日本最大級の映画祭・東京国際映画祭は31日に閉幕を迎え、TOHO シネマズ六本木ヒルズでクロージングセレモニーを行った。セレモニーは、“ARIGATO(ありがとう)賞授賞式”、各賞の発表・表彰式、またクロージング作品『起終点駅 ターミナル』の舞台挨拶と続いた。
まず、ARIGATO(ありがとう)賞の授与式が行われ、樹木希林、日野晃博、広瀬すず、細田守、リリー・フランキーら受賞者が舞台に上って挨拶をした。
そして各賞の発表が行われ、コンペティション部門で東京グランプリに輝いたのは、実在の女性精神科医の挑戦を描いた『ニーゼ』だった。
ブライアン・シンガー審査委員長からは「映画はファンタジーであろうと、実話に基づいたものであろうと、観た観客が本当だと思うことが大事だが、この作品は、寂しさもあり、ユーモアもあり、そして最終的には勝負もあり、本当だと思う要素が全部含まれていたので、この作品に決めました。」とのコメントがあった。
そして審査委員長からは審査に当たっての苦労と喜びも語られ、「グランプリ作品の審議には長い時間がかかりました。素晴らしいフィルムメーカーの皆さん、素晴らしい演技者がいる中で、たったの6賞しかないことが残念です。 個人的な友人イーサン・ホークも非常にいい演技をしたと思いますし、『地雷と少年兵』の少年兵たちなど、 皆すごくいい演技をしていました。そして『ニーゼ』に登場する犬の演技も最高でした。動物に演技をさせる難しさが私にはよくわかるので、犬の素晴らしい演技に賞を上げたかったくらいです。映画祭の中で、審査員達と映画を観たりランチをしたり、素晴らしい時間を過ごしたことを皆さんに報告したいと思います。東京の皆さん、日本の皆さん、本当にありがとうございました。」と感謝の言葉で締めくくった。
賞は下記の通り。
各賞受賞作品・受賞者
<コンペティション部門>
東京グランプリ 『ニーゼ』
審査員特別賞 『スリー・オブ・アス』
最優秀監督賞 ムスタファ・カラ監督『カランダールの雪』
最優秀女優賞 グロリア・ピレス『ニーゼ』
最優秀男優賞 ローラン・モラー/ルイス・ホフマン『地雷と少年兵』
最優秀芸術貢献賞『家族の映画』
WOWOW 賞『カランダールの雪』
観客賞 『神様の思し召し』
<アジアの未来部門>
作品賞 『孤島の葬列』
国際交流基金特別賞 デグナー監督『告別』
<日本映画スプラッシュ部門>
作品賞 『ケンとカズ』
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またクロージング作品『起終点駅 ターミナル』でも舞台挨拶が行われ、 佐藤浩市、本田翼、尾野真千子、篠原哲雄監督が登場した。
篠原哲雄監督からは「人が自分の罪を考え、罰を自分に課しながら生きていく男の人生を通して、人はもう一度生きなおすことができることを、この映画の中で描いたつもりです。日本映画というと、最近は仕掛けのあるものが受ける風潮がありますが、我々が作ったのは日本映画の中でも王道で、きめの細かい感情を描きました。人間の深いところをご自身と照らし合わせながら、自分の人生を考えるキッカケとなってもらえれば嬉しいです。」とコメントがあった。
『起終点駅 ターミナル』
11月7日(土)全国ロードショー
配給:東映
(C)2015桜木紫乃・小学館/「起終点駅 ターミナル」製作委員会
■公開表記:11月7日(土)全国ロードショー
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