25日より開催中の第30回東京国際映画祭・クロージングセレモニーにて「コンペティション部門」の授賞式が行われ、映画『勝手にふるえてろ』が観客賞を受賞、監督の大九明子が登壇した。
発表と同時に「わあ!すごーい」と大九監督の声が会場に響き、大きな拍手を呼んだ。日本映画が観客賞に選ばれるのは2014年の『紙の月』以来だ。大九監督は「やったやった!」と笑顔で登壇、トロフィーを受け取った。
さらに副賞の法被を着用した大九監督は「この様な愉快な服装のままのご挨拶は少々照れくさいですが(笑)大変小さな短期集中の撮影で仕上げた映画でしたので。観客賞というものを頂くとはまさか思っておらず、ノミネート自体も夢のようで、楽しい1週間を過ごしました。投票してくださった1人1人に感謝しておりますし、そんな方々のおかげで映画というものを続けてこれたと深く実感しております。映画にしがみついて来てよかったです」と素直な気持ちを語った。
授賞式後、審査員のレザ・ミルキャリミ、ヴィッキー・チャオ、マルタン・プロヴォ、永瀬正敏の4名と審査委員長のトミー・リー・ジョーンズが登壇。審査を経てジョーンズは「1番楽しかったのは、ここに並んでおります審査員の皆さんと友情を築けたことです。皆さんとても聡明で思慮深い方々です」と話し、続けて「しかしまた大変な困難な状況でもありました。何故なら我々が審議をするときに5つの言語を駆使しておりましたので、まるで国連のようでした。ユーモアを維持するのがとても難しかったけれど、もちろん国連より大変楽しませて頂きました」と微笑んだ。
さらに、映画祭について「製作者や観客を厳しい商業的需要から解放するべきものだと思っております。私たちはカークラッシュや、レンズに銃口を向けたり、都市が爆発、あるいは凍ったり洪水に合ったり、危機に陥っている女性、思春期のスーパーヒーローを必要としません。とは言いながら、それらは悪いとは言っていないです。ただ、映画祭というものは、理路整然とした物語、視的な美しさ、そして観客の主観を然るべき注意と努力で向上させるという努力を惜しまないものであるべきだ」と語った。
最後に「私たち映画製作者は皆さんの時間を無駄にするために生まれて来たわけではありません。それをより良いものにするために生まれて参りました。そして私たちは皆さまに対し謙虚な心と希望を持って仕えるものだと審査員を代表して申し上げます。そして私たちの下した決定は明白です」と審査結果を自信を持って贈ったことを明かした。
【コンペティション部門・受賞結果】
観客賞:『勝手にふるえてろ』 大九明子監督
最優秀脚本賞 Presented by WOWOW:『ペット安楽死請負人 テーム・ニッキ監督
最優秀美術貢献賞:『迫り来る嵐』 ドン・ユエ監督
最優秀男優賞:『迫り来る嵐』 ドアン・イーホン
最優秀女優賞:『マリリンヌ』アデリーヌ・デルミー
最優秀監督賞:『アケラット ロヒンギャの祈り』エドモンド・ヨウ 監督
審査委員特別賞:『ナポリ、輝きの陰』シルヴィア・ルーツィ監督 ルカ・ベッリーノ監督
東京グランプリ:『グレイン』セミフ・カプランオール監督
第30回東京国際映画祭は2017年10月25⽇(⽔)〜11⽉3⽇(⾦)にわたって六本⽊ヒルズ、EXシアター六本⽊ほか開催
公式サイト:www.tiff-jp.net