)。
成田:僕も“いいよ!”とか言っちゃったけどただの願望だもんね(笑)。
千葉:でも、いつかシェイクスピアの戯曲とか2人で挑戦できたらいいなと思う。企画をお待ちしてますので宜しくお願いします!!
──素敵なお話ありがとうございました!
映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』は2月21日(金)より全国東宝系にて公開
(C)2020映画「スマホを落としただけなのに2」製作委員会