映画『ちょっと今から仕事やめてくる』完成披露試写会が9日、都内・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われ、主演の福士蒼汰をはじめ、工藤阿須加、黒木華、小池栄子、吉田鋼太郎、成島出監督が登壇した。
累計発行部数50万部を突破した北川恵海の同名小説を『八日目の蝉』『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』の監督・成島出が映画化した本作は、ブラック企業に務める青年・青山隆と、疲労のあまり倒れそうになる彼を救った謎の青年・ヤマモトの出会いから物語が展開される。大阪弁でいつでも爽やかな笑顔をみせるヤマモトだが、ふとした瞬間にみせる深刻な表情が気になった隆が彼の過去を調べると、3年前に自殺していた。自殺したはずの男が「ヤマモト」と名乗る真実に迫っていく。
大阪弁でいつも笑顔を絶やさないヤマモトを福士蒼汰、就職した会社のノルマとパワハラによって心身ともに疲弊した青山を工藤阿須加がそれぞれ演じるほか、青山の先輩・五十嵐美紀役に黒木華、ヤマモトの過去を知る大場玲子役に小池栄子、青山に対してパワハラ発言を繰り返す上司・山上守役に吉田鋼太郎が名を連ねる。
入念なリハーサルを5ヶ月間経て撮影に入った本作。「関西弁に苦労した」と話す福士は、初共演を果たした工藤の印象を尋ねられ「爽やかで元気でした!」とハニカミ。「それだけ?(笑)」と工藤がつっこむと、福士は「体育会系というか、すごくハキハキしているイメージがあって、『はじめまして!工藤阿須加です!』って挨拶された時から(爽やかで元気な)印象は変わらないです」と続けた。
工藤も「同じく爽やかで、今も素敵な笑顔を見せていて、『福士蒼汰です!』と挨拶された時は『あ、これは女の子やられるな』と(笑)一緒にお芝居をさせていただける機会をいただけて、一緒に頑張りたいなと思いましたね」と明かした。また、工藤が自宅に福士を招いてたこ焼きパーティを開いたエピソードが飛び出し、「僕がたこ焼きを作っていて、福士くんは僕のベッドでずーっと横になってました(笑)」と仲睦まじい様子をのぞかせた。
また、『八日目の蝉』『ソロモンの偽証』に続き、成島組に参加した黒木と小池。「(演出が)丁寧だなとすごく感じます」と言う黒木は「ちゃんとリハーサルを直前まで何回も重ねてくださったり、役についても理解を深めてくださるので、本当に丁寧な監督だと思います」とにっこり。小池も「同じく。リハーサルをしながら、役としてセリフが腹に落ちて納得するまで寄り添ってくれる監督。すごく信頼できます」と語った。
一方、工藤扮する青山にパワハラを繰り返す上司を演じた吉田。いじめられている時の工藤の顔が「とても可愛いんです」と明かし、「基本的に工藤くんを泣かすことを目標に演じていました。とにかく工藤くんをいじめる、それに宗旨するんです!約4日間の撮影の中、ずっと工藤くんを罵倒していると、演技・役とはいえ嫌な気持ちになってくるんです。もともと口数の少ない工藤くんが、ますます口数が少なくなり、休憩中は何もしゃべらず下を向くように座っている...すごく凄惨な現場でしたね」と裏話を披露。工藤は「辛かったです、すごい辛かった!」と心境を吐露。「吉田さんの声って骨の髄まで響いてきて、自然と背筋がピンとなるんですよね。吉田さんの声を聞くと、自然と役に引き戻してくれるというか、本当に引っ張っていただきました」と語った。
イベントでは、本作のタイトルにちなみキャスト陣へ「ちょっと今から〇〇やめてくる」とのお題が。「ちょっと今から“外食”やめてくる」(工藤)、「ちょっと今から“SNS”やめてくる」(黒木)、「ちょっと今から“ポチッとを”やめてくる」(小池)、「ちょっと今から“夜更かし”やめてくる」(吉田)、「ちょっと今から“しつこい演出を”やめてくる」(成島監督)とそれぞれ回答する中、福士は「ちょっと今から“人見知り”やめてくる」とフリップを掲げる。
理由を問われると、福士は「実は人見知りなんです...自分に自信がなくて、主役じゃないと自分から話しかけられなくて。主役だと自分が引っ張っていかなきゃなと思えるんですが、主役じゃない現場だと全然自分から話しかけられなくて...」と告白。それを聞いた小池が「主役しかやらないって言ってる?『主役しか俺は引き受けねぇ!』って言ってるようにしか(笑)」とツッコミ、吉田も「爆弾だ...(笑)」と福士の天然っぷりを笑っていた。
最後に、6月に開催される第20回上海国際映画祭パノラマ部門への出品が発表された。
映画『ちょっと今から仕事やめてくる』は5月27日より全国東宝系にて公開
©2017『ちょっと今から仕事やめてくる』製作委員会