滝田洋二郎『北の桜守』阿部寛が吉永小百合をお姫様抱っこ、北海道・稚内で春パート撮影

『北の零年』『北のカナリアたち』に続く“北の三部作”最終章、『おくりびと』の滝田洋二郎が監督を務める吉永小百合120本目の出演作となる『北の桜守』の公開日が2018年3月10日(土)に決定。2月・網走での冬パートに続き、稚内にて春パートの撮影が行われた。

北の桜守

吉永小百合120本目の出演作となる本作。ソ連の侵攻により樺太の土地を追われ、北海道の網走で、凍えるような寒さと食べるものがない程の貧しい生活の中で、息子・修二郎を命がけで守り抜き、修二郎を育てた後も、1人で夫を待ち続けながら網走でひっそりと暮らしていく“江蓮てつ”と家族の物語。

江蓮てつを吉永小百合が、大人になった修二郎を堺雅人が演じる。共演に、堺扮する修二郎の妻・江蓮真理役に篠原涼子、闇米屋として貧困に喘ぐ江蓮親子に仕事を与える菅原信治役に佐藤浩市、吉永演じる江蓮てつの夫・徳次郎役に阿部寛、ほか高島礼子、中村雅俊、笑福亭鶴瓶、岸部一徳ら日本映画界を代表する豪華キャスト陣が出演。監督を『おくりびと』の滝田洋二郎が務める。

北の桜守

北海道・春ロケクランクアップ目前の6月19日(月)、本州より遅い春の季節となる北海道・稚内にて、樺太にあるという設定で江蓮家の1軒家のオープンセットを建てての撮影を報道陣に向けて公開。江蓮(えづれ)てつを演じる主演・吉永小百合、てつの夫・徳次郎役の阿部寛、てつの友人、山岡役の岸部一徳らが参加した。

撮影内容は『北の桜守』を象徴する、てつが育てた桜が花開く冒頭のシーン。阿部演じる徳次郎が近所の人たちの前で、てつをお姫様抱っこをして、周りの目も気にせずに見つめあう愛にあふれた場面が垣間見れる。

北の桜守

監督・キャスト挨拶 現場会見


吉永:本日は遠方から『北の桜守』のロケセットにお越しいただきまして、本当にありがとうございます。感謝しております。稚内市長もみなさんが協力してくださって、また市民の方達にもたくさん出演してくださって、成立したものであります。そのこともここで合わせて感謝の思いを述べさせていただきます。短い時間ですが、どうぞ宜しくお願い致します。

阿部:今日はありがとうございます。僕も今日クランクインで初めて現場に来ました。本当に今日は暖かくて、佐藤浩市さんから寒くてがたがた震えていると聞いていて覚悟してきたのですが、とても暖かかったです。宜しくお願いします。

岸部:こんにちは。わざわざ遠いところありがとうございます。僕も稚内は初めて来たんですが、とても暖かくて、改めてゆっくり来ようかなと思うほど、いいところでした。今日はどうぞ宜しくお願い致します。

滝田監督:みなさん遠いところありがとうございます。この稚内で映画を撮らせていただいて、本当にいい画が、この映画らしい画がたくさん撮れています。約2か月の撮影でほぼ4コーナーを回り切ったところですが、今日はじめての阿部さんなどまだまだやっていきますので、最後まで頑張っていこうと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

北の桜守

マスコミ質問 現場会見


──吉永さんと阿部さんは以前にも共演されていますが、今回は夫婦役というところでいかがでしょうか。また、岸部さんは夫婦の友人役としてお2人と共演されていますが、いかがでしょうか。

阿部:前回は甥という役で、影を抱えた複雑な人物の役どころだったのですが、今回は吉永さんの旦那さん役というところで格上げかなと。僕の役は最初のほうでいなくなってしまうんですが、最後の方まで影響を吉永さん達、子供達に与えている人物というところですごく、貴重な役だと思っています。しっかり演じなければならないと思って、今日来ました。

