5月20日(土)に全国で公開される映画『君のまなざし』。テレビドラマ「教師びんびん物語」「GTO」などで知られる赤羽博が監督を務め、今作が映画初主演となる梅崎快人を迎えて描くスピリチュアル・ミステリーだ。夏休みに長野のペンション「たちばな」で友人と住込みのアルバイトを始めた主人公が、前に神社で出会った巫女と再会し、ペンションに隠された秘密を追っていくうちに不思議な現象に見舞われていく。
主人公の健太を梅崎が演じ、巫女のあかり役に水月ゆうこ、ニュースター・プロダクションの代表・大川宏洋が友人の朝飛役/物語の鍵を握る道円役で出演している。なお大川は、総合プロデューサーと脚本、主題歌も担当している。
今回、梅崎快人×水月ゆうこ×大川宏洋の3名に、作品の魅力や撮影時の貴重なエピソードなどを伺った。
──今作が皆さん初の映画作品ですが、まずは梅崎さん。主演に抜擢された当時の心境を伺えますか?
梅崎:抜擢された時は、映画の規模と要求されているものにどれだけ応えられるのか、プレッシャーや不安とか、そういうので結構いっぱいでした。でも、いろんな人にお話を聞いて、自分なりの答えみたいなものを見つけて「やってみよう!」って感じで決意しました。
──オファーは直接大川さんからされたのでしょうか?
大川:プロデューサーの松本です。(詳しい経緯としては)彼(梅崎)がとある雑誌で読者モデルみたいな形で表紙を飾る機会がありまして。それを見た赤羽監督の奥様が「あ、この子いいじゃない!」っていう感じで選ばれ、松本プロデューサーからオファーしたそうです。その時は私はまだこのプロジェクトに関わる前だったんですけれども、その前から主役は決まっていて。なので「監督の奥様が決めた」というのが実際のところですね。
──お墨付きっていう感じで決まったんですね。
大川:そうですね。
──出来上がった作品を観た感想を伺えますか?
梅崎:リアルな感想は、演技としてやっぱり反省点があったので、最初の方はそういう目で観てしまいました。「あ〜もっとこうすればよかったな」って思うところもありましたが、逆に「ここは自然に感情移入できるな」っていうシーンもあったので、そういう意味ではすごく、監督の演出とか、いろんな技術とか、いろんなものを駆使していただき、良い作品に仕上がったんじゃないかなと思います。
──過去パートと現代パートが切り替わる瞬間がいくつかありましたが、やはり気持ちも切り替えて演じられたのですか?
梅崎:やっぱり平安時代とかですよね…こう、いよいよ平安時代に入るぞ!みたいな。ワクワク感がありましたね(笑)。
水月:みんな「いつ平安時代になるんだろう」っていう期待がすごくあって。結構焦らされる感じで入っていきました。
梅崎:(水月の言葉にずっと頷きながら)そうですね!
大川:焦らされてたんですね。
水月:焦らされてましたよ。焦らされてる感じしましたよ。「いつ行くんだ、いつ行くんだ、今だ!」みたいな(笑)
──水月さんは今回、巫女役として物語にひとつ光を投じる存在だったと思うのですが、演じる上で意識したところはありますか?
水月:精神統一の部分がすごく難しかったです。結構気が散ってしまうタイプだったので、まず集中力をつけようと思いました。集中力をつける訓練みたいなことはすごくしてたんですけれども、実際に巫女役というか、神秘的なものを降ろすっていうのはまた別なんだなっていうのを撮影中にすごい感じました。
──大川さんは今回、総合プロデューサーと脚本、メインキャストとして出演されていて、最後の主題歌も担当されていますが、4役を担うのは大変だったのではないでしょうか?
