現地時間5月14日、是枝裕和監督の映画『海街diary』が第68回カンヌ映画祭コンペティション部門で公式上映され、是枝監督とともに4姉妹を演じた主演の綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずが華やかなドレスに身を包んで登場した。
『海街diary』は、福山雅治主演の『そして父になる』で第66回カンヌ国際映画祭審査員賞に輝いた是枝裕和監督が、第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞やマンガ大賞2013を受賞した吉田秋生の同名ベストセラーコミックを実写映画化した最新作。邦画では本年度唯一のコンペティション部門出品作で、是枝監督は4度目の同部門参加となる。鎌倉で暮らす3姉妹が疎遠だった父親の死をきっかけに、身寄りのなくなった異母妹と共同生活を送ることになった4人が家族の絆を深めていく姿が描かれる。日本の美しい四季の移り変わりとともに繊細に感情を描写していく本作は、早くも『東京物語』などで世界的に広く知られる巨匠・小津安二郎を引き合いに讃えられている。
是枝監督「今回の作品に限らず、ヨーロッパに作った映画を持ってくると、よく”小津の孫”だと言われて、言ってる側からすると最高の褒め言葉だとよく理解しているのですが、非常にこそばゆい感じが続いていました。今回の作品に関して言うと、確かに原作に讃えられている世界観というのが人間ドラマというよりは、もう少し広い視野で、その人間を取り巻いて流れている時間──その時間がどういう風に過ぎて、過ぎ去っていくのではなく積み重なっていくのか、その感じが確かにちょっと小津的だなと思ったのは事実。なので、役者さんにこれを観てくれと言ったつもりはないんですけども、ぼく自身は何本かの小津の作品を今回は参考までに観たりしながら、今までよりは小津安二郎の映画というものが身近なものとして捉えられたかなと、作り終わって思っています。」「人間中心ではなく、もう少し大きな時間というものを描きたいと思ったので、実は物語の中に登場はしないんだけど存在はしている人間が、この物語は多いんですね。死んでしまった人間や街を離れた人間、そういう人間たちを回想などを使って登場させずに、彼女たちの仕草とか言葉のちょっとした言い方で存在させるというのが、そのことによって物語が見えてないものまで掘り下げられていく、というのが今回のぼくにとってのチャレンジだったので、そこの部分がどう届くのか楽しみではあります」
綾瀬はるか「古きよき日本の暮らし、そこに生きる人たちの強さや美しさ、それとともに日本の移り変わる四季がとても美しいのでぜひ見てもらいたいです」
長澤まさみ「女性の映画というか、女性の美しさが描かれている作品だと思います。私が思ったのは、監督が女性に対してそごく愛情を持っていてくれて、尊敬の念を持って描いてくれていること。女性ってすごいんだなぁってこの映画を見て思いました。そんなところを見てほしいです」
夏帆「鎌倉の四季が美しいのと、その中で生きる四姉妹を中心とした女性たちの物語を監督が本当に丁寧に描いてらっしゃるので、海外の皆さんにどう届くのか楽しみなんですが、みなさんに楽しんで見てもらえたらと思います」
広瀬すず「すごく日本の四季やそこで生きる四姉妹から感じるものがたくさんあって、いろんなことを強く感じてもらえてる作品だと思って、それをみなさんに見ていただきたいと思って、すごくドキドキしています」
【Story】鎌倉に暮らす長女・幸(綾瀬はるか)、次女・佳乃(長澤まさみ)、三女・千佳(夏帆)の香田家3姉妹のもとに、15年前に家を出て行った父の訃報が届く。葬儀が執り行われる山形へ赴いた3人は、そこで父と他の女性の間に生まれた異母妹にあたる14歳の少女すず(広瀬すず)と出会う。父が亡くなり身寄りがいなくなってしまった状況の中、葬儀の場でも気丈に振る舞うまだ中学生のすず。そんな彼女の姿を見た幸は、すずに鎌倉で一緒に暮らそうと提案する。すずはその申し出を受け、四姉妹の鎌倉での新たな生活がはじまるが……。
主演四姉妹のほか、大竹しのぶや堤真一、加瀬亮、リリー・フランキーら実力派キャストが出演。
映画『海街diary』は、6月13日より全国公開。
via:http://www.reuters.com/article/2015/05/14/us-filmfestival-cannes-umimachi-diary-idUSKBN0NZ1XB20150514