9月7日(金)に公開される映画『ブレス しあわせの呼吸』より、主演アンドリュー・ガーフィールドのインタビューが到着した。
1950年代にアフリカでポリオに感染したロビン・カヴェンディッシュと、その妻ダイアナの激動の半生を描いた本作。主人公ロビンに『アメイジング・スパイダーマン』『ハクソー・リッジ』などで知られるアンドリュー・ガーフィールド、ダイアナ役にクレア・フォイが扮するほか、トム・ホランダー、ヒュー・ボネヴィルが共演。監督は、『ホビット』シリーズの第2監督を務め、今回が初長編監督デビューとなるアンディ・サーキスが務める。
──初めて本作の話が来たときのことを教えてください。
アンドリュー・ガーフィールド(以下、アンドリュー):僕は旅行中で、返事がすぐに欲しいと言われたのを憶えている。早速脚本を読んだところ、たくさん泣いて、大好きになった。このストーリーに感動したんだ。ロビンとダイアナの足跡をたどりながら、どう生きるべきかのロードマップのように感じられたんだよ。“運命がもたらす状況の中で、どうやって喜びに満ちた生き方をするのか”と、心を大きく動かされたんだ。
他によくある実話とは全く違うものに感じられた。甘ったるいとか、感傷的といったような感じは全くなかった。とても正直で、具体的で、知恵に溢れていた。“どう生きるか”という問いに答えてくれる。そして、喜びがある生き方を歩めるだろうかという問題がある。それが僕の関心を引いたんだよ。僕は電話で監督のアンディ・サーキスと話し、いくつか気にかかることを伝えた。アンディは僕が抱いていた懸念を素早く静めてくれた。これがただの伝記映画になること、つまり、伝記映画によくある展開になることは嫌だと思った。アンディは、“いや、僕たちが作るのはそういう映画じゃない”と言ってくれ、それを聞いてほっとしたんだよ。
──脚本について具体的に教えてください。
アンドリュー:ウイリアム・ニコルソンの脚本を読み、ただただ圧倒された。僕をキャスティングしたいと言われたら、絶対に受けるべきだと思った。そういう気持ちになるのは珍しい。特に脚本を読んだだけではね。ウイリアムの脚本は美しくて詩的で、穏やかに展開していく。どのキャラクターもすごく愛しくてね。まるで魔法にかかったように夢中で読んだ。脚本は魔法であふれてた。そのあとジョナサン・カヴェンディッシュ(本作プロデューサーで、映画で描かれる夫婦の息子)とロスで会ったんだけど、魔法はさらに強くなった。ジョナサンのご両親への一途な愛情と、プロデュ―サーとしてこの映画にかける情熱を、ひしと感じたんだ。そして、僕が父親役に適任だと思ってくれていることに胸がいっぱいになったよ。
──身体面の演技についてはいかがでしたか?
アンドリュー:ロビンという役は身体の面で制限があって、大変だった。でも解放感もあった。一番おもしろい経験をしたのは、クレア・フォイだと思う。クレアはロビンの妻のダイアナ役で、ロビンの手足となって動く。ロビンはダイアナを通して世の中とつながるんだ。そうやって妻に頼るのは、男にとって、特に強い責任感とリーダーシップを持ち、順調な人生を歩んできた男にとっては、自尊心が押しつぶされるような気持ちだっただろう。自分の男としてのアイデンティティを手放さなければならなかったんだから、本当にキツかったと思う。でも次第に、解放感も感じていったはずだ。
──アンディ・サーキス監督とジョナサン・カヴェンディッシュについて教えてください。
アンドリュー:アンディはエネルギッシュで陽気で、常に人生を楽しんでいる。そして繊細な監督だ。僕は、俳優の経験のある監督と仕事をするのが好きだ。演じるというプロセスがいかに複雑で、不可能なこともあるということを、本質的に理解してくれているからね。俳優をやったことがある人にしかわからないことだ。それにアンディはこの物語に惚れ込んでいて、どんなトーンでどんなタッチの作品にしたいのか、明確なビジョンを持っている。プロデュ―サーのジョナサン・カヴェンディッシュをとてもよく理解しているんだ。
ジョナサンはそう、この映画の主人公、ロビンとダイアナの1人息子だ。だから僕たちがジョナサンとそのご両親の人生を演じている現場に、ジョナサンがいるのは、とても特別なことだった。果てしなく感動的だったよ。僕たちをこの物語に参加させてくれたこと、いや、まず、自分の人生を公にし、この物語を語ろうと思ってくれたことに、とても感謝している。
僕とクレアは、ロビンとダイアナが生きた人生に値するような演技をしたいと思っていたので、いつもジョナサンに指導を仰いだ。それは、2人は実際にこれをどうやったのかとか、ロビンの肺が呼吸器で動かされている時にはどんな感じがしたとか、ロビンはどんな表情をしていたのかとか、ロビンはその呼吸でどんなことを体験したのかとかね。だからジョナサンが近くにいてくれて、とても協力的だったことですごく助かった。
──クレア・フォイとの共演はいかがでしたか?
アンドリュー:俳優として、人間として、この作品のキャラクターとして、クレアと僕が互いの中に何をみつけたのか、言葉では言い表せない。アンディとジョナサンは賢明なキャスティングをしてくれたと思う。実は今回共演するまで、僕はクレアの出演作を観たことがなかったんだ。だから彼女の才能や能力や技量はもちろん、彼女の本質や、自身に見出したダイアナの本質を目の当たりにして圧倒された。この作品に参加したおかげで、そんな素晴らしい経験ができたんだ。クレアの精神、寛大な心、表情や動きで愛情を表現する力に感服した。クレアは無償の愛情を注ぐことができる人なんだ。クレアといると、果てしなく自由になれる。それは僕たちが、ロビンとダイアナの結びつきを感じるために、絶対に必要なことだ。
ロビンとダイアナの結びつきは、結婚やパートナーシップという概念における結びつきを超えていた。2人は恋愛や愛情におけるパートナーであるだけでなく、ダイアナはロビンの介護士であり、看護師でもあったからね。トイレに行くときも、風呂に入るときも、ロビンにはダイアナの助けが必要なんだ。でも実際にダイアナ・カヴェンディッシュさん本人に会ってみると、そういうことは全く苦にしていなかったんだと感じた。彼女は僕がこれまで会った中で、最も人間的に素晴らしい人の1人だよ。クレアはそういった本質を見事に捉えて表現しているね。クレアの話になったら、僕は止まらなくなってしまうよ(笑)
映画『ブレス しあわせの呼吸』は9月7日(金)より角川シネマ有楽町ほか全国公開
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