大ヒット上映中の映画『運び屋』。映画界のレジェンド、クリント・イーストウッドが演じる90歳の運び屋アール・ストーンには、現代を生き抜くためのヒントが隠されている!?我が道を行く主人公が愛される3つの秘訣は「人助け」「コミュ力」「アドバイス」。
映画『運び屋』は待望の日本公開を迎え、初日のアンケート調査では20代の良かった指数が94%、10代が95%となるなど、映画ファンだけではなく若い世代からも熱い支持を集め、大ヒット上映中だ。
今、映画界にはレジェンド旋風が吹き荒れている。先月公開された『メリー・ポピンズ リターンズ』には、『メリー・ポピンズ』(1965)で親友バートを演じたディック・ヴァン・ダイクが出演。半世紀の時を越えて93歳のレジェンドが机の上でタップダンスを披露するチャーミングな姿が話題となった。また、イーストウッドと同じ88歳のジャン・リュック・ゴダールも健在、昨年のカンヌ国際映画祭で特別賞を受けた『イメージの本』の公開が控える。
そしてレジェンド、イーストウッドが『グラン・トリノ』以来10年ぶりに監督・主演した『運び屋』で演じるのは、90歳の運び屋アール・ストーン。運び屋と聞くと凶悪な人物を想像しがちだが、その素顔はいたって普通の“おじいちゃん”。茶目っ気たっぷりで巨大麻薬組織の強面のマフィアたちをも手なずけ、運んだ報酬で友人を助ける慈善家の一面もあり、どこに行っても愛されるキャラクターなのだ。そんなアールには、困った老人を指す「老害」という言葉もよく耳にするが、『運び屋』には「愛され力」で現代を生き抜くヒントがたくさん隠されている。
様々な人からなぜか愛される秘訣は、親切でコミュニケーション能力が高い「コミュ強」なアールの人柄に隠れている。運び屋の仕事を始め大金を得たアールは、家族のためだけではなく、多額の寄付をしたり、火事で閉店に追い込まれた退役軍人クラブに費用を出したりと、人助けのためにお金を使う。運び屋の仕事中もマイペースで、困った人がいたら車を止め、とにかく人助ける労力を惜しまない。さらにアールを監視するためにお目付け役のマフィアたちにも全くひるまない。アメリカで一番のポークサンドを振る舞い、メキシコ人である彼らが職務質問されると、とっさの機転でかばい警官を納得させてしまう。また、人生の先輩として、若者たちに対するアドバイスを贈る場面も。組織に縛られてるお目付け役のマフィアに「やりたいことをやった方がいい」と助言する。追う者と追われる者が会話するブラッドリー・クーパーとの共演シーンでは、自身の苦い経験を踏まえて「最も大事なのは家族」だと伝え、思わず涙がグッとこみ上げる。
アール・ストーンは、誰の前でも変わらない。強面のギャングにも憶することなく接し、困った人がいたらすかさず手を差し伸べる。数々のアドバイスで人生の先輩としての顔も見せる。12年間も口を利かなかった娘には素直に謝る謙虚さも持ち合わせている。時に予期せぬ行動で相手を振り回してしまうこともあるが、こんなアールの生き方は、「愛されジジイ」になる秘訣が満載だ。
一時は俳優引退を宣言していた映画界のレジェンドが、人生の機微を滲ませ演じる90歳の生きざまには、現代社会を生き抜くためのヒントが詰まっている。その「愛され力」をぜひ劇場でご覧いただきたい。
映画『運び屋』は大ヒット公開中
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