『いのちの停車場』
松坂桃李×広瀬すずインタビュー
現役医師でありながら、「サイレント・プレス」「ディア・ペイシェント」といった作品の執筆も行う作家・南杏子の小説「いのちの停車場」が、主演に吉永小百合を迎え映画化された。在宅医療を描いた本作で、元大学病院事務員で医大卒業生の野呂聖二を演じた松坂桃李と、訪問看護師の星野麻世を演じた広瀬すずに撮影でのエピソードや役作りについて、さらに「観ると心が癒される映画」などを聞いた(取材・文:奥村百恵/撮影:金山寛毅)。
──お2人は、今回の役作りをする上でどのような準備をされたのでしょうか。
松坂:医療研修のようなものを受けさせて頂いたのと、クランクイン前に何度かリハーサルをやらせて頂きました。リハーサルでは子役の子達との関係性作りや空気作りができて凄く楽しかったですし、野呂を演じる上でとても良い影響を与えてくれたように思います。
広瀬:私は訪問看護師の役なので、在宅医療の講習のようなものを受けさせて頂きました。大人の患者さんと子供の患者さんとの接し方の違いなどを教えて頂いたのですが、小さいお子さんの血圧を測るときの声の掛け方が大人に対するやり方と全く違ったので凄く勉強になりました。講習で教えて頂いたことを若林萌ちゃん役の佐々木みゆちゃんとのリハーサルで実践できたので、事前に学べて良かったなと思いました。
──お2人は今回初共演となりますが、共演前はお互いにどのような印象をお持ちでしたか?
松坂:様々なドラマや映画ですずちゃんのお芝居を拝見していたので、色んな顔を持っている方だなという印象を思っていました。あと、直接ではないんですけど、岡田将生経由でポケモンカードを頂いたことがあったので、優しくて素敵な方だなとずっと思っていましたね。
──松坂さんはポケモンカードを集めてらっしゃったんですか?
松坂:いえいえ、僕の甥っ子が集めていて(笑)。すずちゃんが朝ドラの『なつぞら』に出演している時に、現場で岡田(将生)くんが僕の甥っ子がポケモンカードを集めているとすずちゃんに話してくれたみたいで、岡田くん経由ですずちゃんがポケモンカードをくれたんです。
広瀬:とある事情でたくさん持っておりまして(笑)。そしたらある日、岡田さんから“松坂桃李がポケモンカードを欲しがってるらしい”と聞いたので、翌日岡田さんにコレクションの中からお渡ししました(笑)。
松坂:当時はまだ本作で共演することも決まってなかったので、なんて優しい方なんだと感動したんです。しばらくしてたまたまNHKですずちゃんにお会いした時に、「あのときはポケモンカードありがとうございました!」と声をかけて(笑)。
広瀬:松坂さんのお顔を見た瞬間に“あ!ポケモンカードの人だ!”と思いました(笑)。
松坂:(笑)。そんな感じですずちゃんとは出会っていたので、本作の現場では自然と関係性を作れて良かったなと思いました。
──撮影で印象に残ったことを教えて頂けますか。
松坂:ゲームセンターでの撮影の時に、すずちゃん演じる麻世の亡くなったお姉さんの子供である翼役の男の子に対して、監督から「こういうルートで走ってね」と説明があったのですが、そのルートとは全く違うルートで何度も走っていたので“子供って自由だな”と思ったのを覚えています(笑)。監督は頭を抱えてましたけど(笑)。ゲームセンターなので色んなゲーム機に興味を持ってしまうのは仕方ないのかなと思ったりして。
広瀬:私には撮影中に「まだ終わんないの?」と聞いてきて(笑)。たぶん空き時間に沢山遊んで仲良くなったからだと思うんですけど、「いま頑張ればすぐ終わるよ」と言ってお芝居を続けてもらいました(笑)。
松坂:BAR STATIONのシーンでも「あと何回やるの?」って西田敏行さんや吉永小百合さんもいる中で普通に聞いてたからね(笑)。
広瀬:子供だから思ったことをすぐ口に出してしまうんですよね(笑)。でもそこがまた無邪気で可愛いくて、みんなに愛されてました。
──BAR STATIONと言えば、野呂さんと麻世ちゃんがモノマネをするシーンがあって、「まほろば診療所」の皆さんの仲の良さにホッコリしました。
松坂:そうおっしゃって頂けて良かったです。あのシーンは何テイクか撮ったのですが、モノマネって何回もやるとだんだん辛くなってくるんです(笑)。
広瀬:わかります!