吉永:(私が演じる)テツにとって阿部さんの役は本当に大きな存在なんですね。なので、阿部さんにやっていただいてすごい喜んでいるんです。ただ、鶴瓶さんと「おとうと」をやった時に次は夫婦の役をやろうなって約束をしてしまったので、今回もちょっと出ていただいてるのですが、本当はとても怒っているのではないかとちょっぴり緊張しています。阿部さんと素敵な夫婦関係を作っていきたいと思っています(笑)。

岸部:友人といういい役をいただいて、これ以上は色々言えないのですが(笑)、本当に楽しんでやっています。阿部さんとはテレビのお仕事で、吉永さんとは映画で4本目になります。映画に出ることは俳優にとっては緊張というよりうれしい楽しい、自分にとってはいい事だといつも思います。今回も楽しくやらせていただきたいと思います。

──吉永さんにとって今回の『北の桜守』が120本目の作品になりますが、これまでを振り返っていかがでしょうか。

吉永:よくここまで来ることができたと思います。スタッフ、共演者の皆様にサポートしていただいてやってこれたと思います。監督は先程、第4コーナーまできたとおっしゃっていましたが、まだまだ大変なシーンも残ってますので、命を切らさないで完走して立派な作品にしたい、それが自分の120本の思いだと思います。

──ここまで続けてこられた理由はなんでしょうか。

吉永:1に健康2に健康、34がなくて、5に体力ですかね。

──この作品北の3部作最終章ですが、3本で共通する思いはありますか。

吉永:『北の零年』は明治維新の末期に北海道に移住してきた淡路島の人たちの話で、『北のカナリアたち』はひとりの教え子の事件をきっかけに何で仲間と生きていくかを見つける作品でした。今回も樺太から大変苦しいを抱えながら何とか生きていこうという人達の思いのこもった映画だと思います。3作品を私が大好きな北海道で撮らせていただいたことは嬉しく思います。

──ロケ地の稚内の印象は?

吉永:宗谷岬に何度か行きましたが、素晴らしいロケーションですし、佐渡別平野で高倉健さんと初めて「動乱」という映画でご一緒して北海道の魅力にひかれました。来るたびに色々な北海道を見ることができますし、今回は2月に雪の網走を撮影することができて北海道オタクなんですけども、非常にいい映像が、北海道の人たちも以南の方にも喜んでもらえる映像が皆様にご覧いただけると思います。

──今回たくさんエキストラの方が参加されていましたが、思うことはありますか?

吉永:昨日も200人の人達が樺太から逃げていくシーンがあったんですが、本当に大変な坂道を登って下さって、ちゃんと役にそれぞれなり切っているんですね。無料で出てくださったと伺って、感謝の想いでいっぱいですし、それぞれ皆さんの表情が映画でおさめられていると思います。

──かなり手の込んだオープンセットは後々も残されると聞いていますが、こちらに関して皆様から一言ずついただけますでしょうか。

滝田:樺太の設定で、樺太は想像つかなかったのですが、去年の秋に吉永さんとスタッフと樺太を取材して、校長先生が住んでらしたお宅がまだ残ってまして。今は向こうの方が住んでるんですが、そこもかなり強い印象をうけました。あれを再現しようかということで、この稚内のセットを使って、幸いにも何年か残していただけるような立派なセットを作れるということだったので、ここで好きに活動させていただけて、取材も活かしながらとてもいい家を建てられたと思います。住むこともできますからね、どなたかどうぞ住んでください(笑)。北海道にホテルないときはここに(笑)。

阿部:まだちゃんと見てないのですが、ほんとにしっかり作ってあって元々あったのかなと思うくらいで。こっちに来て、すごくいい気持ちで芝居ができます。

吉永:サハリンで見せていただいたお家のブルーの屋根がとても印象に残っていて、それを実現できました。あと白樺がきれいだったんですね、千昌男さんの歌じゃないんですけど、とても印象に残っていました。今回も白樺がたくさんあって。そういう中でも撮影しましたし、ロケセットはかなり素敵だと自負しています。私が作ったわけじゃないのですが。