大川:そうですね。ただ、ベテランの赤羽博監督のおかげで、本当に事前の打ち合わせは撮影入る前までにほとんど終わっていました。脚本に関しては、撮影の3〜4ヶ月前くらいから第一稿は出来上がっていて、そこから打ち合わせを重ねて「ここをもうちょっとこういう感じにしようか」とか、「セリフの言い回しをちょっと変えようか」とか、「このシーンをこっちの前に持ってこようか」とか、そういう話を毎週赤羽監督とさせていただきました。
脚本は20回以上書き直したんですけれども、最後の撮影に入る1〜2週間前くらいまで脚本の打ち合わせを続けていました。特にラストシーン。あれは本当に直前に変わったんです。元々全然違う終わり方を想定していたんですけれども…。あれは本当に(最後の)撮影が始まる2週間くらい前に決まったんですよ。
水月:台本もその部分だけ直前で渡されましたよね。
梅崎:そうですね。
水月:後半の最後の変わったシーンのところだけ「こうなりました」って受け取りました。
──そのエンディングで皆さんオールアップだったのですか?
大川:実はラストシーンではなくて、朝飛が滝に打たれて、お父さんに「まだだ!」ってシバかれるシーンでクランクアップ(笑)。
水月:本当に寒そうでしたよね(笑)。
梅崎:本当に寒そうでした(笑)。
大川:撮影が夏だったんで寒くはなかったんですけど、水圧が本当にやばくて、息ができないんですよ。息ができなくて、「ハッ!ハッ!」とか言ってるんですけど、あれ本気でやってます!本当に息が出来ないから(笑)。
一同:(笑)。
大川:クランクアップ後に助監督の方と2人で足柄温泉に浸かって帰るっていう。しんみりとした終わり方でしたね(笑)。
──ロケーションもかなり綺麗な場所でしたよね。
大川:そうですね。設定が長野県っていう設定だったんですけど、実際に撮ったのは那須のペンションで。そこを貸し切りにしていただいて、内装とかも全部、ペンション「たちばな」仕様に変えて、かなり細かいところまで作り込んでましたよね。「長野県霧崎村」っていう設定なんですけれども、「霧崎村観光マップ」みたいなポスターが壁に貼ってあったり。
梅崎:バスの中も全部作ってた。
大川:そうそう、バスの中のバス停の順番とかも。作品のガイドブックが発売されてるんですけど、それには細かく載っています。脚本上に全然無いところまでスタッフさんが考えてくださっていて、「凝ってるなぁ」と。すごい遠目で、引きで映ってるかもしれないけど、たぶん細かいところまでは映ってないだろうなっていう。でも、そういうところまでしっかりこだわり抜いてロケーションを整えていただいていたので、本当に赤羽組の力はすごいんだなっていうのをすごく感じましたね。
──気がつかなかったので、もう一度観てみようと思います。殺陣のシーンは迫力があって見応えがありましたが、大川さんは実際に身体を鍛えてから挑んだというお話を伺いました。
大川:そうですね。撮影が始まったのが去年の8月の半ば頃なんですが、特に私の方は槍を使う事になったんですけど、その槍って重たいんですよね。剣と勝手も違うので、順手と逆手とかも覚えないといけなくて…。数回振っただけでもう汗だくで、足もガクガクブルブルだったので、これはマズイなと思って、去年の1月くらいからジムで身体を鍛えて、体重も10キロくらい増やしました。でも本番は衣装の重さとかもあったりして更に大変でしたね。衣装がブーツみたいなもので、歩きやすいようにはなってるんですけど、運動靴とかではないので何回か滑ったりとかもして…(笑)。
梅崎:砂利なんですよ!足場も悪かったんですよね。
大川:洞窟の中で戦うシーンがあるんですが、水を撒いてたんですよね。照明の加減とか、ちょっと鍾乳洞っぽい感じを演出したかったと思うんですけど。水を撒いてるところで、結構踏み込んで斬りこむ場面があって、「オラァ!」って踏み込んだら滑ってスッテーンって転がって、そのままフレームアウトみたいな(笑)。めちゃめちゃカッコ悪かったです。
一同:(笑)。
水月:よく(槍の)先っちょなくなってませんでした?(笑)。
大川:先っちょなくなってた(笑)。はめ込み式なもので、4、5本くらい予備があるんですけど、よく取れてました。七支刀もバキバキ折れてたし。
水月:宝具が!宝具が折れる(笑)。
梅崎:バキバキ折れてましたね。
水月:一番のハイライトだったのが、(大川扮する)道円の感情が高ぶるシーンで被ってる烏帽子が取れちゃった瞬間ですよね。
大川:(爆笑)あったあった!
