「ハイスコアガール」「でろでろ」などで知られる漫画家・押切蓮介の原作「ミスミソウ 完全版」を実写映画化した『ミスミソウ』。4月7日(土)に公開される本作は、東京から田舎に転校してきた主人公が、クラスメイトから壮絶なイジメを受け、復讐劇を描いた問題作だ。
映画ランドNEWSでは、壮絶なイジメを受ける主人公・野咲春花役の山田杏奈、春花を密かに支える唯一の味方・相場晄役の清水尋也、春花へのイジメを指揮するボス・小黒妙子を演じる大谷凜香に、役作りや撮影現場でのエピソード、自身にとってのトラウマ級映画などを伺った。
──原作・脚本を読んだ時の第一印象を教えてください。
山田:私は中学生の時に読んでいたのですが、まず「実写化するんだ・・・」って思いました。結構グロテスクな描写があるのですが、根底には愛情とか憎しみがあって、それがまたその分辛くて。救われないお話だなとは思いました。
清水:…胸クソ悪いなって。最初はそれだけしか思わなかったですね。
──それは原作を読んで?
清水:そうですね。僕はお話をいただいてから原作を読んだんですけど、読み終わってから初っ端、言葉を選ばずに言うと「胸クソ悪いな」って思いました。救われないし。ただ、映画のフライヤーにも書いてあるんですけど「切なくて、美しくて、残酷」。ネガティブな感情の中にも、探せばポジティブな感情があるように、グロテスクの中にも、切なさだったり、儚さだったりっていうものがある作品。だから一言で「グロテスクな作品」とは言いたくないなって思っていますね。
大谷:私はオーディションを受ける前に原作を読んでいて、その時本当にみんなが先に言っていたように誰も救われる人がいない、これこそバッドエンドの作品だなっていう印象をもって。ほんと、ただ一見するだけだったら、全員酷いことをしてる過酷すぎるもので、本当に非現実的な、わたしたちが今居る世界では考えられない世界がそこにあるんだなって印象でした。
──それぞれ本当に難しい役どころだったと思いますが、受けた役とどういう風に向き合って役作りというか、自分の中に落とし込んでいきましたか?
山田:ここまでの復讐劇になるっていうのは普通に私たちの生きてる世界だと、凜香ちゃんが言っていたように考えられないことなんですけど、でもやっぱりその中心に居るのは自分たちと同い年くらいの中学生の男女で。その根底にあるものは、今の年齢特有の葛藤とかと通ずるものがあるので、そこはあんまり拒絶しすぎないようにと思って。でも春花自身はあんまり私自身と違くなく、性格とかが共通してる部分もあったので、そこはそんなに苦労せずに出来たかなって思います。
──自分の感じるままに、出せた部分は出せたという感じですか?
山田:そうですね。私の中の春花のイメージと監督の持ってるイメージが元からそんなに遠くなくて。そこは狂気が生まれてく部分とかは、自分の中で「もし親がそういう目にあったら…」って考えた時に感じる復讐の思いとかも少なからずあるので、それを膨らませて行く作業だったので、そこまで苦労はしなかったですね。
清水:最初に相場を理解しようとしたんですけど、できなくて。理解をしきれればそのまま吸収するだけなんですけど、中途半端に理解をしようとして、中途半端に頑張って寄せて、結果出来ないっていう状況だとどう頑張ってもちゃんとしたものは作れないなって思ったので、1回理解するのをやめて、突き放して距離を置いたんです。1回そこまで振り切っちゃった方が、逆に想像で描けるじゃないけど、「相場はどう思ったんだろう?」って理解するのではなく、相場と関係なく、「これどういうこと考えたらこういう行動になるんだろう?」って自分で想像して、そこを相場に投射してやった感じなので、いつもとアプローチの仕方は違いましたね。
──内藤瑛亮監督とはその辺話しながら進めていきました?
