『リチャード・ジュエル』特集|C・イーストウッド監督が描く爆破テロ事件の“真実”、希望を信じて諦めない主人公2人の勇姿を見届けよ

Blu-ray&DVDリリース記念
映画『リチャード・ジュエル』特集

リチャード・ジュエル
『リチャード・ジュエル』Blu-ray&DVDジャケット写真

近年は『アメリカン・スナイパー』や『運び屋』など実話に基づいた作品を世に送り出しているクリント・イーストウッド監督。40作目となる『リチャード・ジュエル』は、1996年に実際に起きたアトランタ爆破テロ事件を映画化したもの。衝撃の真実を描いた本作の魅力を紹介する。

◇多くの命を救った“ヒーロー”が一転して爆破テロ事件の“容疑者”に

リチャード・ジュエル
『リチャード・ジュエル』 Richard Jewell (C)2019 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

物語は1986年、アトランタの法律事務所で備品係として働いていたリチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)と弁護士のワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)が出会うところから始まる。職場の誰もがリチャードを馬鹿にしていたが、ワトソンだけは彼の仕事ぶりや真面目な人柄を認めていた。その後、リチャードは転職を繰り返し、1996年にはアトランタオリンピック期間中にコンサートが行われる公園の警備員の仕事に就いていた。そんな中、リチャードが警備している公園で爆破テロ事件が発生してしまう。

リチャード・ジュエル
『リチャード・ジュエル』 Richard Jewell (C)2019 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

パイプ爆弾の第一発見者であるリチャードは、多くの命を救ったヒーローとなった。だが、FBI捜査官に疑いの目を向けられていることが地元の新聞で報じられ、一転してテロの容疑者となってしまうのだった。ワトソンは身の潔白を訴えてきたリチャードを信じ、そこから“無実の証明”をかけた2人の戦いが展開されていく。

◇巨匠クリント・イーストウッド監督がテロ事件の恐ろしさや登場人物の心情を描ききる

近年は『アメリカン・スナイパー』(2014)や『ハドソン川の奇跡』(2016)、『15時17分、パリ行き』(2018)、『運び屋』(2018)といった実話を基にした作品を、スリリングで見応えのあるサスペンス映画として世に送り出してきたクリント・イーストウッド監督。本作もまた、汚いやり方でリチャードを追いつめるFBIと、それに対するワトソンとリチャードの攻防戦は観る者をグイグイと引き込んでいく。

リチャード・ジュエル
『リチャード・ジュエル』 Richard Jewell (C)2019 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

リアルにとことんこだわるクリント・イーストウッド監督の現場だけあってカメラスタッフは当時の映像資料を見て忠実に再現し、さらに実際の事件現場となったセンテニアル・オリンピック公園やリチャードが実際に住んでいた家の外観を撮影で使うという徹底ぶり。だからこそ映像に臨場感が生まれ、テロ事件の恐ろしさや辛い状況に追い込まれていくリチャードの心情がより伝わってくるのだ。

◇サム・ロックウェルら実力派キャストが熱演、ポール・ウォルター・ハウザーは“実在した本人そっくり”に

リチャード・ジュエル
『リチャード・ジュエル』 Richard Jewell (C)2019 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

実話を映画化するにはキャスティングが最も重要と言えるが、リチャードを演じたポール・ウォルター・ハウザーは『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017)や『ブラック・クランズマン』(2018)以外で目立った出演作はないものの、本作では“実在した本人そっくり”に扮し、リチャードの正義感の強さや生真面目さ、純粋すぎるが故に追い込まれて不安定になっていく姿などを見事に体現している。

リチャード・ジュエル
『リチャード・ジュエル』 Richard Jewell (C)2019 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

ワトソンを演じたサム・ロックウェルは『スリー・ビルボード』(2017)で第90回アカデミー賞助演男優賞を受賞した実績もあり、本作でも圧倒的な存在感と高い演技力で物語に深みを持たせている。何より冒頭のリチャードとワトソンの交流をポールとサムがしっかりと見せていることで、2人の絆は揺るぎないものだと観客は安心して観ることができるのだ。さらにリチャードの母親を演じるキャシー・ベイツや新聞記者役のオリビア・ワイルドといった実力派キャストが脇を固めているのも本作の魅力と言える。

◇描かれる爆破テロ事件の“真実”、希望を信じて諦めない主人公2人の勇姿を見届けよ

リチャード・ジュエル
『リチャード・ジュエル』 Richard Jewell (C)2019 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

映画の後半ではFBIの尋問にリチャードが毅然と立ち向かい、容疑者として疑われた日から数ヶ月後に捜査の対象から外されるところまでが描かれており、観賞後はリチャードの肩を優しく叩いてあげたくなるような晴れやかな気分も味わえる。

現在、新型コロナウィルス感染症の拡大により世界中で先の見えない苦しみに耐えている人も多いが、希望を信じて諦めなかったリチャードやワトソンの行動は、いまを生きる人々を勇気づけてくれるのではないだろうか。それに加えて周りの人間との絆を大事にする気持ちや正しい行いをすればいつか報われるということも本作から感じ取ることができる。今年90歳を迎えるクリント・イーストウッド監督が“真実を描きたい”という信念を持って完成させた本作を、ぜひ鑑賞していただきたい。(文/奥村百恵)

◇映画『リチャード・ジュエル』映画ランドレビュー紹介


リチャード・ジュエル
『リチャード・ジュエル』 Richard Jewell (C)2019 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

・全てが詰まった無駄が一切ない完璧な映画でした。

・最初に言っておきます。クリント・イーストウッドは神です!90歳にして、これだけの作品を撮るなんて、信じられません!

・実話であるこの映画から学ぶことは多い!内容は有無を言わさぬ面白さ。

・終わった後1番に感じたのは、「この映画は人ごとじゃない」。これからますます進歩していくであろう社会で誰にでも起こりうる超現実的映画。一人でも多くの人に見てほしい。

・20年以上前の事件のお話だけど、今の世の中に響くメッセージのある作品だと思います。

・またしても名匠クリント・イーストウッド監督に心奪われきった。エンドロール後、暫し席立てず。2時間あまりがアッという間!この心震わす映画はぜひ観て欲しい!

・実話としてあったことなんだと思うと、なんともいたたまれなくなる。‪監督がなぜこの作品を作りたいと思ったのか、訴えたい気持ちが強く伝わってきた。

映画『リチャード・ジュエル』公式HP
http://wwws.warnerbros.co.jp/richard-jewelljp/index.html

映画『リチャード・ジュエル』Blu-ray&DVDは5月20日(水)発売・レンタル、デジタルレンタル配信開始/デジタルセル先行配信中

Richard Jewell (C)2019 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

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作品情報

リチャード・ジュエル

リチャード・ジュエル

4.1
2020/1/17(金) 公開
出演
サム・ロックウェル/キャシー・ベイツ/ポール・ウォルター・ハウザー/オリビア・ワイルド/ジョン・ハム ほか
監督
監督:クリント・イーストウッド 原作:マリー・ブレナー