『怒り』宮﨑あおい、 “おとうちゃん”渡辺謙との共演に寂し涙「娘を一回でも演じられて幸せ」

映画『怒り』初日舞台挨拶が17日、都内・TOHOシネマズ日劇にて行われた。この日、主演の渡辺謙をはじめ、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮﨑あおい、妻夫木聡、李相日監督が登壇した。

怒り

本作は、現場に「怒」の血文字が刻まれた未解決の夫婦殺人事件から1年後を舞台に、前歴不詳の3人の男が千葉・東京・沖縄に現れたことから巻き起こる群像ミステリー。主演の渡辺謙を筆頭に、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮﨑あおい、妻夫木聡が共演する。『悪人』の原作者・吉田修一と監督・脚本を務めた李相日が再び本作でタッグを組み、音楽を坂本龍一が担当する。

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トークは観客との質疑応答形式で行われた。まず、妻を亡くし、千葉の漁協で働く宮﨑扮する愛子の父・槙洋平を演じる渡辺へ「これまでクリント・イーストウッド監督やクリストファー・ノーラン監督とタッグを組んでおりますが、そんな渡辺さんから見た李監督の魅力は?」という質問が。渡辺は「映画評論家の方ではないですよね!?」と笑いを誘い、「クリントにしてもノーランにしても、それぞれ手法が全く違う監督。李相日監督とは前作『許されざる者』に続いてご一緒したんですが、彼は特に役を作って何か表現する、その先にある何かが出てくるまで待つ監督」と述懐。

「彼は正直に役者と向き合ってくれる。この役に関しても、僕の中にあまりない心情がたくさんあったんです。例えば親としての嫌な感情が心開くまで、監督はそれを待ってくれる。その全てが空気の中に醸し出されていて、僕はそれを『許されざる者』で感じていたので、今回は『やります』ではなく、『いつから?』と答えました」と真摯に語った。

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続いて、千葉篇にて渡辺&松山との共演について質問を受けた宮﨑は「松山君とは、10年前くらいに一度共演していて、その時はとても線の細い少年のような役柄でした。『年下で物静かな男の子』という印象を受けたんですが、今回改めてお会いしたら、実は年上で(笑)とてもおしゃべりが好きで飄々としていて、思ったことは全て言葉にしてくれる気持ちのいい方でした」と笑顔をのぞかせた。松山は「昔ある女優さんと『今まで会った一番変人な役者さんは誰?』という話になって、その女優さんはあおいちゃんのこと言ってました。その時はわからなかったんですが、今回共演してよくわかりました(笑)だから愛子を演じられたと思うし、素晴らしい女優さんです」と暴露し、会場からは笑いまじりに拍手が起こっていた。

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また、渡辺との共演に「おとうちゃんとは...今とても寂しくて」と言葉を詰まらせながら、「今日から映画が始まって、皆さんの元に届けられるのはすごく嬉しいんですが、『明日からもうおとうちゃんに会えないんだな』と思うと寂しい思いがあって。現場でもすごく支えてくださった。『おとうちゃんについていけば大丈夫だ』という安心感、私は謙さんの娘を一回でも演じられたことを幸せに思っています」とこみ上げる想いを明かした。渡辺は「『この役をやろう』という彼女の覚悟を見届けたいと思った。短い時間でしたが、本当に楽しい時間を過ごさせていただきました。また連絡くださいね」と笑顔でメッセージを贈った。

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一方、「ゲイの2人が気になってた」という観客から、妻夫木と綾野へ「一緒に過ごしていて何か気づいたことはありますか?」との質問が。綾野は「大事にしていたのはお互いにマイノリティであること。(劇中で)正面を向き合うことはなかった。いろんなジレンマを抱えながら過ごしていく中で、お互い正面を向いてしまうと鏡のように相手に知らしめることになってしまうから」と答え、「一緒に暮らしていて思ったのは、すごく単純で普遍的ですが『ただいま』『おかえり』を言える相手がいること。改めて大切なコミュニケーションだなと思いました」と明かした。

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また、本作でこれまでにない役柄を演じきった広瀬は、苦労した点を聞かれ「監督との闘いでした(笑)」と吐露。共演した森山は「現場で何度も監督とリハーサルをしてて、すずちゃんがどんどんくしゃくしゃになっていく姿を見ていた。でも瞳だけはキラキラしていて、ずっと巨人の李さんを見上げてるのが印象的だった。僕らが演じるのはアンノウンな存在なので、あまり近づけない環境だった。僕はすずちゃんがくしゃくしゃになっていくのを見ていることしかできなかったので、心中お察しします」と苦労をねぎらっていた。

イベントでは、本作の大ヒットを祈願して鏡開きが行われた。18歳の広瀬には沖縄の名産「シークワーサージュース」が振る舞われた。

映画『怒り』は全国東宝系にて全国公開中

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