清水:割と僕たちに委ねてくれてる部分がありました。もちろん撮影しているときの都合上、動きだったりとかの指定はあるんですけど、あんまり根本を突かれるような指示は無かったと思いますね。基本最初から委ねてくれてる感覚はありました。
大谷:私は今回の作品が演技から初めてだったので、全くわからなかったですね。他の役者の方々がどうやって役作りされてるのかもわからなかったし。私がいただいた役は、金髪に染めて、中身も180度違うんですけど、でも、カタチから役に入れるタイプだったので、実際金髪にしたことで結構、良い意味で振り切ることが出来たし、実際現場に入ってみて、想像以上に自分が役に対する理解が浅かったんですよ。それを現場に入ってから気付いて、監督さんとお話ししたりだとか、あと泊まり込みだったので、監督さんに毎晩のように指導してもらいましたし、お部屋で杏奈ちゃんにも練習してもらったりもあったし。そうやって現場に入ってからキャストさんとかスタッフさんとか周りの方々と一緒につくりあげていった感じですね。
──現場でもお話しながら役を作っていかれたんですか?
大谷:そんな演技についてはって感じではないんですけど(笑)。
清水:ただ、なんかペンションみたいなところに泊まってたんですけど、3LDKくらいあるんですよ。2人と(大塚)れなちゃんが居て、僕その時男1人だったんですね。だから1人で3LDKに住んでたんですけど。
──1人1棟ずつだったんですか?
清水:いや(笑)男女で1棟ずつだったんですけど、でも男子が居なかったから、1人で3LDKに住んでて。1つも部屋使わずにリビングに居ました(笑)その時に夜、監督と、杏奈も、みんなで何かやってるみたいなのを聞いた時に、「僕は何をしてたんだろう」って、何か凄く楽しそうで羨ましいなって思いました(笑)。
山田・大谷:(笑)。
山田:別に仲間外れにしてたわけじゃないですよ(笑)。
清水:1人でストーブの前で体育座りしてたからね。寒いなーって。
山田・大谷:(笑)。
──他の男性キャストはあとから合流だったんですか?
清水:そのペンションの時は来なかったんですよ。
──別だったんですね。
清水:別のロケ地だった時は居たんですけど。
──結構いろんな所で撮られてたんですか?
山田:群馬と新潟だったんですけど、群馬の時だったっけ?コテージ。
清水:新潟じゃない?
山田:新潟か!新潟のときは清水くんしか男性陣が居なかったから1人だったんです。
清水:2泊3泊くらいしたんですけど、ほんと虫がダメなんです…。
山田:虫!(笑)。
──冬でも虫が出るんですか?
清水:めちゃめちゃ虫でましたよ。
大谷:森の中のお家みたいな感じだったんです。
一同:(笑)。
山田:部屋で1人で居るときに壁に虫が止まって「どうしよう」って思って、キッチンにあるボウルを持って…(笑)。30分くらい虫と格闘した時もありました(笑)。
一同:(笑)。
──雪もだいぶ深くて、真っ白な雪と真っ赤な血で、映像としてはその対比がキレイだったんですけど、すごく寒そうなのは伝わってきて。辛かったり大変だったシーンがあれば教えてください。
山田:でもやっぱり雪の中での戦闘シーンはすごく大変だったんですけど…
──戦闘シーン!(笑)。
一同:(笑)。
清水:今のちょっと面白かったね(笑)。
山田:言葉のチョイスに迷って!(笑)。
清水:めっちゃかっこよく聞こえる(笑)。
大谷:かっこいいね(笑)。
山田:私は結構最後まで切り倒していく役だったので、私はみんなが順番に倒れていくのを見てたんですけど、死体になって雪の中に転がっているのがすごく大変だなと思いましたね。
清水:あー(相槌)。でも(山田は)ずっと出てるから、大変ですよ。やっぱり一番出てますから。
山田:だから最後が終わった時に「あー、やっと終わった」って思いました。
清水:だって最初こんな肌白くなかったですもん。雪のせい…
山田:白くなった?(笑)。
一同:(笑)。
──雪の中での格闘といえば大谷さんですよね。
大谷:そうですね。流美(大塚れな)とのシーンがあるんですけど、あの時は、あのシーン1日では終わらなくて。
山田:そうだ!スタンバイしてたけど陽が落ちちゃったんだ。
大谷:雪の中だから陽が落ちるのが早いんですよ。17時にはもう撮れなくなっちゃうくらい。それで、1日半くらいずっと雪のなかでやってたんですけど、2人ともどんどん血まみれになってくじゃないですか。血糊の量がすごいし、寒いし。凍ってくるんですよ、衣装が。ちゃんとヒーターも用意してもらってるんですけど、全然暖かさを感じなくて。最後、ずっと雪の中で倒れてて…。寒かったし、スタッフさんも上の方の別のところに居るんですね。だから本当に1人でぽつんとずっと倒れてたんですよ。寂しかった…(笑)。終わったとき、お風呂を用意してもらってて、ほんっとに幸せでした(笑)。こんなお風呂で幸せを感じたことないってくらい(笑)。
──清水さんは、やっぱり最後のシーンですかね?
