<こだわりのミニシアター特集10>キネマ旬報シアター

日本最古の映画雑誌“キネマ旬報社”が運営する映画館「キネマ旬報シアター」。公開されたばかりの新作映画から、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『マイ・フェア・レディ』といった懐かしい名作映画まで、新作・旧作のどちらも堪能できる贅沢なミニシアターだ。

第10回 日常的に立ち寄れる 新・旧様々な作品が堪能できる<キネマ旬報シアター>

キネマ旬報シアター

都心から30分ほどのJR常磐線/東武野田線柏駅西口より徒歩1分。映画のポスターがズラリと並んだ階段を降りると、ガラス張りの映画館がみえてくる。開放的な館内には、3つのスクリーンのほか、カフェやたくさんの書籍が充実しており、映画を観ない人でも自由に利用できる。

ミニシアターが次々と姿を消していくなか、2013年に敢えて「キネマ旬報シアター」をはじめた理由とは。映画館に毎日立ち寄れるように東京都港区から千葉県柏まで引っ越した(!)という、キネマ旬報社の社長で、「キネマ旬報シアター」支配人でもある清水勝之さんにお話を伺った。


 

「日常的に映画を楽しめる空間が提供できたらと思って引き受けることにしました。」

キネマ旬報シアター
劇場支配人の清水勝之さん

──開館して4年目になりますが、元々パートナーだった会社から、ここの場所の有効活用というお話をいただいて、最初は番組編成のサポートや運営の受託をやっていました。しかし近隣に大きなシネコンができてしまって、当時のパートナー企業が事業の撤退を決定し、我々が事業を引き継ぐことになりました。 映画館をやるにあたって、シネコンとは違う空間を作りたいと思いました。シネコンってどうしても”非日常”の映画館という感覚があって、この場所は駅からも近いので”日常的”に映画を楽しめる空間が提供できたらと思って引き受けることにしました。

新作だけではなく、旧作も味わえる映画館

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キネマ旬報シアター

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キネマ旬報シアター

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「キネマ旬報シアター」では、新作だけではなく、準新作や懐かしい名作まで多様な映画を楽しむことができる。スクリーン1では、話題の新作や準新作。スクリーン2では、見逃してしまった旧作。そしてスクリーン3では、色褪せることのない名作と多種多様なラインアップを展開している。

◼︎なぜ新作だけではなく旧作も上映するようにしたのでしょうか?

──僕自身が業界の人間ではなかったので、なぜ新作と旧作を同時に上映しないのか?と不思議でたまりませんでした。それは配給者側の論理であって、お客さんには関係ないし、知り得ないですよね。だから、徹底的にお客さん目線で考えたら何が起こるかを考え、観たいものをそのタイミングで関係なく観せられるのが良いのではないかと思ったんです。


70年代映画特集など個性的な特集が盛りだくさん

◼︎上映作品を選定する時のこだわりやポイントはありますか?

──選定のポイントの1つは近隣の劇場で提供しているかどうかは、気にします。あとはお客さんが何を望んでいるかを重視しています。オープン当初は名作と呼ばれる“良い映画”をかけていました。でも、いい映画かどうかは観る人によって違うものだからあまり重要ではなくて、来てくれているお客さんの大部分が観たいと思うかどうかを考えています。また、アンケートを常設したり、常連さんに直接聞いたりもしています。あとは1本観たらもう1本観たくなるような関連付け、監督特集などをやっています。ロードショー館ではできないようなことをやっています。

キネマ旬報シアター
館内には、お客さんからからのアンケートが掲示されている

◼︎他の映画館と違い、ずいぶん先(11月初旬の時点で、来年2017年4月までのスケジュールが開示)のスケジュールが出ていますが、どんな狙いがあるのでしょうか?

──基本的に13~14週先のものまで貼り出せるようにしてあります。理由の1つはパスを売っているので、お客さんが先々までスケジュールを知りたがっているからです。パスも安価ではないので、お客さんが先々のスケジュールを見て、観たい作品が10本くらいあったらパスを買ったほうがお得だな!という風に参考にしてもらっています。作品を差し替えたいなと思うこともありますが(笑)作品の差し替えはほとんどありません。もう1つの理由はお客様にリーフレットを提供しているからです。毎月リーフレットの後ろのほうに4週間分の上映時間を出しているんです。前月の15日には翌月の分のスケジュールを出します。お客様に前々から情報を出すと、SNSで拡散してもらえるからというのも理由の1つですね。早めに決めて早めに出すことを心がけています。


 

「“日常的“に利用してもらいたい。1日楽しめる映画館を目指して」

また、館内にはキネマ旬報の1940年代からの「キネマ旬報」バックナンバーの閲覧ができる書籍スペース”KINEJUN 図書館”や、世界のビールなどを楽しめる”KINE Cafe”が常設している。KINEJUN図書館の本は、キネマ旬報社のものや、常連さんから寄付されたケースも珍しくないという。基本は館内で読めるものだが、会員になれば本の貸し出しも可能。映画を観る前や後はもちろん、映画を観なくても気軽に立ち寄れ、1日中映画の世界に浸ることができる憩いの場だ。

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キネマ旬報シアター
映画に関する書籍や、キネマ旬報のバックナンバーがビッシリ

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キネマ旬報シアター
キネマ旬報シアターの会員になると、貸出もできる

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キネマ旬報シアター
館内にはドリンクバーも!

