この世の闇に棲みつく魔獣ホラーと戦う、魔戒騎士たちの姿を描いてきた牙狼<GARO>。道外流牙シリーズ最新作『牙狼<GARO>神ノ牙-KAMINOKIBA-』が1月6日(土)より、新宿バルト9ほかにて全国公開される。
本作の最大の見どころは、流牙・猛竜・哀空吏の3騎士と、復活を遂げた宿敵・ジンガの戦い。栗山航、池田純矢、青木玄徳、井上正大に加え、南里美希、桑江咲菜、松野井雅、脇崎智史、小松もか、黒木桃子、泉谷しげるら「~闇を照らす者~」「-GOLD STORM-翔」のキャストが勢揃い。屋敷紘子、佐咲紗花、斉木しげる、工藤綾乃、野性爆弾・くっきーら新たに参戦するキャストも魅力だ。
今回、これまでシリーズを牽引してきた栗山航に『牙狼<GARO>』の魅力や撮影秘話、シリーズ集大成となる本作への想いを伺った。
栗山航「また井上正大くんと戦わなきゃいけないんだ」
──牙狼シリーズの集大成となった本作ですが、製作が決定した時のお気持ちを教えてください。
栗山:1番最初に聞いた時は、まず「また井上正大くんと戦わなきゃいけないんだ」という気持ちが大きくて。いつも『牙狼<GARO>』で続編が決まると思うことは「前作を超えられる」か。そのためには色んなトレーニングが必要とされる。基本的にはアクション作品なので、アクションに対して「何か出来ることを増やせないかな」というのは、最初にお話を聞いた時に思い浮かびました。
──今回『-GOLD STORM-翔』以来の主演作となりましたが、「牙狼シリーズ」にはどんなお気持ちで帰ってきましたか?
栗山:『牙狼<GARO>』は僕のデビュー作でもあるので、かけがえのない作品ですし、すごく宝物のような作品。全力を尽くして、120%力を出せるように準備したいなって思いました。
──第30回東京国際映画祭のレッドカーペットに参加されて、ファンの方々から沢山の声援が届いたと思います。
栗山:「もっと楽しめるかな」と思っていたんですけど、あっという間でしたね(笑)。時間にすると結構長かったんですよ。ゆっくり歩いて、皆さんに手を振ったりしていたので。でも、自分の気持ちがふわふわしちゃって、役者人生の中でも初めてのレッドカーペットだったので(笑)。役の衣装でレッドカーペットを歩けるっていうのはなかなかないと思うので、凄くいい経験になりましたし、沢山のファンの方が声援を贈ってくれて、「やっぱり『牙狼<GARO>』は支えられてるんだな」って改めて思いました。
池田純矢、青木玄徳らとの共演は?
──池田純矢さん、青木玄徳さんたちと再び映画を撮れるのはどんなお気持ちでしたか?
栗山:ちょっと恥ずかしい気持ちと、僕のデビューの頃から知っている2人なので、ちょっとこっぱずかしいところもあり(笑)。僕が流牙として成長したところを2人に魅せないといけないなという気持ちがありました。それを2人に、最初のアクション稽古の時なのか、撮影中なのか…ちょっと忘れちゃったんですけど、それを提示しないといけないなっていう気持ちが強くあったのを覚えています。
──今作でパワーアップしたアクションはありますか?
栗山:明らかに変わっているのは、スタントマンが現場にいないことですね。不思議な感覚でした。シリーズの最初の頃はずっとアクションシーンがあると、流牙や猛竜の代役さんがいたり…。今作に関しては最初から、代役を立てて撮影に臨むっていうのがなくて。監督が、僕たちに出来ることをアクションに取り入れてくれたり、「挑戦したら出来るだろうな」というところをチャレンジさせてもらいました。そのあたりが「バージョンアップしたんだな」って現場で感じたところですね。
──アクション練習はどれくらいあったのですか?
