『ジャングル・ブック』 伊勢谷友介、映画の持つメッセージ性明かす「恐れによる暴力が一番情けない」

映画『ジャングル・ブック』先行上映会 舞台挨拶が10日、都内・丸の内ピカデリーにて行われ、日本語吹替を務める松本幸四郎、西田敏行、宮沢りえ、伊勢谷友介が出席した。

ルドヤード・キプリングの同名小説を原作とする名作ディズニーアニメーションを実写映画化した本作。赤ん坊の頃にジャングル奥地に取り残された人間のモーグリが、黒豹のバギーラや母オオカミのラクシャ、クマのバルーらに囲まれ、ジャングルの掟とともに雄々しく成長していくさまを描く。モーグリ役に抜擢されたのは、2000人ものオーディションから選ばれた12歳の新人ニール・セディ。個性豊かな動物たちの声をベン・キングズレー、ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン、クリストファー・ウォーケンら豪華キャストが演じる。監督を「アイアンマン」シリーズのジョン・ファヴローが務める。

ジャングル・ブック

ジャングルに取り残されていたモーグリを救い、自然の厳しさや生き抜く知恵を授ける黒豹のバギーラの声を演じる松本は、「この映画を観てお気づきになると思うのは、動物たちには無駄がないこと。人間は頭で考えすぎて、ちょっと余計なことも無意識に取り入れてしまっている。『ジャングル・ブック』にある掟は、人間が作るものとは違う“何か”が作った掟なんです。我々人間も同じ生きている生物として、その掟というものをもう一度考えさせられる」と本作の持つメッセージ性を語った。続けて、「ラストのシーンを観たとき、『奇跡』というのは手をこまねて待っているものではないなと思った。みんなが力を合わせて、一人一人が起こすものだと感じました」と熱く語った。

ジャングル・ブック

モーグリを深い母性愛で包み込むオオカミのラクシャ役の宮沢は「モーグリをオオカミの子供と共に、分け隔てなく、区別なく愛せる心の深さを持っている。一言で表現するなら『博愛』ですね」と語り、「私も常にそういう気持ちを持っていたいです。自分の娘だけではなく、それを超えて人を愛せる人でありたい」と胸中を明かした。

ジャングル・ブック

一方、人間に対して激しい復讐心を抱くトラのシア・カーンを演じる伊勢谷は「僕は本当にシア・カーンが嫌いなんです!この映画を観てすごく感じたのは、ジャングルとはいえ人間模様、あるいは国同士の関係が見えた」と明かし、「シア・カーンは人間に与えられた傷から彼らに恐れをなしてて、なのでそれを暴力で収めようとする。なんか戦争の在り方ってこういう形から行われてきていると思うんです。100年前に描かれた話の中に、シア・カーンのようなキャラクターがいて、未だに戦争が起こっている国々がある。人間が一番取り除かなければいけない恐れによる暴力、これは一番情けないですね」と述懐していた。

ジャングル・ブック

また、モーグリと親友のような関係を持つ陽気なクマ・バルーを演じる西田は「この映画を作る時に、監督がバルーをイメージしたのが宮崎駿さんの『となりのトトロ』のトトロだそうです。僕も声をやらせていただいているうちに、『トトロっていうのはありだな』と自分でも思いましたね」と笑顔。「やっぱり隣にいつもそばにいる、あいついなくなると寂しいし、いてもそんなに役に立つわけではないですが、ありがたい存在ですよね。モーグリにとって“トトロ”のような存在だったのかな」とコメントした。さらに、唯一歌うキャラクターを演じた西田が、劇中で披露した歌声をアカペラでサプライズ披露すると、観客は大きな拍手で喜んでいた。

ジャングル・ブック

フォトセッションでは、大ヒットを祈願して鏡開きが行われ、清涼感あふれる巨大な氷のタイトルパネルとともに写真撮影に臨んだ。

映画『ジャングル・ブック』は8月11日より全国公開

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