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キネマ旬報シアター
「駄菓子屋さん」コーナーも揃っている

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◼︎
“KINE cafe”や”KINEJUN 図書館”をつくった理由を教えてください。

──パスと友の会という会員制度があるので、複数本観る方に映画と映画の間に時間をつぶしてもらう場所を作りたかったというのが理由です。出版社で本があるので本を置いています。加えて、うちにいらっしゃるお客様は3本くらい観る方が多いので、途中でお腹も空くだろうということで食べ物も置いています。現状は朝来て、映画3本分発券して、ご飯食べて時間になったらまた戻ってきてもらってというような街の回流になっています。うちで映画を消費してもらって、近隣のお店でご飯を食べてもらってというところでコミュニティとして貢献できるのではと思います。

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キネマ旬報シアター
お客さん達から寄付されたという映画パンフレットは、誰でも閲覧することができる

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キネマ旬報シアター
世界のビールが揃っているため、贅沢に映画を楽しめる

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◼︎キネマ旬報シアターのSNSが、とてもユニークで活発な印象があります。SNSに力を入れている理由はなんでしょうか?

──これは強みでもあり弱みでもありますが…。どこの映画館も人件費を減らして効率を上げようとしていると思うんですが、売上に対する人件費率はシネコンに比べて圧倒的に高く効率が悪いんです。それを逆手に取る方法はないかと考えて、接客に力を入れるようにしました。もちろん強制はしないですが、アルバイトの方でもSNSで投稿してもらってます。彼らもリツートされると楽しくなってくるみたいです(笑)

実は今度、男性アルバイトスタッフの“でま子”(スタッフ同士があだ名をつけあうそうで、出町さんの“でま子“だそう)が12月からトレーラーを流して翌月のおすすめ作品を紹介する”レコメンドショー”をやってみようと思うんです。何を観ていいかわからない人にこういうのがいいよ!とおすすめできたら面白いなと思って。世の中全体がデジタル化されて、昔の映画も観れる環境が整ったら何を観ていいか、何を買っていいかわからなくなりますよね?そういう時のためのメディアやお店の役割である”これいいですよ!“という映画館をやりたいなと思います。

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キネマ旬報シアター
キネマ旬報シアターで配布している上映スケジュールの冊子の裏に「でま子」さんのコラムが掲載されている

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キネマ旬報シアター

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キネマ旬報シアターの面白ツイートをご紹介


 

"キネマ旬報シアター"とはどんな映画館でしょうか?

──日常的な映画館です。“ケ(褻)の日”の映画館。今のシネコンは“ハレ(晴れ)の日”、特別な日の映画館であるし、作品を能動的に選ぶところだと思うんです。でもうちはぶらっと寄って、暇だしパスだからなんだかよくわからない映画を観てみようかなということができる映画館。作品との出会いを提供する場だと思います。

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◼︎最後に「映画館で観る映画の良さ」とは何でしょうか?

──1番は感動の共有だと思います。元々は空いてるほうが好きだったんですが、最近はたくさんの人がいる映画館で観ると楽しいなと、感情がどんどん増幅されますね。それが最大の喜びなんじゃないかと思います。そのためにはやはりいつも映画館をいっぱいにしておかなければならないですね。だからパスをやっているんですけどね。映画館で観てほしいけど、観るべきだとは思っていなくて、レンタルやVODに負けないようになるべく多く座席の稼働率を上げていくのは僕らの使命であると思います。もちろんイベントやトークショーをやったりするようにはしてますが、一番の喜びはなるべく多くの人と喜びを共有できる環境を作るのが、“混んだ映画館”を作るのがベストだと思っています。

 


キネマ旬報シアターからのおすすめラインアップ!

—憧れのブランド“ティファニー”と永遠の憧れ“オードリー・ヘップバーン”の魅力を堪能しよう—

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ティファニーニューヨーク五番街の秘密

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ティファニーで朝食を[/wc_column][wc_column size="one-third" position="last"]

マイ・フェア・レディ

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ティファニー ニューヨーク五番街の秘密
12月24日(土)〜1月20日(金)

ティファニーで朝食を
12月31日(土)~1月13日(金)

マイ・フェア・レディ
1月7日(土)~1月20日(金)


 

キネマ旬報シアターからクリスマスプレゼント!

2017年1月1日~31日までの1か月間、スクリーン2・3見放題の「キネマ旬報シアター1ヵ月パス」を20名様にプレゼント!

応募期間:12月12日(月)00:00〜12月19日(月)23:59
当選者数:20名様

応募はこちらから▼
試写応募


キネマ旬報シアター公式サイト / 公式Twitter / 公式Facebook

キネマ旬報シアター
千葉県柏市末広町1-1 柏高島屋ステーションモール S館隣り
TEL:04-7141-7238


 

おまけ

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キネマ旬報シアター

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キネマ旬報シアター

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映画の感想をポストイットに書いて貼っていくボートが館内に設置されています。 中には、お客さんと支配人との距離の近さが垣間見れるコメントも…(笑) ※写真右の青いポストイットに注目

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キネマ旬報シアター

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キネマ旬報シアター

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館内にはたくさんのポスターやフライヤーが置いてありますが、 よくみると一部に星のシールが貼ってあります。一体なんの印でしょうか…? これは、キネマ旬報シアターで上映したことある作品には星のシールを貼っているのだそうです。

 

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