栗山:今回はかなり時間が取れまして。時間的に言うと2週間、3週間くらいはありましたね。その中でアクション・エキストラの方々も募集して、多くの方々に来ていただきました。その方々と一緒にアクションリハーサルをして、僕たちも動きを確認しながら、そんな時間がたっぷりあって、贅沢に撮らせていただきましたね。撮影に入ってからも、スムーズに皆さん(アクション・エキストラの方々)とアクションの呼吸を合わせることができました。
よりスケールアップしたアクションに注目!
──かなりアクションも迫力があって、よりスケールアップしたように思えました。ワイヤーを使ったアクションも行われたかと思いますが、撮影で意識されたポイントはありますか?
栗山:そう言っていただけるのは嬉しいですね。ワイヤーアクションで1番気にするところは、ワイヤーに吊られているように見えないようにすること。だから、「飛んでいる時とかの重力はどうあるのか」を感じながらみんなやってると思います。現場で「初めてワイヤー使います」って人も多分たくさんいたんじゃないかな。今回に限らずですが、『牙狼<GARO>』の作品って急にワイヤーで吊ったりするので。「あ、飛ぶんだココ」って。「わたし初めてだ…」みたいな女の子とか大変だなとか思いますけど、みんな終わったら楽しんで戻ってくるので、「ああ、よかったな」って思います。
──もう栗山さんは、ワイヤーアクションはお手の物ですか?
栗山:そうですね。慣れちゃいました(笑)。特に怖さもないですし。僕は『闇を照らす者』で最初から何十メートルの高さに吊られていたので(笑)。それを思うと、物足りなく感じる時もたまにあったり(笑)。ワイヤーをあまり使わないこともするんですよ。ワイヤーはどうしても“ワイヤー感”っていうのが出ちゃうので。でも、ワイヤー感があるから人間じゃない間も出るんです。トランポリンを使って飛んで回転したり…そういうことも多々やって来てるので、お客さまは「ここがワイヤーなのか」「本当にワイヤー使わずにそのままやってるのか」っていうのが結構わからないところが沢山あると思います。生身で落ちたりするので。
──栗山さんの提案が一部シナリオに反映されていると伺いました。
栗山:僕だけの提案じゃなくて、井上まーくん(井上正大)と台本をいただいた時に話し合う機会があったんです。2人でなんとなく話していたら台本の話になって「ここどう思う」という流れに。そしたらまーくんも「ちょっと疑問に思っているところがある」と。それが僕と全く同じところだったんで、「じゃあこれは監督に相談してみようか」ってことで…なぜ蘇って来て(井上演じるジンガが)なぜ、戦っているのか。基本的なところなんですけど、そういうところで2人ともクエスチョンマークが付いちゃっている状態だと、きっとクランクインした時に、楽しく思いっきりできないんだろうなと思ったので。監督に相談させてもらったのは今回が初めてで、脚本のことで監督に物申すのはすごく怖かったです(笑)。相談してよかったなと思いました。
栗山航「どう考えても偉大な監督にしか見えない」
──雨宮監督(雨宮慶太)は栗山さんにとってどんな方ですか?
栗山:偉大な監督ですね。僕は監督としてしか見れなくて、みんな「パパ」とか「おじいちゃん」とか言うのですが、僕にはどう考えても偉大な監督にしか見えない。独特の世界観が監督の中にあるので、僕はそれを感じ取ろうと思ってずっとやって来ました。だけど、未だに感じているのか、感じ取れているのかもわからないです(笑)。世界観がすごい、画が綺麗、絵も上手い、字も上手い(笑)。いろんなところでずば抜けた才能がある方なんだなと尊敬しています。
「“流牙”は僕にしかできない役」
──シリーズを通して演じてきた“流牙”というキャラクターは、栗山さんにとってどんな存在ですか?
