絶賛公開中の映画『ビール・ストリートの恋人たち』より、バリー・ジェンキンス監督の映像センスと美しい音楽に聞き惚れる幻想的な本編映像の一部が解禁された。
映像は、若きカップルのティッシュとファニーが、ついに新居を見つけ、ともに2人で暮らせることの喜びを分かち合う様子が切り取られた美しいシーン。セリフがほとんどなく、長回しで撮影された印象的な映像にのせ、主人公たちの喜びに寄り添ったあたたかな旋律が流れ、映画作りにおいて、音響は最も重要なものの一つだと語るジェンキンス監督の言葉を裏打ちする美しいシーンとなっている。
「映画学校で学んでいたときの恩師に、リチャード・ポートマンがいる。彼はロバート・アルトマンの作品などで、マルチトラック録音を開発した録音技師だ。最初の授業で彼は言った。“観客が観る映画の50%は映像で、50%は音響だ。95%の映像と5%の音響ではない”と。」と、今も学生時代の教えを教訓にするバリー・ジェンキンス監督が、観客を主人公たちの生きる70年代のニューヨークへ誘うげ幻想的な音響を作り上げた。
音へのこだわりは劇中で流れる音楽だけではなく、音響設計にも及んでおり、物語上のセリフは前方から聴こえるように、そしてモノローグという形で物語を進めていく“神の声”とも呼べるティッシュのボイスオーバーは、観客を包み込むよう工夫を凝らして音響設計したという。
原作者であるボールドウィンもブルースやジャズのファンとしても知られ、原作本の中にも音楽に関する記述が散見されることから、ジェンキンス監督は、企画当初ボールドウィンの原作の通りジャズを本作でも使うつもりだったというが、登場人物たちのキャラクターをより強く表現すべく、重要な音楽を『ムーンライト』でもジェンキンス監督と組み、前作に続き今作でも本年度アカデミー賞作曲賞にノミネートされた音楽監督ニコラス・ブリテルの手に委ねた。
そんな監督の期待に応え、ブリテルは本作で描かれる極上のラブ・ストーリーにふさわしく、そしてこの映画のメッセージを表現する、ジャズと管楽器を用いたロマンティックなスコアを用意。監督の手によって生み出される洗練された映像美を彩る、最高のスパイスとなっている。
ジェンキンス監督は「この物語は、ロマンスの喜びと社会制度の抑圧感を描いたものだ。伴奏やメロディは感情をある地点からまた別の地点へと運んでくれる。また、同じ音楽が異なる感情に再利用されることもある。例えば、喜びから鬱屈した思いへ、など。ニックとの共同作業はとてもオープンで有機的だった。今作では、ブラック・コミュニティにおける愛のステージ、愛を受けて応え、愛に呼応し変化するといったいくつかのステージが描かれる。彼の音楽には、それらを表現してもらいたいと思っていた。」と当時を振り返っている。
映画『ビール・ストリートの恋人たち』はTOHOシネマズシャンテほか全国公開中
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