映画『楽園』完成披露イベントが5日、都内・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われ、キャストの綾野剛、杉咲花、佐藤浩市、片岡礼子、監督の
「悪人」「怒り」など映像化が続くベストセラー作家・吉田修一の原作「犯罪小説集」を、『64-ロクヨン-』などで知られる瀬々敬久監督が映画化。ある地方都市で起きた少女失踪事件。家族と周辺住民に深い影を落とした出来事をきっかけに知り合った孤独な青年・豪士と、失踪した少女の親友だった紡。事件から12年後に再び同じY字の分かれ道で少女が姿を消して、事態は急変する。
「日本の作品を世界に持っていきたい」映画『楽園』海外から注目
世界三大映画祭の一つ、第76回ヴェネチア国際映画祭公式イベント「ジャパン・フォーカス」の正式出品も決定しており、10月の日本公開を前に海外からも熱い注目を集めている本作。
同映画祭の記者会見とレッドカーペットセレモニーに出席した村上虹郎が「日本映画の良さをもっともっと伝えていきたい」とコメントしたことに、綾野は「素直に嬉しいですよね。国際映画祭はいろんな国の作品が集まるわけで、虹郎くんが言うように、日本の作品を世界に持っていきたいと強く思っていました。そういった映画祭という場所がもっともっと豊かになっていけばいいなぁと思います」と胸中を明かした。
綾野剛、杉咲花に“紳士な振る舞い”
共演シーンの多かった綾野と杉咲。「ずっとご一緒したかった」と言う綾野は、「過去のドラマでワンシーンのみ共演したことがありましたが、ちゃんと感情あるお芝居をしたことがなかったので願いが叶ってよかった。杉咲さんと同じベクトルに向かっていけたのはすごくよかった。またすぐに共演したいですね」とコメント。
杉咲は「現場でお話しできることはないのかな〜と思っていたのですが、『花おいでよ』『横座りなよ』と言ってくださって、映画とは関係のない楽しいお話をいっぱいしてくださいました。撮休の日には美味しいご飯に連れて行ってくださったり、誕生日にはプレゼントを2つもくださった。それもすごく嬉しくて、本当に優しくしてくださいました!」と満面の笑み。紳士的な振る舞いを明かされた綾野は、照れ笑いを浮かべつつ「選べなかったんです!ご本人に選んでもらうのが一番いいなと思ったんですが、『悩みます〜』って言ってて…『じゃあどっちも!』ってプレゼントしました」とはにかんでいた。
片岡礼子が佐藤浩市に感謝「恩返しの気持ちを含め…」
佐藤は片岡との共演に「2人で7時間くらい露天風呂に入って撮影をしていました。全部見えちゃうのでお湯を乳白色にして…すごい切ないシーンなんですよ」とエピソードを披露。
20年前に脳出血で倒れ、長く映像の舞台から退かざるをえなかった片岡。20年前にある映画の授賞式にて2人で司会を務めたことを回想しながら「あまり体調の良い状態ではなかった。全部おんぶに抱っこで浩市さんがやってくださって…今回共演させていただく中で、恩返しの気持ちを含め『とにかくついていくぞ!』と、いろんな思いとともに役に真摯に挑みました」と振り返った。
綾野剛「“表情”を大切に紡いで観ていただけたら」
吉田修一の原作「犯罪小説集」の短編を、タイトル「楽園」として映画に昇華させた瀬々監督。「昔から吉田修一さんの作品が好きで、念願叶って映画化できました。元々が短編集、そのうちの2篇をアレンジさせてもらいました。ふと『楽園』というタイトルが思いつき、吉田さんの別作品にも『楽園』というものがあるのですが、吉田さんと相談して『良いじゃないですか』となり決まりました」と意図を明かす。
佐藤も「人それぞれに『楽園』と思える場所がある。『楽園』という言葉にいろいろな情景があり、その反面、残酷な響きもあると思います。僕は監督のつけたタイトルの『楽園』にすごく感謝しています」と語る。綾野・杉咲・片岡も「おっしゃる通りです」と同意見だった。
最後に綾野は「この作品に生きている人たちの“表情”を大切に紡いで観ていただけたら嬉しいです。表情に、その瞬間瞬間が写り込んでいて、その瞳の奥に何か皆さんが感じたものを投影していただけたら幸いです」とメッセージを贈り、イベントを締めくくった。
映画『楽園』は10月18日(金)より全国公開
(C)2019「楽園」製作委員会