水月:烏帽子が取れて(笑)。本当は(烏帽子の中は)見えちゃいけないじゃないですか。でも、演技入られてるし、本気で泣かれてるし、「笑っちゃいけない」とか思いながら演技するのがすごい大変だった(笑)。
大川:一応カットかかるまでは自分でやめちゃいけないじゃないですか。めっちゃ取れてたけど、泣きながら続けてみた結果、やっぱりNGで(笑)。あれは結構自分の中で「あ、やっちまったな」って。そんなカットでした。
──面白い話が聞けました(笑)。梅崎さんも殺陣に挑戦されてみていかがでしたか?
梅崎:僕もジムに通いました。撮影中とか稽古期間とか、ずっと菓子パンを食べ続けて、1日5個っていうノルマをいただいて、なんとか体重を増やしたっていうエピソードがありますね。
大川:体質的に増えないんですよね、体重が。
梅崎:そうなんですよ。増えない。
水月:目に見えて結構差が出てきたんですよね。大川さんの方がはやくムキってなったから。
梅崎:だから焦りしかなかったですよ(笑)。
大川:結局60キロ超えられなかったもんね(笑)。
梅崎:60ギリギリ、ちょっとだけいって、もう後は59とかそのくらいになっちゃってって感じですね。
──体作りに苦労されたんですね。
──過去パートと現代パートで演じ分けたポイントはありますか?
大川:言葉つかいですね。全部が全部、当時の平安時代のまんまでやってるわけではないんですけれども、(現代の)日常会話で使わない単語が出てきたりとか。普段は「心得た」とか言わないじゃないですか。あと、監督から言われたのは「声のトーンをワントーン下げてくれ」って言われました。現代パートで喋っているトーンよりワントーン下げてくれって。平安時代の時は、現代パートと違って命のやり取りをしているような時代だから、もうちょっと緊迫感みたいな。それが「日常会話の節々にも出ると良いよね」と。現代パートの軽い感じではなく、もうちょっと重厚感のある感じと言いますか。
梅崎:あとは所作ですね。キビキビした動きをなるべく意識するように。現代パートとは違う感じで、機敏な動きを意識して、落ち着いた感じと機敏な動きを入れる。
──次にやってみたい役やジャンルはありますか?例えばラブストーリーとか。
梅崎:あ、ラブストーリー…。
水月:次はできると思うよ!私は!
梅崎:是非、是非挑戦を!リベンジを、はい(笑)。
大川:リベンジ(笑)。
梅崎:リベンジをさせていただきたいなと思っております。
水月:本当はもうちょっと恋愛系なお話だったんですよね。脚本もすごい素敵な感じで。
梅崎:僕のちょっと至らなさに…(笑)。
大川:ラブストーリーがやりたいんですね。
梅崎:はい!是非、お願いします。
大川:考えます。芝居を見てから考えます(笑)。成長を期待します。
梅崎:はい、是非。
──是非お2人の再共演で観たいですね(笑)。
水月:ちょっとだけ(ラブストーリーの要素が)入ってるんですよね。ハプニングで 一緒に倒れこむシーンがありまして。
梅崎・大川:あー!!
水月:あそこは多分一番練習しましたね。一番練習して一番ダメって言われて(笑)。
梅崎:そうですね。何度も倒れて。
水月:倒れる時もこうやって(体に触れずに)浮いてるんですよ!
