映画『沈黙-サイレンス-』記者会見が12日、都内・日本外国特派員協会にて行われ、窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形が出席した。
マーティン・スコセッシが監督を務めた本作は、17世紀江戸初期に、激しいキリシタン弾圧の中で棄教したとされる師の真実を確かめるために日本を訪れた宣教師が、人間にとって本当に大切なものとは何かを模索していく歴史大作。ポルトガル人の若き宣教師ロドリゴを演じる『アメイジング・スパイダーマン』シリーズのアンドリュー・ガーフィールドをはじめ、リーアム・ニーソン、アダム・ドライバー、日本から窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシら実力派俳優陣が共演する。
言葉巧みに宣教師に棄教を迫る通辞(通訳)役の浅野は、開口一番「通訳の役柄ですが、今日は日本語でお願いします」と場内を笑わせ、「スコセッシ監督と出会えて成長できたと実感し、共演した2人と仕事ができて多くのことを学んだ。悪役とは思わず、むしろ共感していた。ロドリゴと井上筑後守との間に挟まれ、漫才のボケとツッコミを例えながら、巧みな突っ込みだと解釈した」とコメント。
日本に潜入するポルトガル人宣教師のガイドとなり、後に裏切るキチジローを演じた窪塚は(劇中、何度も踏み絵を踏む役どころから)「“踏絵マスター”のキチジローです!」と沸かせ、「この映画が持っている力で少しでも良い明日が来ることを心から願い、そう信じています。弱く醜く狡く、そして汚い人間で、強さと弱さが表裏一体の人物。自分との懸け橋は彼のイノセントさだったのでは」とキチジローへのアプローチを説明。小説と映画の違いについて、「一番違うのは最後のロドリゴの場面です。スコセッシ監督が書き加えた原作にはない場面が原作の力を最大限にアピールするラストだと思う」と語った。
実在した長崎奉行・井上筑後守の演技が高く評価され、LA批評家協会賞《助演男優賞》次点となった尾形は、「井上はすべて台本に書かれていた。神や信仰心が天空的だとしたら、井上は地上にしがみついている男です」と述懐した。
また、作品の見どころについて窪塚は「『神が沈黙している』ということ。自分自身の中にその答えを見つけなければならない」と指摘すると、尾形は「日常とはかけはなれた、過酷な作品。これは果たして人間なのだろうか?いや、これこそが人間なのだ。私の中では今でも答えが2つに分かれたまま。ところが観終わったあと、清らかなものが心に残っている。そしてそれは一生続くものだと思う」と話す。
アカデミー賞の質問に応じた浅野は、「選ばれると思っています。もしこれで選ばれないような事があるとしたら、それはおそらく神様が選考委員に余計なことを言ったということでしょう」と答え、報道陣を笑わせる一幕も。また、スコセッシ監督の演出について「演技をすべて見て、褒めてくれるから、感性が研ぎ澄まされる」(尾形)、「監督のもとでは誰もが役になりきる事ができる」(浅野)、「いてくれるだけで安心できる監督。一緒に仕事をしていると、まるで自分が素晴らしい役者になったと勘違いしてしまうくらい」(窪塚)と、自由に演技にトライできる環境を生み出す巨匠との仕事をそれぞれ振り返った。
最後に窪塚が「こんな僕にも『ニューヨークに来たらウチに遊びにおいで』と2回も言ってくれたんです。実際にニューヨークに行った時にマネージャーにメールしたら、見事に返事は帰ってきませんでした」とエピソードを紹介すると、場内からは笑いと拍手が巻き起こった。この後、1月16日にマーティン・スコセッシ監督による記者会見、17日には監督と日本人キャストによるジャパンプレミアも予定されている。
映画『沈黙-サイレンス-』は2017年1月21日(土)より全国公開
【CREDIT】
原作:遠藤周作「沈黙」(新潮文庫)
監督:マーティン・スコセッシ
出演:アンドリュー・ガーフィールド リーアム・ニーソン アダム・ドライバー 窪塚洋介 浅野忠信 イッセー尾形 塚本晋也 小松菜奈 加瀬亮 笈田ヨシ
配給:KADOKAWA
公式サイト:http://chinmoku.jp/
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