アニメ映画界の未来を担う監督・細田守【監督・俳優のすすめ Vol.6】

“監督で観る” “俳優で観る”映画の楽しみ方。今注目の人やこれから注目すべき映画監督・俳優について紹介する【監督・俳優のすすめ】。Vol.6は最も注目されているアニメ映画監督・細田守。

Keyword 1:アニメ映画の新たなる担い手

一昨年、長年日本のアニメ映画を牽引してきた宮崎駿が引退を宣言した。そして日本のアニメ映画の新たなる担い手の一人として注目されているのが細田守だ。東映動画(現・東映アニメーション)でアニメーター、演出家を経て、監督として劇場版『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』(00年)、『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』(05年)などを手がけた。そして、フリーとなり初の劇場長編アニメーション『時をかける少女』(06年)を発表。原作から20年後を舞台に、時間を飛び越えるタイムリープ(時間跳躍)の力を手に入れた女子高生が、様々な経験を通して成長していく姿を瑞々しく描く。当初は全国21館のみの公開予定だったが、満員で映画館に入れない人々が続出。そのことが口コミでさらに広がり最終的には100館を超え、異例のロングランヒットとなった。

細田守はその後、2本のオリジナル長編映画を発表している。1本は仮想世界OZに現れた人工知能が世界を混乱に陥れ、その危機に立ち向かう大家族と一人の少年を主人公にしたアクション・エンターテイメント『サマーウォーズ』(09年)。続く作品は自身が監督・脚本・原作を務め、子育てを描いた感動作『おおかみこどもの雨と雪』(12年)。主人公は「おおかみおとこ」と恋に落ち子供を授かる。しかし「おおかみおとこ」は亡くなってしまい、彼との間に生まれた2人の子どもをひとりで育てていく。2人のこどもたちの生きていく道の選択と、主人公が母親として成長していく姿が、情緒溢れる映像と美しい音楽で描かれている。

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Keyword 2:肯定する力

細田守の作品は人と人とのつながりを優しいまなざしでとらえ、 “家族”や“子育て”という社会において普遍的なテーマを、肯定的に描いている。『サマーウォーズ』では大家族が、それぞれ考え方や意見の違いで衝突したりすれ違ったりしつつも、最後には一致団結し危機に立ち向かう。そこにはつながりや互いを受け入れる家族ならではの温かさが存在する。『おおかみこどもの雨と雪』では、母とこどもたちは非常に困難な状況に置かれながらも、深い絆の中で共に成長していく。やがて、こどもたちはそれぞれ自分の道を選んでいき、母親はそれを受け入れ、信じる。言葉や行動だけでは伝えられない、親子の消えることのない絆や深い愛情が力強く描かれている。

Keyword 3:原点回帰

この夏公開される最新作『バケモノの子』も父と子の成長を描く映画であり、大人が子どもの成長をどう見守っていくかを描く映画でもある。親と離れ離れになってしまった少年がバケモノの剣士と出会い、弟子入りして修行し成長していくという物語。キャラクターに魂を吹き込む声優陣は、バケモノの剣士・熊徹を役所広司、主人公・九太の少年期を宮﨑あおい、青年期を染谷将太、ヒロイン・楓に広瀬すず、と豪華な顔ぶれ。少年が修行して成長していくというストーリーは、一昔前のアニメが得意としていたアニメの原点とも言える内容で、あらゆる世代が楽しめるエンターテイメントの要素が全て詰まった映画となっている。子どもと大人が一緒に楽しめる夏の映画という点では、子ども向けの作品を得意とする東映アニメーション出身の細田守にとっても原点回帰と言えるのではないだろうか。

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細田守の演出は多様で多彩だ。ワクワクするような展開連続の『サマーウォーズ』から、何気ない日常を丁寧に描く『おおかみこどもの雨と雪』作品まで多くの人々を魅了する。多くの人に受け入れられ新たな試みにも果敢に挑戦していく細田守の姿は、次のアニメ界、映画界を背負っていくにふさわしい人材であることを証明している。


細田守
1967年9月19日生まれ、富山県出身。アニメーション映画監督。91年東映動画(現・東映アニメーション)入社。アニメーターとして活躍した後、演出家に転向する。世界的な現代芸術家・村上隆からのオファーでLOUIS VUITTONのイメージ映像「SUPER FLAT MONOGRAM」(03年)を監督。自身初の劇場長編『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』(05年)で監督を務めた後、東映アニメーションを離れ、フリーとなる。『時をかける少女』(06年)で日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞受賞。『サマーウォーズ』(09年)は国内外で数々の賞を受賞した。さらに第60回ベルリン国際映画祭で正式招待され、また、アニー賞の最優秀監督賞にもノミネートされた。11年にアニメーション映画制作会社「スタジオ地図」を設立。『おおかみこどもの雨と雪』(12年)は興行収入42.2億円を超える大ヒットとなった。

『バケモノの子』
7月11日(土)よりロードショー
公式サイト:http://www.bakemono-no-ko.jp/index.html
【監督・脚本・原作】細田守
【声の出演】役所広司、宮﨑あおい、染谷将太、広瀬すず、山路和弘、宮野真守、山口勝平、長塚圭史、麻生久美子、黒木華、諸星すみれ、大野百花、津川雅彦、リリー・フランキー、大泉洋
(2015/日本)
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©2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS

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