松坂:1回目は新鮮さがあるのでいいのですが、2回、3回とやっていくうちに“あ〜ヤバいどうしよう!”と勝手にプレッシャーを感じ始めるんです。しかも毎回台詞で西田さん演じる院長先生に「はい、全然似てない」と言われるので本気でちょっと凹んだりして(笑)。もちろんその一言があるから場が和むのですが、テイクを重ねるたびに同じ人のモノマネをするのが辛くなっていきました(笑)。
──モノマネをする人物は変えてはダメだったんですか?
松坂:変えるのはNGでしたね。
広瀬:野呂さんがモノマネのトップバッターだったので、麻世としては“野呂さんがやり始めたから私もやりますけど?”みたいなテンションでできたので、そこは本当に助かりました(笑)。
──回を重ねるごとにだんだんモノマネが上手くなったりしませんでしたか?
広瀬:下手に似てしまうのが一番面白くないので、それだけは避けようと思いながらやっていました(笑)。
松坂:確かに!“だんだんモノマネに慣れてきてるな”とみんなから思われるのも恥ずかしいし、戸惑いながらやってましたね。そこも是非注目してご覧頂けたら嬉しいです。
──成島出監督の現場はいかがでしたか?
松坂:最初に監督にお会いした時に「野呂と麻世は“太陽のような存在”という意識で演じて欲しい」と監督がおっしゃったので、そこから既に演出が始まっていたように思います。そのあともリハーサルや本読み、現場で何度もその言葉をおっしゃっていたのが印象的でした。
広瀬:演出をして頂く中で、“監督には明確に見えているものがある”と感じることが何度もありました。リハーサルの段階から指示が明確で、時間をかけて細かく説明してくださるので安心してお芝居ができるんです。例えば、カットと言ったあとに、監督が違うと思った時は「いまの違うね」とハッキリおっしゃいますし、良かった時は「いまの良かったよ」と伝えにきてくださったので、安心感を感じながら最後まで麻世ちゃんを演じきれたというか、凄く良い現場だなと思いました。
──本作を拝見して、今後の人生や“生と死”について改めて考えさせられました。お2人は本作を通してどんなことを感じましたか?
松坂:吉永さん演じる咲和子先生と同じ状況になってしまったら、自分はどうするのかということを凄く考えました。特に映画の後半、咲和子先生は辛い選択を迫られるのですが、答えは誰にもわからないんですよね。ただ、自分が患者側だったら家族に対してどういう態度をとるのか、どんな言葉を放ってしまうのかを想像しましたし、ご覧になった方がどんなことを感じるのかを知りたいと思いました。
広瀬:麻世を演じている時は抱えているものが大きくて苦しくて、撮影が終わってもしばらくその状況が続きました。それから、実際に訪問看護師含めて医療関係のお仕事をされている方々は、日々命と向き合っているんだなと改めてその大変さを考えさせられました。完成した映画を拝見して印象に残ったのは、最後の咲和子先生のお顔が心に焼き付いてしばらく忘れられなかったです。でも、辛いシーンばかりではなく、まほろば診療所のみんなが集まるシーンなどはホッコリするので、沢山の方に本作を楽しんで頂けたらいいなと思います。
──本作を観終わって心がとても温かくなったのですが、お2人にとっての心が温かくなる映画、癒される映画を教えて頂けますか。
広瀬:最近、自分が出演した映画をよく見返すのですが、『ラストレター』の森七菜さんがたまらなく可愛くて癒されました。お肌がツルツルで見ているだけで自分の肌まで綺麗になりそうだなと思って(笑)。
松坂:マイナスイオン的な?
広瀬:そうですね(笑)。森さんの初々しい感じや存在感が素敵で、観ているだけで元気になれるので『ラストレター』はオススメです!
松坂:僕は『おおかみこどもの雨と雪』を観ると心がほっこりします。この作品もおおかみとして生きていくか、人間として生きていくのかという選択を迫られるような描写がありますが、観終わったあとのなんとも言えない風の吹き抜け感みたいなのがいいなと思って、凄く好きな作品です。
──素敵なお話をありがとうございました!
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映画『いのちの停車場』は5月21日(金)より全国ロードショー
(C)2021「いのちの停車場」製作委員会