2016年11月12日(土)の劇場公開以来、1日も途絶えることなく映画館での上映を続けているアニメーション映画『この世界の片隅に』。この度、本作に新規場面を付け足した別バージョンが、2018年12月に公開されることがわかった。
片渕須直監督によるタイトル案を、原作者・こうの史代が快諾した新タイトルは『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』。片渕監督は、原作にはまだまだ魅力的なエピソードがあり、それを描き足すことによって主人公のすずさんだけではない、「さらにいくつもの人生」を描き出したいと考え、この度の制作に至った。本バージョンが制作できるのも、現行版『この世界の片隅に』を支えてくれた人々のおかげであると、感謝し続けている。
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』では、前作に引き続き主人公・すずをのんが演じ、音楽をシンガー・ソング・ライターのコトリンゴが担当。今作でも主題歌を含む全ての劇中曲を担当し、新曲も制作予定だ。
新規シーンの絵コンテは、通常のアニメ作品と同じように、企画当初から存在はしていたものの、本バージョンでは、それらを見直しながら復活させ、更に新たなカットも加えている。これまでの現行版とは、一部主題も変わってくるため、別の題名をつけた「もう一本の映画」として制作することになった。
本作では、主人公すずと、すずが嫁ぎ先の町で初めて出逢う同世代の女性リンとの交流を描いた、昭和19年秋と昭和20年冬から春にかけてのエピソード、さらに妹すみを案じて過ごす中で迎える20年9月の枕崎台風のシーンなどが追加される。新しい登場人物や、これまでの登場人物の別の側面なども描かれ、彼女たちの心の奥底で揺れ動く複雑な想いが描き出される。
片渕監督自らが制作した特報映像では、コトリンゴが歌う「悲しくてやりきれない」の歌に乗せ、指につけた紅によってリンさんの横顔が描かれていく。さらに「リンさんをさがして。そう、うちの声が言うのが聞こえた…」というすずさんの声が新たに収録されており、より深い物語を予感させる仕上がりに。
片渕須直監督 コメント
戦争しおってもセミは鳴く。ちょうちょも飛ぶ。そして、人には人生がある。それが戦争中であっても。明るくぼーっとした人のように見えるすずさんが自分以外の「世界の片隅」と巡り合うとき、すずさんの中にはどんな変化が生まれるのでしょうか。すずさんの中にあったほんとうのものを見つけてください。
映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は12月に全国公開
(C)2018こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会