映画『15時17分、パリ行き』待望の日本公開を迎え、クリント・イーストウッド監督と主演の3人による特別座談会映像が解禁となった。
座談会は、アメリカ空軍下士官スペンサー・ストーン(写真左から2人目)、事件当時学生だったアンソニー・サドラー(写真左)、オレゴン州の州兵アレク・スカラトス(写真右)が緊張した面持ちで待つ中、クリント・イーストウッド監督が登場。若者たちと固い握手を交わした監督が語り始める。
「意識して英雄を取り上げてはいないが。私は人々に立ち向かう強さがあると気付かせたい。このストーリーはまさにいい例だ」と武装した犯人に丸腰で向かった彼らの勇気を讃え、「大参事の可能性があったが、スペンサーは向かっていった。何を考えていたかを聞かれるたび彼は”何も”と答える」と無私の境地で犯人に立ち向かったことを強調する。
アレク・スカラトスが「英雄の話に惹かれる理由は?」と問いかけると、犯人との「対立があるからね。それがストーリーを動かすんだ」と監督が答える。全世界で現象化する大ヒットした『アメリカン・スナイパー』では、米軍最強の狙撃者クリス・カイルが狙いを定める標準の先には、屈強で姿を見せない強力なライバル、オリンピアンのスナイパー、ムスタファがいたことを記憶されている方も多いだろう。
前作『ハドソン川の奇跡』では、不時着水した旅客機救出に向かった実際のレスキュー隊員を起用した経験を持つ監督は、最新作で当事者本人を起用する大胆な試みに挑んだ。スペンサー・ストーンは、自分たちの物語がイーストウッド監督によって映画化され、しかも自分たちが主役を演じることになることを想像すらしなかった。この特別な体験は、実際に事件が起こった場所で撮影されることになった。
「映画は理性よりも感情表現の芸術だ。(事件発生当時と)同じ環境での撮影が彼らの名演を引き出した」と、より自然な演技ができるよう当事者たちを現場へと導いた。事件当時の行動を自問自答し続けたアレクは「確かに当時の心境になれた」と振り返る。アンソニー・サドラーは「監督は撮影中に事実と違わないかを確認してくれた」と、常に“事実を伝えよう”とする巨匠の姿勢に支えられた。スペンサーが「どんどん意見を出すよう励まされたのが大きかった。“ありのままに”と言われたし、全面的なサポートを受けられた」と続け、俳優出身の監督によって初めてとは思えない自然体の名演技を引き出された。
アンソニーが「何に一番プレッシャーを感じた?」問いかけると、「そりゃ監督だよ」とアレクが即答し、隣の監督を指さしながら微笑む。スペンサーは、自分たちを起用する「リスクを冒した監督をガッカリさせたくなくて」頑張ったと微笑む。
「自分が動かされると感じたことは?大きな目的に向けて」、ヴェネチアでスペンサーは意味深な言葉を口にする。この言葉の後、ベルリンで知りあった男の勧めで、予定外のアムステルダムに足を伸ばす。そして、パリへ行くことにした彼らは、15時17分発の特急列車タリスに乗り込む。
アンソニーは「僕は大学4年になる前、アレクは州兵任務直後、スペンサーは遠い国(ポルトガル)に派兵されていた。あの日はまさに偶然が重なった」と、3人か久しぶりに顔を揃えた休暇旅行に思いを馳せる。アレクが「特にあの日、あの列車に乗らなかった可能性も。座席もファーストクラスに移った」と、いくつものできごとがつながって、「3人の普通の男がとんでもない状況に直面した」とアンソニー。
2015年8月21日、特急列車タリスがフランス国境に入った直後車内で異変が起こった。トイレから武装したテロリストが現れ、乗客全員に銃口を向けた。アレクは「あの瞬間のために生きてきた気がした。何か1つでも違えば3人とも死んでいた」と述懐。スペンサーは「僕らは人の役に立つ機会をもらった。時速300キロの列車で逃げ場はない。選択肢は何もせずに死ぬか、勇気を出すか」だ。そして、「スペンサー行け!」というアレクの掛け声で、犯人に向かって突進を開始する。
アンソニー・サドラーは、この映画が「観客に勇気を与えられるといい。危険な状況に遭遇した時、人を助ける行動を起こす。それが一番大事なメッセージだ」と思っている。座談会冒頭で、スペンサーが無私の状態で犯人に向かったことを讃えたクリント・イーストウッド監督は、「具体的でなくていいから、心構えだけしてほしい」と観客にこの映画が放つメッセージを、それぞれの日常で受けとめてもらえることを願っている。
映画『15時17分、パリ行き』は3月1日(木)より全国公開
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