岸部:今日初めてみて、最初からあったのかと、それくらいこの土地に自然にあってる。周りの畑とか実際に生活してるんじゃないかと思うくらいで。残されるということのなので嬉しく思います。

──『北のカナリアたち』のロケも稚内だったと思うのですが、稚内での印象的な思い出のエピソードはありますか。

吉永:宗谷岬に日本最北端のところに立って思いを新たにしたってことと、晴れているとサハリンも見えるんですね。ですからこんな近いところで日本人が住めなくて帰って来たっていう悲劇を改めて思いますし。横綱大鵬さんが晩年よく稚内にいらして、サハリンを眺めてもう一度行きたいといってらしたっていうのを聞きましたし、稚内というすごくサハリンと近いというところで樺太のロケをやらせていただくのはありがたいことですし、空気感とかもでていると思います。

──印象的なエピソードは?

滝田:一生懸命撮っているので毎日がエピソードなのですが、吉永さんの映画を撮らせていただく時にあなたが吉永さんの映画を撮るのは意外であると言われまして。それは東映の大きな映画を撮った方もに言われまして。あ~おもしろい私は私の映画を撮り切ってみせますと言いました。

去年の3月からじっくりと丁寧に準備をしたので、ストレスがないのはスタッフそのものがよく理解してるのと、素晴らしい俳優さんはスタッフの力が最大限に活かされるので、吉永さんがどんなたたずまいで演じられるかということをスタッフが想像して、キャッチボールしながら、みんなが少しずつ進化してるというのを吉永さんとできる喜びをみんなで感じているのでとても幸せな現場で、若い人にとっては貴重な体験だと思います。

吉永:監督はとても明るく笑いが絶えない方なので、テストもうまくコミュニケーションがとれてたらじゃ回してみよう!とすぐいってくださるので、思い切ってできるんですね。先日も佐藤浩市さんにおにぎりをもらって、全く何も食べてないで、息子と一緒にとぼとぼ歩いて行ったシーンで私が信じられないような食べ方をしてしまったんですね。

どのように映っているか心配でもあり楽しみなんですけど、じゃがいも畑で盗んで食べるシーンも本当に思いっきりできますし、不思議な監督さんで、何でもやってしまうというそんな感じがしてます。元気がでる撮影の方法でありがたいと思います。

──この後、お姫様抱っこするような場面があるとうかがっているのですが、どんな感じか教えてもらってもいいですか。(実際にこの後撮影)

阿部:まだするかどうかわかりませんよ(笑)。

吉永:テルマエの阿部さんですから安心して委ねたいと思っていますが、どうなるかわかりませんね(笑)。

──実生活でもあるんでしょうか。

吉永:全然ありませんよ(笑)。

阿部:僕も実生活はないですよ(笑)。本当にどうなるかわからないですね。

北の桜守

──この映画をどういった思いでお客さんに見てほしいか。

岸部:もちろん滝田監督、吉永さんの作品だから見てもらいたいという思いと、終戦の時の日本のその時にどういうことがあってどんな人がどんな苦労をしたかが割と今忘れられているのでそういうところも実際の話として見てもらいたいです。

吉永:もちろんそれが一番大事なところですが、この映画にはいろんな要素があってミュージカルぽいところであったりアクションもありますしインド映画ぽい感じのところもあってそういうところ全てを含んで映画として楽しんでいただきたいです。

阿部:僕も堺くんとか篠原さんとかのはじめてのキャストの方と出られるのも楽しみですし、どんな吉永さんが見られるか、監督がどうやって作ってくれるのかも楽しみにしてます。

映画『北の桜守』は2018年3月10日(土)より全国公開

【CREDIT】
出演:吉永小百合 堺雅人 篠原涼子 岸部一徳 高島礼子 永島敏行 笑福亭鶴瓶 中村雅俊 阿部寛 佐藤浩市
監督:滝田洋二郎

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