新宿には、かつてヤクザ映画を多く上映していた映画館・新宿昭和館がありました。 老朽化のため
建物を取り壊し、 2004年にまったく新しい映画館として誕生したのがここ〈K's cinema〉。
第2回は、 K's cinema支配人の酒井正史さんにお話を伺いました。
第2回 出会う喜びを味わう映画館 〈K's cinema〉
K's cinemaは新宿駅東南口から女性の足でも徒歩5分ほどで行ける好立地ですが、外観から伺える
“映画館っぽさ”はやや控えめ。
この場所にミニシアターがあることを知っている人は、なかなかの映画通と言えるかもしれません。
★酒井さんいわく、東南口が開発されてから、街の雰囲気もすっかり明るくなったとのこと。
開放感あふれる空間で映画を楽しむ
採光をたっぷり取り入れた明るいロビーはモダンなテーブルとイスが置かれ、映画の感想をいつまでも語り合いたくなるような落ち着いた空間になっています。イベントの日は、ここで登壇ゲストがくつろいだり、お客さんと直におしゃべりをすることも。
作り手と受け手の距離が近いのも、魅力の一つです。
壁には映画のポスターがずらり。
ちょうどこの日は、アート映画の巨匠ヤン・シュヴァンクマイエルのオリジナルのリトグラフも飾ってありました。
84席・1スクリーンと侮るなかれ。2フロア相当の空間に作られた場内はとにかく天井が高く、
客席はすべての列に段差が設けてあるので、どこに座っても前の人の頭が邪魔になることがありません。もちろん、各座席にはドリンクホルダーも設置されています。
★座席に段差が設けられ、前後のシート間はゆったりしています。
お客さんが劇場の“色”を決める
──上映作品の選定基準はないです。劇場がお客さんを選ぶのではなく、お客さんが劇場に合う色を決めていくものだと思っています。
酒井さんが語る通り、K's cinemaの上映作品は製作国もジャンルも様々。インディペンデントやドキュメンタリーも多く上映されています。あえて決まりを設けないことで、初めてのお客さんにも臆せず足を運んでもらえる、そんな気楽な雰囲気がK's cinemaの大きな魅力。
作品によって客層も異なるため、1つのスクリーンで、朝、昼、夜、何を上映するかのスケジューリングにも気を遣うと言います。自由なようでいて、老若男女あらゆる人が行き交う新宿の“地域性”をしっかりと見極めているようでした。
“守備範囲”の外に、新しい出会いがある
ミニシアターに深く携わる酒井さんの“良い映画”に出会うコツとは、自分の好きな分野を限定せずに
幅広く観てみること。
──好きな分野ばっかりではつまらない。例えば名画座の3本立てを観に行ったら、意外とメインじゃない方の作品が面白かったということが起こり得ると思うんですよ。
新宿は多くの映画館がひしめき合う激戦区ですが、劇場同士で上映作品がかぶることはほとんどありません。
どんな作品でも観られる“映画の楽園”となった新宿で、K's cinemaでしか上映していない作品を求めてお客さんが足を運んでくれること。そしてその作品との出会いを喜んでもらえることが、酒井さんの喜びでもあるようです。
いつものコースを予定変更して、個性豊かな映画との出会いをK's cinemaで探してみてはいかがでしょうか。
K's cinemaの注目のおすすめ作品
『ローリング』『お盆の弟』
■ローリング
上映期間:6/13(土)〜7/17(金)
盗撮で落ちぶれた元教師、女を奪う元教え子。水戸を舞台に、奇妙な騒動が巻き起こる!
『パビリオン山椒魚』『パンドラの匣』などで知られる冨永昌敬監督の完全オリジナル劇映画! 主演は『イニシエーション・ラブ』『進撃の巨人』など最近、活躍が目覚ましい旬の俳優・三浦貴大。
公式サイト:http://rolling-movie.com/
■お盆の弟
上映期間:7/25(土)〜8/21(金)
売れない映画監督タカシ。四十路前の崖っぷち男に、幸せは訪れるのか……?
数々の出演作品で個性を発揮してきた渋川清彦と光石研が兄弟を演じる全編モノクロのヒューマンドラマ。『キャッチボール屋』の大崎章が10年ぶりに監督を務め、脚本家・足立紳(『百円の恋』)と再びタッグを組んだ最新作!
公式サイト:http://obonbrothers.com/
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TEL:(03)3352-2471
K's cinema(ケイズシネマ)
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