『二重生活』門脇麦×辛酸なめ子が早大生と“哲学的尾行”トーク 「完全な“他人事”を外側から見る方が、“自分事”に気づき易い」

映画『二重生活』特別試写会が17日、早稲田大学 戸山キャンパスにて行われ、主演の門脇麦、漫画家/コラムニストの辛酸なめ子が出席した。

直木賞作家・小池真理子の同名小説が原作、映像作家の岸善幸が初めて映画作品のメガホンを取った本作。表参道、渋谷など移りゆく東京の街の風景のなかで、見ず知らずの他人を尾行するという禁断の行為にはまっていく女子大学院生の覗き見生活を描く心理サスペンス。

二重生活

早稲田大学文学学術院文化構想学部の藤本一勇先生が本作の監修を務めた経緯があり、実現した本イベント。鑑賞後の学生たちに向けて、主人公・珠を演じた門脇は「今日は珠と同い年くらいの皆さんに観ていただけて嬉しいです。こ ような機会はなかなかないので、とても楽しみにしていたんです」と笑顔で挨拶。また、尾行癖があると公言し、本作にも絶賛コメントを寄せた漫画家でコラムニストの辛酸なめ子は「門脇さんの眼鏡姿、挙動不審で可愛かったです。地味な服装で周囲に溶け込んで、警戒されにくいからいろんなところについていけるのかな?あの雰囲気を身につけるのに何かしたんですか?」 と興味津々。門脇は「撮影といえど、背徳感でハラハラドキドキしたんですよ!」と尾行する側の心境を語った。

二重生活

また、尾行癖があると公言する辛酸は、電車に乗り、時に高級レストランへも尾けて行く珠を見て「金に糸目をつけずに尾行するっていいですよね。私そこまでできないです」と羨ましい様子でぼやき、会場の笑いを誘った。また、デジタルネイティブ世代の観客を前に「SNSでデジタル的尾行してる人も沢山いますもんね。人の生活を覗き見る感覚はリアルな尾行と一緒なのではないでしょうか」と分析していた。 一方、門脇は「珠は本当の感情にフタをしています。外からの刺激で、例えば映画を観て感動するのは楽だと思うんです。自分の内側にある本当の感情を探ることこそが一番難しい。大人は極力避けようとしますよね。珠のように、完全な“他人事”を外側から見る方が、“自分事”に気づき易いのではないかなと思います」と持論を展開した。

二重生活

イベントでは、哲学的尾行だけでなく、演技論についてなど学生たちからさまざまな質問が飛び交った。中でも門脇が魅せる本作で印象的だった“泣きの演技”について疑問を投げかけられると、「基本的に台本のト書きよりも、その時の自分の感情を大事にするようにしています。『二重生活』は監督もカメラマンもドキュメンタリー出身の人なので、演技というよりも“カメラの前で生活すること”を求められて、“演技でごまかすこと”を許しません。なので、自然に涙が出てきて泣いたんです」と真摯に語った。

映画『二重生活』は6月25日(土)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー

【CREDIT】
原作:小池真理子「二重生活」(KADOKAWA/角川文庫刊)
監督・脚本:岸善幸「ラジオ」「開拓者たち」
出演:門脇麦/長谷川博己/菅田将暉/河井青葉/篠原ゆき子/西田尚美/烏丸せつこ/リリー・フランキー
配給:スターサンズ 公式サイト:http://nijuuseikatsu.jp/

(c)2015「二重生活」フィルムパートナーズ

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で