栗山:かけがえのないキャラクターです。僕にしか演じられないと今でも思っていますし、他の人が演じたらすごく嫌だなって思う役。僕がおじいちゃんになっても“流牙”は僕にしかできない役だと思います。“流牙”は僕、栗山航を見て作り上げてくださったキャラクターなんです。流牙が“栗山航”なのか、栗山航が“流牙”なのか、性格とか云々は結構かけ離れていますが、魂の部分ではすごく近いものを感じています。
栗山:流牙とは性格とかも結構離れてるんですよ。僕が役者として成長した部分が、流牙の戦いとかにも反映されていて。最初の頃の流牙って全然違ったんです。流牙が成長していくと、僕も成長していることに繋がる感じがするんです。切り離せない関係というか。僕に「そのまま演じればいい」「お前が感じ取ったものを演じればいい」という、監督の意向でもあったので。セリフの部分では、僕なら言わないような部分があったとしても、奥底にある深層心理というか、奥の方にある根底の性根っていうのは同じなのかなって。
──本作の見どころを教えてください。
栗山:大人数でのバトルは『牙狼<GARO>』の作品では珍しいんですよ。一対一とか一対二とかは今までもありました。今回のような、アクション・エキストラの方々と大人数に囲まれて、大人数対一人のバトルは『牙狼<GARO>』の中でもなかなかないと思うので、そこは見どころの1つかなと思っています。あとはジンガとのバトルですね。ジンガとの一対一のバトルも間違いなく魅力的ですけど、珍しいところでいうと大人数。映画らしいかなと思います。
──井上さん(井上正大)演じるジンガ、強いですね!
栗山:強いですね(笑)。何回やっても勝てる気がしないんですよ!もう、まーくんとは戦いたくない!とか思ってますけど、またいずれ、井上正大と剣を交わす時が来そうな気がしますね。怖くて言えないけど(笑)。
──ファンの方々は楽しみにしていると思います!
栗山:嬉しいですね。まーくんとのアクションの息というか、僕はすごくあってるというか。まーくんが自由にバンバン動いてくれるのがすごく気持ちよくて。力を抜かずに思いっきりやってくれるんですが、抜くときは抜くんです。その力がすごく伝わってくるんですよ。そういうのが気持ちよかったりするので、まーくんとやるアクションは楽しいですね。
──井上さんの印象は?
栗山:クールに見えて、すごく陽気な方というか。お茶目な方でもあります。すごく考えていることが深いときもあります。いろんな方面で能力が長けている人だなと思いますね。
──撮影現場で印象に残っているエピソードはありますか?
栗山:アクション・エキストラさんだけじゃなくて、今回は普通の一般のエキストラさんにも来ていただいたんですよ。確か100名近くは現場に来てくれて。最後にみんなで集合写真を撮ったらすごくいい感じの慰安旅行みたいな写真が撮れて(笑)。すごくいい記念になりましたね。
エキストラ応募も沢山いただいていて、来れなかった方は残念ですけど、出てくださった皆さんも印象に残っています。応募してくださった皆さんも多分、応募した作品だなって印象に残ると思うので、ファンの方と一緒に演じられるっていうのはすごくいい企画というか、いい案だなって。実際に現場はワンカットで長回しの緊張するような場面だったんですが、皆さん一丸となって動いてくれて、指示にちゃんと従ってくれて…無事に何事もなく撮れたので、本当にありがとうございました。感謝ですね。
──これから映画を鑑賞する方にメッセージをお願いします。
栗山:この作品は“流牙”が出てるシリーズ(『闇を照らす者』からの5作品)に出て来たキャラクターが、物語上で必ず触れられているんです。だから、前作を見ていた方は間違いなく面白い作品ですし、初めて見る方もきっと前作でどんなことがあったんだろうって気になる作品でもあります。単純にシンプルに格好いい作品が出来上がったなって思っているので、気軽に楽しんでいただければと思っています。
──最後に2017年を振り返っての一言と2018年の抱負を教えてください。
栗山:今年1年(2017年)は『牙狼<GARO>』から始まって、『牙狼<GARO>』で終わった1年。また来年(2018年)も『牙狼<GARO>』で始まりそうな1年なんですけど(笑)。2017年、2018年と、ずっと『牙狼<GARO>』のことを考えていけた年なんじゃないかなと思います。
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映画『牙狼<GARO>神ノ牙-KAMINOKIBA-』は1月6日(土)より新宿バルト9ほか全国公開
©2017「神ノ牙」雨宮慶太/東北新社