目黒には唯一、半世紀以上愛されつづける映画館「目黒シネマ」がある。1955年から「目黒ライオン座」「目黒金龍座」として看板を掲げる。1975年には老朽化に伴い、現在の「目黒シネマ」にリニューアル、二本立て映画をメインに上映する「名画座」として運営を続ける。
およそ17年前、開館当時の初代支配人が定年退職。その後、映画制作の夢を追いかけながら新宿の劇場でアルバイトをしていた“映画っ子”に、「目黒シネマ」は受け継がれる。90年代から急速に普及したシネコンの到来から現在に至るまで、酸いも甘いも知る“映画っ子” の二代目支配人・宮久保さんにお話を伺った。
第6回 60年間愛され続ける“風変わりな”映画館〈目黒シネマ〉
JR目黒駅西口から徒歩3分。閑静な町並みにひっそりと佇む映画館がここ、目黒シネマ。その日に上映する作品ポスターなどが貼られ、温かなダウンライトで館内へお出迎えする様子は、まるで秘密基地のよう。思わず足を止めてしまう“心くすぐる顔立ち”。
──目黒は、ゆったりと落ち着いた雰囲気が感じられる印象です。観終わったあと、白金までぶらっとお散歩したり、中目黒で美味しいランチに舌鼓みしたり…。あらゆる世代が穏やかに楽しめるエリアで、「映画」という文化を発信している劇場だと思います。
★入り口前に掲げられた「心に残るシネマ名言」
お寺の前に貼ってある「タメになる御言葉」をイメージしているのだそう!
他にはない個性が溢れる、「いつも腹ペコ二本立て」。
平日は中高年やシニアの映画ファンがほとんど、休日には20〜30代の女性や熱い映画ファンが多く訪れる。ほかの名画座とは、一味も二味も違う二本立て上映をモットーに作品を厳選。特に意識しているものは「…おっ!」と、飛び跳ねるような衝撃ある“作品と作品の組み合わせ”。
──私自身の二本立て上映のルーツは、若い頃に友人と観た『ダイ・ハード』と『ビッグ』。アクションに大興奮してからのファンタジーに包まれる…。この大胆な振り幅に、とてつもなく心奪われたのが、きっかけです。今は、昔ながらの二本立てが新しいスタイルで、そのような魅力に引き込まれる若者は増えています。
★取材当日は【覚醒せよ!あるいは(こちらも予期せぬ2本立て)】の二本立て
映画ファンの冥利に尽きる組み合わせ!
お客様の見た目やライフスタイルをチェック、あらゆる映画情報のリサーチ、映画に詳しく目が肥えたお客様からのダメ出しまで…。たくさんのお客様に来てもらえるよう貪欲かつ真摯に取り組む。それこそが、ジャンルやタイプの枠組みに囚われないオリジナリティー豊かな番組作りの秘訣。これからも「どんな作品が来るんだろう?」と、映画ファンを楽しませてくれるに違いない!
★新企画【自作と観る監督チョイス 第一弾 是枝裕和チョイス】10/31(日)〜
是枝監督が『海街diary』と一緒に観てほしい作品を自ら選んじゃう!
世界中の映画ファンを驚かせたい、「こだわり」の空間!
落ち着いたブラウンのシートが全100席並ぶスクリーンが一つ。座席には、カップホルダーや荷物掛けや傘置きもある充実ぶり!スクリーンの入り口には、貸し出し用のブランケットやクッションもご用意。二本立ての長丁場でも快適に鑑賞してもらえる工夫やサービスを展開している。
──唯一無二の映画館を目指すには、具体的に何が必要なのか?…。映画好きのスタッフ同士、映画談義に華を咲かせながらも日々、全力で追求しています!
★映画関連の書籍が豊富に揃うブース
待ち時間にピッタリな演出!(手続きをすれば、貸出しも可)
──「コスプレ」を本格的に始めたのは、東日本大震災直後にあった『キック・アス』のとき。世間が騒ぐことに自粛ムードを漂わす中、「映画を見に来る人は映画を楽しみに来るんですよ!」のスタッフの言葉を受け、“本気”でコスプレを行い、予想外の大きな反響を頂けました。
★こちらが当時の『キック・アス』コスプレ!──おかげさまで今年、創業60周年を迎えることができました。今回の『マッドマックス』は、お客様への感謝を込めた “超本気”のコスプレなんです!(笑)
★次は、どんな「コスプレ」をするのか、見逃せない!今だからこそ感じる「フィルム」上映の追い風。
──デジタル上映に未だなっていない素晴らしいフィルムの作品が、数多く存在しています。それらを上映できないのは、とても勿体無いこと。さらに、今ではデジタルにはないフィルムの質感や色味を楽しんでいるお客様が増えています。特に若者は、デジタルの時代に生まれ育ってきたからこそ、フィルムの魅力にハマる方が多いのかなと肌で感じています。
★こちらが、目黒シネマの35mm映写機。(今回、特別に撮影許可を頂きました)
これまでゲストで登壇された監督や俳優のサインが!
「普通」が大っ嫌いな映画館でいたい。
──これからも“風変わりな映画館”でありたいですね。今を大切に、お客様に楽しんでもらえることを全力でやろう!と思います。未熟者ばかりなので、多くの失敗はあるけど、それ以上に「普通」や「平凡」と言われるのが、一番ショック(笑)。“お客様から育まれている”から「目黒シネマ」がある。そのことを忘れずに、これからも取り組んでいきます。
映画を作るときは、「スクリーン」で映すことを考える。
──映画館で観る良さは、どんな監督であれ、(作品を)テレビやスマホで見てほしいなんて思わないですよね。きっと、スクリーンに映ることを考えて一生懸命、映画を作っていますから。それと、やっぱり映画館で観た作品はずっと覚えているし、心に残るんです。たとえ忘れてしまっても、また何かの拍子で思い出しますからね。
目黒シネマのおすすめ番組
■【花のお江戸を駆巡る!人情2本立て】
<10月24日(土)~10月30日(金)まで>
■【自作と観る監督チョイス 第一弾 是枝裕和チョイス】
<10月31日(土)~11月13日(金)まで>
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