町山智浩「この映画は強烈ですよ!!」、裏話満載『ゲティ家の身代金』トークイベント

映画『ゲティ家の身代金』公開記念トークイベントが7日、都内にて行われ、映画評論家・町山智浩が登壇した。

ゲティ家の身代金

“世界中のすべての金を手にした”と言われた【世界一の大富豪】石油王ジャン・ポール・ゲティ。1700万ドルという破格の身代金を要求されるも、50億ドル(当時のレートで約1.4兆円)の資産を持つゲティが、その支払いを拒否したことが有名で、日本の新聞、週刊誌でも大きく報道された。

だが、この事件の裏側で、誘拐犯と身代金を拒むゲティの間で戦い続けた人質の母親がいたことはあまり知られていない。離婚で一族を離れていた一般家庭の母は、いかに2つの強敵に立ち向かったのか。実話に基づく、華麗で異常な傑作サスペンスが誕生した。

誘拐されたポールの母親アビゲイル・ハリス(以下ゲイル)役のミシェル・ウィリアムズをはじめ、マーク・ウォールバーグ、クリストファー・プラマーが共演。監督を、『エイリアン』『ブレードランナー』『オデッセイ』『グラディエーター』などハリウッドで数々の金字塔を打ち立ててきた巨匠リドリー・スコットが務める。

町山智浩「この映画は強烈ですよ!!」

劇中に使用されているZOMBIESの「Time of the Season」について、町山は「この歌は歌詞の中で“who’s your daddy”という部分があるのですが、『お金持ちのお父さんがいるよ』という意味で、歌詞が内容とリンクしているんですよ。リドリー・スコット監督が使う劇中に使用している楽曲は必ず意味があるので、そこにも注目して見てください」と見どころを説明。

さらに、完成のかなり前からリドリー・スコット監督にインタビューができる予定だったという町山は、「12月のクリスマス公開予定だったが、ケビン・スペイシーのセクハラ問題で、10月くらいに、公開できないかもという話があって、映画が公開できないかもしれないとなりました。普通であれば、このまま中止か、長い時間をかけて取り直すところですが、彼は一ヶ月前から、急遽撮り直し、そのままの日程で公開したので、すごいです。しかも、取り直しのシーンは、10億円かかっていると言っていましたね」と映画内容同様、異次元の金額感の話も飛び出した。

また、リドリー・スコットに、ケビン・スペイシーのことをどう思うかを聞いたという町山は「“行方不明で見つからず、弁護士としか連絡がとれないから、ぶっ殺したいよ!”と言っていましたよ!彼は、巨匠という感じではなく、メイキングでは、Fワードをやたら言うおじいちゃんなんですよ」と話すと、会場は大きな笑いに包まれた。

ゲティ役は元々クリストファー・プラマーだった?

キャスティングについて「監督はゲティ役を元々クリストファー・プラマーで予定していましたが、映画会社から人気のあるケビン・スペイシーでと言われ、キャスティングされたので、結果として変更になり良かったので喜んでいました。ただ、全て同じ構図で取り直したにも関わらず、違う映画になってしまったと言っており、ケビン・スペイシー版は、冷酷非情の金持ちに見えるが、クリストファー・プラマー版は、人情を感じる人柄となっています。そんなクリストファー・プラマーはまったく本人について調査せず、ケビン・スペイシー版のフィルムも見ず、台本だけ読み、自分の解釈で演じたと語っていますが。それでアカデミー賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞のノミネートでもオファーから一ヶ月ないというスピードというのだから、本当にすごいです」と、彼の演技力を裏付ける話も語った。

続けて、MCから「今から45年前に実際に起きた事件ということですが、アメリカでは相当有名な事件なんでしょうか」と聞かれた町山は、「犯人から、誘拐された息子の耳が送られてきた段階で、日本でも大きく報道されていました。アメリカでも、『クリスマスキャロル』のスクルージのような“とんでもないケチ親父”ということで有名で、クリスマスに公開する意味は、スクルージなんだという意味もあるんです。リドリー・スコット監督が本作を撮ろうと思った理由も、“母が頑張った”というところに惹かれたからで、監督の頭の中には、シェイクスピアの『リア王』があり、末娘のコーデリアを裏に見たとも言っていました」と本作のモデルとなった作品についても触れた。

リドリー・スコットに脅迫状!?

さらに、「この作品は、見終わった後、登場人物がその後どうなったかを調べると、さらに面白いですよ。ゲティは孫が14人、奥さんが5人いますが、どの奥さんとも一緒に暮らしておらず、子供ができると捨てていくような人物で、お金を持っているが寂しい男を表す象徴的なセリフもあるので、注目していただきたいです」と注目ポイントについても話し、リドリー・スコット自身に実在する当時の誘拐犯のグループ(イタリアのカラブリア州を仕切っている”ンドランゲタ“)から、脅迫状が届いたという衝撃のエピソードも飛び出し、町山は「彼らの組織は、世襲制になっており、レストラン等も含め経営し、街の経済を仕切っている上に、イタリアのGDPの3%は彼らの組織で、国家権力も刃向かえないんです。それを踏まえて見てみるとさらに楽しめます。また、本作の原題である『All the Money in the World』は、「世界中のお金があっても、◯◯は買えない」などに使うイディオムでもあり、まさにゲティを象徴しているんです」と原題の意味について説明すると会場から、感嘆の声が。

最後に町山は「この映画は強烈ですよ!!目ん玉開いてガッツリ見てください。タランティーノですら、カメラをよけたシーンが、“俺はそんなぬるいことはやらねえ!”と言って撮ったやんちゃ親父の強烈な作品です」と、これから作品を鑑賞する観客を煽り、イベントは幕を閉じた。

映画『ゲティ家の身代金』は5月25日(金)より公開

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