大川:(笑)。
梅崎:いやなんか…「重たい」とかね、僕なりの女性に対する気遣いをしてたんですけど(笑)。
水月:めちゃめちゃ怒られましたね(笑)。でも、編集で良い感じにスムーズになっていて。
梅崎:そうですね。
大川:なぜあの時部屋が暗かったのかっていう理由をね、考えてみようね(笑)。
──わざと薄暗くしたんですか?
大川:それは監督にしかわからない(笑)。私の口からはなんとも(笑)。
梅崎:そうですね、謎の一つ。ミステリー(笑)。
水月:スタッフさんにも言われました。「あれは本当に編集頑張ったんだよ!」って(笑)。是非そこにも注目を。
大川:本当にもう「良く撮っていただいたな」って。その一言に尽きますね。
──他にも初めての映画出演で苦労されたところありますか?
水月:美ヶ原が寒かったですよね。大川さんは体調崩すし、私たちも寒いし…。
大川:高台で2人(梅崎と水月)が話してるシーンと、健太(梅崎)が星空を眺めているシーン。長野県にある標高が高い山で撮ったんですけれども、あそこがめちゃくちゃ寒くて。たぶん10℃切ってたんじゃないかな?
水月:そんなに寒かったんですか!?
大川:9月の終わりくらいだったんですけれども、風がめちゃくちゃ強くて。撮ってない時は普通にダウン着てて、夜はやばかったよね。最後、日が落ちるくらいまで白のシャツ一枚で撮ってたよね(笑)。
梅崎:白シャツ一枚と下ランニングで…もう唇が青くなってくるんですよね。
大川:あれは結構さわやかなシーンなんですけど、過酷でしたね。
水月:「後1日遅れてたら、もう秋の風景に変わってたから撮れなかった」って言われました。本当にギリギリで。
大川:なんとか予定通りに終わることができました。台風も何回か来たんですけれど、うまいこと避けてくださったりとか、代わりの日がとても晴れてたりして、なんとか予定通り。そういった意味で、天候とかにも恵まれた撮影だったと思いますね。
──最後に公開を楽しみにしている方々へメッセージをお願いします。
梅崎:本当に、本当に本当に、全力で取り組んだ映画。お伝えできるものはしっかりあるなと。アトラクションに乗ったような気分で、なんかワクワクする感覚ですね。異次元や異世界空間にワクワクしながら飛び込んでいただいて、映画の世界観に入り込んで、楽しんで観ていただけたらすごく嬉しいなと思います。異世界空間を楽しんでほしいです!
水月:この映画は『心が変われば世界が変わる』というキャッチフレーズの元、作られたんですけれども、その言葉の中にはいろんな意味が含まれています。たぶん観る方によって解釈の仕方が違ったりとか、感じ方が違ったりするような映画です。是非観ていただいた後に、皆さんどのように感じられたか、友達と話していただけたら嬉しいなと思います。それで話した後に、「なるほどそういう視点もあったのか」と知った上で、もう一度観ていただきたいです。
大川:「運命を変えるもう一つの世界」っていうキャッチフレーズがあるんですけれども、まさにその通りの作品だと思います。転生輪廻の考え方なんですけれども、人生観自体が180度変わってしまうことを、この作品で表していると思うんです。この物語に出てくる健太(梅崎)であったり、あかり(水月)であったり、朝飛(大川)であったり、登場人物たちがもう一つの世界を知ることによって、運命が変わっていくさまが描かれています。映画を観てくださった人たちに、「自分たちにも本当にこういうことがあるんじゃないか」と思っていただくことによって、一人一人の運命が変わる映画になると思っています。是非、劇場にてご覧いただければと思います。
映画『君のまなざし』は5月20日(土)より全国公開
【CREDIT】
出演:梅崎快人/水月ゆうこ/大川宏洋/日向丈/長谷川奈央/春宮みずき/合香美希/手塚理美/黒沢年雄(特別出演)/黒田アーサーほか
監督:赤羽博
配給:日活
公式サイト:http://kimimana-movie.jp/
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