【厳選7作品】たまには、 深い映画でも。

8月もあと少し。次第に夜が早くなり、“秋の夜長”なんていわれています。

花火大会や海水浴といった楽しい夏が終わり、秋になると妙にしんみりしたり、物思いにふけることはありませんか? 今回はそんな秋にピッタリのじっくり考えられるような深くて心に残る映画をご紹介します!

◼︎1:ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000)

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──明るく楽しいだけが、ミュージカルではない

ミュージカル映画といえば……『雨に唄えば』『サウンド・オブ・ミュージック』のような明るく楽しいイメージを抱きがちですが、この映画はそのイメージを覆してくれます。
失明してしまう遺伝性の病気をもつチェコの移民・セルマ(ビューク)は、息子が同じ道を歩まぬように、工場で働きながら必死に目の手術費用を貯める。しかし、ある者にお金を盗まれてしまい、さらにはその事件が原因でセルマは死刑を宣告される。セルマは辛い現実から逃避するように、空想の中でミュージカルを繰り広げる……。
母親の無償の愛、そして社会の不条理さについて深く考えさせられる作品です。2000年カンヌ国際映画祭でパルム・ドールや最優秀女優賞を受賞しています。

◼︎2:パンズ・ラビリンス(2007)

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──過酷な現実から、空想の世界へ

きらびやかで夢が溢れていそうなジャケットですが、実はダーク・ファンタジー映画。
スペイン内戦下、独裁政権軍の大尉と再婚し妊娠中の母に連れられ森の中にある砦に移り住むことになった空想好きの少女オフェリア(イバナ・バケロ)。冷酷な義父ヴィダル(セルジ・ロペス)はオフェリアには目もくれず、生まれてくる子供ばかりを気にかける。やがてオフェリアは残酷な現実から逃避するように、森の中の不思議な迷宮へと迷い込んでいく……。
戦争の苛酷さから空想の世界に逃避する少女の姿に思わず心打たれるのではないでしょうか。衝撃的なラストは、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか意見が分かれるので、是非考えながら見てみてください。

◼︎3:野火(2015)

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──戦争にきれいごとなど、一切ない。

お涙頂戴な美談は一切なしのこの映画にあるのは、狂気のみ。
第2次世界大戦末期の極限状態の兵士たちを描いた塚本晋也監督兼主演の作品。フィリピン・レイテ島を舞台に、空腹と孤独によって1等兵の田村(塚本晋也)は、精神も肉体も衰弱していく……。
戦争の”リアル”を五感で感じることができる本作は、戦後70年目を迎えた今の時代に痛烈な反戦のメッセージを訴えます。こちらの作品はまだ上映中なので是非お近くの映画館でチェックしてみてください。この作品を観たあとは、しばらく映画の世界から抜け出せなくなります……。

◼︎4:トガニ 幼き瞳の告発(2012)

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──韓国で社会現象を巻き起こした、社会派映画

2000〜2005年に韓国光州にある聴覚障がい学校の生徒たちに対して校長や教員達が性的虐待や暴力を日常的におこなっていたという実話をもとにした社会派サスペンス映画です。
美術教師のカン・イノ(コン・ユ)は、霧の街として有名な田舎街ムジンにある聴覚障がい学校・慈愛学園で働くことになる。赴任してまもなく、イノはこの学校の校長や教師が生徒に対して性的虐待していることに気づいてしまい……。
『トガニ』は、「坩堝(るつぼ)」という意味で、社会的弱者が閉鎖された卑劣な環境で悲痛な叫びを上げるという惨状を意味しています。怒りや悲しみが同時にこみ上げ、社会の不条理さについて考える機会を与えてくれる映画です。

◼︎5:明日、君がいない(2007)

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──複雑なティーンエイジャーの心境をリアルに描く

当時19歳の監督が、悩みや問題に押しつぶされそうになっている若者の姿を描いています。
午後2時37分誰かが自殺する。誰が自殺したのか明らかにされないまま話が遡り、数名の高校生が登場。一見普通の高校生だが、それぞれ自殺をしてもおかしくないような悩みを抱えていることが徐々に明らかになり、誰かが自殺した午後2時37分にたどり着く……。
誰が自殺をしてもおかしくない状況にありながら、大人は若者の”声に出せないサイン”に気付けずにいます。あなたはそのサインに気づくことができますか、と問いかけてくるような映画です。観た後はしばらく放心状態になりますが、この時期に深く考えてみてはいかがでしょうか?

◼︎6:エレファント・マン(1981)

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──真の醜さとは何か。

実話をもとにデヴィッド・リンチが映画化した作品です。
奇形な外見のせいで、見世物小屋で“エレファント・マン”と呼ばれ人間として扱われない青年ジョン・メリック(ジョン・ハート)。医師のフレデリック・トリーブス(アンソニー・ホプキンス)は、研究対象としてジョンを引き取り、入院させる。やがてトリーブスはジョンが聖書を熱心に読み、芸術を愛する優しい心の持ち主だということに気づき、一人の人間として接すると、ジョンもトリーブスに対して心を開いていく……。
もし自分の周りにジョンのような人がいたら、外見の醜さではなく内面の美しさに気づくことができるのでしょうか。是非、この映画を観て自分に問いかけてみてください。

◼︎7:父と暮らせば(2004)

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──娘と父の、不思議な4日間

戦後を生きる者へのメッセージが込められた映画です。
1945年8月6日の広島原爆投下から3年。原爆投下を生き残ってしまったことへの罪悪感から幸せになることを拒む美津江(宮沢りえ)が、幽霊となって現れた父(原田芳雄)に励まされなから、悲しみを乗り越えて生きていく姿を描く。戦争から生き抜いたことに負い目を感じる娘に対して、戦後を生きていく者への使命について父は語りはじめる……。
父が語るその使命、それは同時に戦後を生きる我々にも投げかけられた言葉なのかもしれません。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました♪この中で気になる映画はありましたか?
愛、社会、戦争、差別、家族、そして人生について……。たまには深い映画を観て、自分に問いかけてみるのもいいかもしれません。

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