清水:最後のシーンは時間長かったんですよね。流美との戦いが終わって、そのあと2人のシーンがあったので。山奥ではないんですけど、森みたいなところで撮ってたので、控え室みたいなところが無いんですよね。距離があって。ずっと外に居ないといけなかったんです。割とずっと寒い気温にさらされ続けてましたね。ただ最後は役としても精神的に、追い詰められてくシーンなので。
──重要なシーンですよね。
清水:自分がただ寒くて、追い詰められてるシーンと重なって、いい演技が出来たなって。
大谷:確かに!表情的にはすごいリアルな。
山田:確かに!リアルさは出てたなって。
──自分の中でトラウマになっている映画を教えていただけますか。
山田:小学生の時に『アイ・アム・レジェンド』っていう、ウィルスミスさんが主演の映画を観て、小学生くらいだったからトラウマになってるんですけど。世界中で1人だけになっちゃって、ゾンビみたいなのが出てくる話なんですけど。それがとにかく怖くて、トラウマになってますね。
──1人で取り残される的な?
山田:そうですね。今もう一回観てみたいなって思います。たぶん今観たらそうでもないかもしれないですけど、小さかったから(笑)。
──清水さんはいかがですか?清水さんが出演している映画『渇き。』(’13)も結構…
清水:確かにそうですね(笑)。ホラー映画とか結構好きなんですよ。『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』を観に行って、怖いっていうよりかは、急に来るというか…そういうのが苦手で。1回「わっ!」って驚いて大きい声が出ちゃったんです。その驚いたことが、トラウマってよりも、驚いた僕の声を聞いて、僕を見るみんなの周りの目がトラウマです(笑)。
一同:(笑)。
──新しいタイプのトラウマですね(笑)。
清水:すっごい大きい声出しちゃったんで、みんなの目線がトラウマです(笑)。
一同:(笑)。
──大谷さんはどうですか?
大谷:私はホラーっていっても、血とかは大丈夫なんですよ。でも、さっき言ったように、ビックリする方の怖い系が無理で。白い男の子が出てくる『呪怨』ですね。あれを、すっごい小さい頃に観たんですよ。たぶん、家族が好きだったのかな。家で、DVDを借りて観たんですね。お風呂入る時とか、頭から離れないじゃないですか。本当に小さい頃観たはずなのに、未だにシャンプーする時とか、目を閉じてる時に、すっごい頭の中に出てきて。
清水:あー。そういう時、上に居るんだよ(笑)。
一同:(笑)。
山田:私も前に誰かから聞いた!「後ろに居ない時は上に居るんだよ」って誰かに言われました。
清水:それ俺じゃない?(笑)。
山田:それを聞いてから、怖くて(笑)。
インタビューを終えた後も、談笑しながら写真撮影に臨み、ショッキングな本作とは裏腹に仲睦まじい様子をのぞかせた3人だった。
山田杏奈×清水尋也×大谷凜香サイン入り3ショットチェキを1名様にプレゼント
【応募期間】2018年4月5日(木)〜4月13日(金)正午まで
【当選人数】1名様
【応募方法】映画ランドアプリをダウンロード→該当するSNS投稿を拡散→応募フォーム入力
映画『ミスミソウ』は4月7日(土)より新宿バルト9ほか全国公開
©押切蓮介/双葉社 ©2017「ミスミソウ」製作委員会
山田杏奈
ヘアメイク:Raishirou Yokoyama
スタイリスト:YU SUGIURA
清水尋也
スタイリスト:masataka hattori
ヘアメイク :MOTOKO SUGA
大谷凜香
ヘアメイク:千葉 智子
スタイリスト:田中 安由美